65:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:14:36.16 ID:oCXIT4vP0
これはおもしろい
66:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:14:38.22 ID:tpbZim4N0
しかし、ここで躊躇えば、間違いなく怪しまれる。
そう思い、半ば投げやりな気持ちで自分の住所を書いた。
電話番号だけは1文字変えてかいた。
部屋に案内されホッと息をつく。
「とりあえず、ゆっくりしよう。お風呂入ってくるね。」
そういうと有紀子は部屋をでる。
彼女が部屋を出た後、どっと疲れがでた。
67:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:19:37.61 ID:tpbZim4N0
今日は何とか泊る事に成功した。
けど明日は?
今後資金はどうする?
など、ここにきて僕の無計画さから来た問題点が一気に噴出した。
最大の問題は宿泊所と資金だ。
今日だけで二万円は使ってしまっている。
あと数日も持たないのではないか。
どうしようもない不安が押し寄せてきた。
気を紛らわせようと風呂に行く。
だが結局もやもやしたまま風呂を出た。
68:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:20:56.28 ID:lAwCtT480
すごい行動力だな
69:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:22:03.51 ID:35khdb1ZO
なぜかこっちまで緊張してきた
70:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:23:18.92 ID:tpbZim4N0
部屋に戻ると、有紀子が浴衣に着替えて布団に座っていた。
その瞬間、さっきまで考えていた不安が引っ込むと考えは下心に切り替わった。
何でもないふりして隣に座る。
良い匂いがする。
72:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:26:17.45 ID:tpbZim4N0
もう期待感MAXだった。
「どうしよう!どうしよう!」
と心の中で勝手に先走った考えでいっぱいだった。
「ねよっか。疲れちゃった。」
有紀子がそういって僕を見た瞬間。
よっしゃ!
と思いましたね。
74:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:30:29.61 ID:tpbZim4N0
まぁ、結局どうしたらいいかも判らず、僕もヘタレだった為
何も起こらず2人別々の布団に入る。
電気を消すとまた、明日からの不安が押し寄せてくる。
75:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:33:35.27 ID:tpbZim4N0
「どうなっても私はいいから。」
不意に有紀子が言う。
どういう意味かは聞けなかった。
ただ
「ああ。」
としか言えなかった。
結局何も考えつかないままその日は眠った。
76:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:34:35.10 ID:FNM5NMj80
Wktk
77:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:38:00.43 ID:tpbZim4N0
次の日。
朝早々と旅館を後にした。
あまり長くいると、親に連絡される可能性があり、電話番号が違うのも
ばれると思ったからだ。
旅館を出て、有紀子に
「東京を目指そう」
とつげた。
東京に行けば何とかなる。
そんな安易な考えで。
彼女は何も言わず頷いた。
78:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:43:12.16 ID:tpbZim4N0
東京までの行き方を調べる。
とりあえず乗り換えのある駅まで行くことにした。
電車の中での会話は少なく、代わりに手を握る時間が長かったと思う。
そして、乗り換えの駅に着く。
もうすぐ東京。
そこまで行けば・・という根拠のない希望があった。
80:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:48:15.73 ID:0y+uds2y0
こういうのいいね
81:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:49:36.66 ID:tpbZim4N0
そしてまた電車を乗り継ぎ僕らは東京まであと少しと言うところまで
たどり着くことに成功した。
時刻は夕方6時。
今日はこの町に泊ろうと前日と同じように宿を取った。
83:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:54:35.94 ID:tpbZim4N0
その次の日。
宿を出たところで僕たちは警察官に補導されることになる。
僕らの宿泊を不審に思った宿が住所の番号に連絡→番号違う
→警察に
という流れだったらしい。
さらに、僕らには当然のごとく捜索願が出されていたらしい。
僕らの駆け落ちは何ともあっさり終わってしまった。
84:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 02:59:52.61 ID:tpbZim4N0
警察署までは有紀子の両親と僕の父が迎えにきた。
父は僕を思いっきり殴った。
痛みよりも悔しさでいっぱいだった。
有紀子は両親にさっさと連れられて行ってしまった。
ドラマみたいに上手くはいかないという現実を一気に突きつけられ、
悔しくて仕方なかった。
85:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:06:44.03 ID:tpbZim4N0
父が少年課の刑事さんに頭を深々と下げてまわる。
その中、一人の刑事さんが僕に声をかけてきた。
「この年で駆け落ちとは無茶苦茶したなぁ」
思わず睨む。が
「でもな。勢いだけじゃ何にも出来んかったろ?それ勉強したらどうするかな」
と言われた。
正直その時は全く理解できず、馬鹿にされたと思っていた。
86:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:12:28.01 ID:tpbZim4N0
僕は家に連れ帰られ、
父、母、祖父母と親戚にこれでもかと怒られ、
今後、有紀子と彼女の家に近づく事、そして残り夏休み外出禁止を喰らった。
両親と祖父母は有紀子の家にただひたすら謝り続けた。
一週間もすれば村中の噂はこの話で持ち切りだった。
だが、噂の内容は僕が有紀子を誘拐した事になっていたが。
87:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:17:20.01 ID:tpbZim4N0
そして夏休みが明けて学校に行く事になった。
久しぶりに堂々と有紀子に会える。
そう期待して学校へ。
しかし有紀子は学校に来なかった。
89:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:20:24.86 ID:tpbZim4N0
「体調が悪いのか」
そう思っていた。
だが次の日も有紀子は来なかった。
90:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:26:13.56 ID:tpbZim4N0
すると、クラスの女子で有紀子の友達が話しかけてきた。
名前をぶー子とする。
理由 当時のあだ名。本名は裕子 見た目で。
「ねえ、有紀子なんで急に転校なんてしたのよ?」
「は?」
何言ってんだこいつ?トリュフとマジックマッシュルームでも間違えたか?
「だから、なんで有紀子転校なったの?あんた同じ地区でしょ?何か知らないの?」
聞き間違いじゃなかった。
92:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:30:44.68 ID:tpbZim4N0
「・・しらない。」
転校?全く意味が判らない。
あの家は引っ越しなどしてない。
ぶー子に詳しく話を聞く。
「なんか、おじさんの家から通うって言ってたけど。高校も向こうで行くって」
ショックで頭がおかしくなりそうだった。
僕はこうして有紀子と完全に引き離されてしまった。
94:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:41:41.41 ID:tpbZim4N0
それからは毎日茫然とすごした。
連絡を取る手段もない。
もうこのまま二度と会えず、有紀子はあの太一のものになってしまうのか。
そんなのは絶対に嫌だ。
けれど、僕にはどうしようもない。
ただ時間だけが過ぎ、有紀子と引き離されて一年が過ぎた。
この間、何度か有紀子に連絡を取ろうと試みたが全て失敗に終わっている。
95:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:49:16.42 ID:tpbZim4N0
思わぬチャンスが訪れたのは中三の冬。
もうすぐ高校受験を控えた時期の事。
僕らの中学の生徒のほとんどは地元の高校へ行くのが大半である。
クラスではグループ学習の時間があり、試験対策勉強を行っていた。
僕のグループは男子3人女子2人の5人グループ女子の一人はぶー子だ。
96:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:53:49.89 ID:tpbZim4N0
問題集の答え合わせをしてる時、
ぶー子がおもむろに口を開く
「そういえばさ~有紀子。○○高校行くらしいね~」
・・・思わぬ所から出てきた有紀子の情報に思わず反応してしまった。
「えっ?えっ?それマジ?」
この反応はまずかった。
ぶー子はニヤリとすると鼻をふくらませブヒブヒいいながら
「あれ~気になっちゃう?」
とからかいだした。
チャーシューにするぞ。
97:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 03:58:57.50 ID:tpbZim4N0
「いや、別に・・」
あせって何でもないふりをする。
ぶー子は「ふ~んww」
と言いながらもニヤニヤしながらこっちを見る。
「まぁ、わたしも昨日電話で聞いたんだけどね~」
なん・・・だと・・・
98:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:02:49.54 ID:tpbZim4N0
思わぬところで有紀子と連絡を取る手段を見つけてしまった。
伝書鳩ならぬ伝書豚を。
問題はどうやって聞き出すか。
このお調子者のことだ。食い物で釣ろう。
給食のシュークリームを使う事に決めた。
100:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:03:41.87 ID:2R4si/Vj0
>>98
伝書豚はさすがに言い過ぎwwww
99:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:03:31.90 ID:35khdb1ZO
チャーwwシューwww
101:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:04:08.90 ID:FNM5NMj80
勇者並の行動力
102:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:11:46.17 ID:tpbZim4N0
その日の放課後。
ぶー子にシュークリームを手渡す。
「有紀子の連絡先教えてほしいんだ。」
ぶー子が目をキラキラさせながらにやける。
「フヒwwなんで?w」
屈辱だが背に腹は代えられん。
「理由は聞かないでくれ。頼む。」
「まwwいいけどwwはいww」
電話番号を教えてもらい、近くの公衆電話から掛けようと
教室を出ようとした。
104:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:17:10.29 ID:tpbZim4N0
「あwwwでも、それ有紀子の親戚でるから取り次いでもらわないといけないけどwww」
ぶー子テメェ。
「あww私が取り次いでやろうかwwwそん代わりww洗いざらい話せよwww」
この豚。思わぬ策士。
しかし、このチャンスを逃せば永遠に有紀子と連絡は取れない。
僕はぶー子に屈してしまった。
105:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:26:26.47 ID:tpbZim4N0
「うぇwww駆け落ちとかwww無計画ワロスwwwブヒヒww」
やっぱりコイツに話すんじゃなかったと大後悔時代到来。
「でもあんた男らしいじゃんwwちょっと惚れそうwww」
マジでやめろ。
「いいよw取り次いでやるよww」
ぶー子と公衆電話に向かう。
ぶー子が電話をかける。
「あ、もしもし。私有紀子さんの友達の裕子と申しますが。有紀子さんいらっしゃいますか?」
・・・いつもとキャラ違うぞ。借りてきた豚の様だ。
106:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:31:52.65 ID:DsUDEmYr0
借りてきたww豚wwww
108:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:33:08.06 ID:tpbZim4N0
「あ、もしもし?有紀子?久しぶりwwちょっと替わるねww」
ほいっといきなり受話器を渡してくる。
「ちょ・・いきなり・・」
「いいからwwwいけよww」
「もしもし?」
とてつもなく緊張した。
『え・・もしかして、俺君?』
久しぶりに聞いた有紀子の声。
それだけで本当に泣きそうになった。
109:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:34:05.69 ID:35khdb1ZO
うぉぉぉぉお
110:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:38:20.05 ID:tpbZim4N0
感極まってもう何を話していいかわからない。
無言でテレカの残度数だけが一つ減る。
「あの・・」
『うん。何?』
「まっててくれる?」
どう言っていいかわからなかった。
やっちまった。
そう思った。あんな事になった後だったから。
『わかった。それじゃあね。』
そういって電話が切れた。
111:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:43:45.46 ID:tpbZim4N0
しばらく受話器もってぼーっとしてた。
「ちょwwおまえwどうしたww有紀子なんてwww振られた?ww慰めてやろうかwww」
ぶー子の声でハッとする。
「いや、わかった。って。」
ぶー子が突然腹を抱えて笑いだす。
「ぶひっひwwそれwwまじでwww」
笑いすぎ。
112:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:45:02.65 ID:FNM5NMj80
ぶー子わろwww
113:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:46:17.80 ID:s82fFDod0
ぶー子手コキくらいならしてくれそう
114:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:49:30.82 ID:tpbZim4N0
笑う豚をおいて家に帰りじっくり考えた。
どうすればいいか。
前回は無計画の上で駆け落ち等と無謀な事をして失敗した。
嫌というほど屈辱を味わった。
何より、今度同じ事になればおそらくもう二度と有紀子には会えない。
けれど、このままでは有紀子は太一(40)と虎舞竜にされてしまう。
考えた挙句、思いついたのは
そうだ。太一消そう。
116:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 04:54:52.73 ID:tpbZim4N0
しかし。
すぐにそれじゃ駄目だと思いなおした。
それをしても結局また新たな相手を用意されたら同じだと。
結局名案というのは思いつかない。
117:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:00:35.06 ID:tpbZim4N0
翌日。
学校にいくと女子グループがニヤニヤしながら僕を見てくる。
まさか・・・と思いぶー子に目をやると
とぼけた様に舌をペロッとだし、
「メンゴww」
とか言いやがった。
電話の後、屠殺場へ送り込まなかったのは一生の不覚。
118:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:01:27.36 ID:35khdb1ZO
メンゴwww
119:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:06:25.34 ID:tpbZim4N0
その後は女子に事あるごとに質問攻め。
ホントにおかしくなりそうになりながら一日を過ごした。
問題は放課後の事。
詳しく話を聞かせろと女子グループに連行される羽目に。
その様子をみて高笑いするぶー子。
殺意わくね。
120:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:10:39.77 ID:0y+uds2y0
豚ひでえええええ
121:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:13:28.12 ID:tpbZim4N0
強制連行後。
洗いざらい経緯を話すと
女子全員が応援してくれる事になった。
中には泣いて協力を申し出てくれる子もいた。
議題はどうやって太一を葬り有紀子を取り戻すかにシフト。
感想;女子の方が発想がエグイ。
122:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 05:17:41.59 ID:tpbZim4N0
「こうなると判ってたからwwww」
ぶー子が寄ってくる。
完全に後付けだろ。
だが、今まで周りに味方が居なかった中味方してくれる人が出来たのは嬉しかった。
137:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:27:26.96 ID:tpbZim4N0
ありがとうございます。
そんな訳でぶー子のアシスト的なもののお陰で僕に味方が出来た。
中でも、女子グループのリーダー格だった彩香は泣きながら共感してくれて
「私に出来ることは何でも言ってね!」
と、申し出てくれた。
「ぶひw私のお陰だろww感謝しろよww
あ、でも惚れるなよww私には心に決めた人がいるからwww」
ぶー子。こいつはやはりここで始末しておくべきか本気で悩んだ。
140:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:33:52.01 ID:tpbZim4N0
さて、時期は12月。
この時期、受験生は最後の追い込み期間である。
だが、一部の進学校を受ける生徒を除き、殆どが地元の高校に行く為、
実質、そこまで必死に受験勉強をしている生徒は少なかった。
(高校はよっぽどがない限り、地元中学生は落ちない)
ある日、数学の自習時間。
彩香がある提案をしてきた。
「ねえ。有紀子とクリスマスにデートしない?」
141:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:33:59.53 ID:bsqzhfwY0
いまきた
応援してるよ
142:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:35:21.46 ID:BAGxCUcT0
彩香ええ子や
143:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:37:49.44 ID:tpbZim4N0
「え?え?」
突然の提案を全く理解できない。
「だから。クリスマスに有紀子とデート。したいでしょ?」
それはもちろんだが、有紀子は今親戚の家に預けられている。
ここから行くには日帰りでは無理な距離だ。
「無理だよ。遠いし。」
そういうと、彩香がにっこり笑う。
「馬鹿ね。冬休みだから実家に帰ってくるでしょ?そこで誘えばいいじゃないw」
144:名も無き被検体774号+:2012/01/25(水) 14:39:00.90 ID:B6AUKiU20
追いついた
なかなかおもしろいな