「―――そうだね。それは分かってる……」
――ふと、台所から、ひまわりの声が響く。
(ん?)
「……そう……うん……ごめんね……」
どうやら、電話中のようだった。相手はおそらく、風間くんだろう。
盗み聞きをするのもアレだったから、とりあえず二階へと避難することに。
「……でも、やっぱり……そう……ごめんね……」
……何やら、重苦しい口調だった。
なんだろうか。何か、トラブルでもあったのだろうか……。
どうするか悩んだが、あえて声を出してみた。
「……ただいま」
「え――ッ!ご、ごめん!お兄ちゃんが帰ってきた!またあとでね!」
台所の奥から、慌てて電話を切るような会話が聞こえる。
そしてその後、きこきこと音を鳴らしながら、ひまわりは車椅子で出迎えた。
「お、おかえり!今日は早かったね!」
「ああ。ちょっと早く終わってな」
「そうなんだ!ほら、早く着替えてきなよ!」
「……そうするよ」
オラは、家の奥へと向かう。
……やはり、何かあったようだ。
ひまわりの話し方が、無駄に明るい。こういう時は、何かをオラに隠しているパターンだ。
伊達に彼女と長く過ごしているわけではない。彼女の癖など、オラにはお見通しだった。
……問題は、何を隠しているのか、ということ。
話しの感じから、おそらくは風間くんとの何かだろう。
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