1:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:14:45.69 ID:8WsrSH1N0
ネカフェでハチクロを初めて読んで(今更w)、自分の学生時代を思い出した。
少し昔を振り返りたくなったので、良ければ付き合ってくれw
スレ立て初めてやし、語るも初めてやから、見苦しいところあっても多目に見てちょw
あと覚えてないとこは多少話を盛るんで、そこらへんもよろしく。
2:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:17:38.38 ID:iTwDEWfx0
聞くぞ
3:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:17:39.22 ID:gv6kyMaM0
付き合おう
4:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:19:14.38 ID:8WsrSH1N0
私(以下、アキ)が雪と出会ったのは高2になりたての春。
クラス替えの直後で、教室の中はざわざわと浮き足立ってた。
そして私が初めて自分の席に着いた時、前に座っていた女の子が、
グルンッと体を反転して声をかけてきた。
「一年の時隣のクラスだったよね!?私のこと解る!?」
笑うと八重歯が覗く可愛らしい女の子。
見覚えはなかったw
馴れ馴れしいな…と思いながらも、気使い屋な私が「顔は見たことあるかも」と答えると、
その女の子はパァッと明るい笑顔になった。
「私、雪(ゆき)!○○雪!!」
よろしく!と言わんばかりに、意気揚々と自己紹介を始めた雪。
私は呆気にとられて、ただウンウン頷くだけだったw
最終的に「次の移動、一緒に行ってくれる?」と、
豆柴のような瞳で迫ってきて、「もちろん」と答える押しに弱い私w
6:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:24:52.24 ID:gv6kyMaM0
豆柴wwwwwww
5:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:22:51.13 ID:8WsrSH1N0
雪は小柄で華奢で色素が薄くて、女の子のテンプレみたいな子だった。
ほにゃーんとした笑顔から覗く八重歯が、雪をより魅力的に見せた。
事実、雪は男子から「可愛い」と人気があった。
でも雪は意外にも人見知りで、私以外の人間とは積極的に話そうとしてなかった。
だから大人しく見られがち、というか、実際真面目で物静かな女の子だった。
なんで私にはあんなに積極的だったん?と聞くと、
「アキが優しいこと、私前から知ってたから!仲良くなりたかった!」と返ってきた。
まぁその話は追々。
7:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:27:34.72 ID:8WsrSH1N0
こんな女の子らしい雪とは対照的に、
私は目つきが悪くてヤンキーに見られがちなjkだった。
人並みに校則破る程度の、普っ通ーの女子高生なのに!失礼な話だ。
自分で言うけどw、
私ってキツイ見た目とは裏腹に、情に熱い気配り屋さんなんだw
そんな私を解ってくれてる男が一人いた。
中3からツルんでる、夏(なつ)だ。
地元が同じで、中3で同じクラスになって以来、ビックリする程打ち解けた。
元々クラスのお祭り男で、誰とでも仲良く話せる夏。
馴れ馴れしい夏に合わせて話してたら、
なんだか無性に気が合うことに気付いて、毎日が楽しくなった。
私が背伸びすると、身長追い越しちゃいそうなくらい、男子にしては小柄な夏。
声変わりはしてたけど、リスみたいな頬袋を持ってる夏は、いつまでも少しだけ幼く見えたw
私は、そんな夏のことがずっと好きだった。
同じ高校に通えてるのだって、私が好きな人を追っかけたからだ。
告白したいと思ったことは何度もあったけど、
夏には何度か彼女がいたし、気まずい関係になるのが何より一番怖かった。
だからずっと友達の顔をして、夏と一番仲のいい女子を演じてた。
あまりの仲の良さに何度も噂になったけど、
そのたびに夏が気持ちいいくらい否定してた。
噂になって内心喜んでる私は、その瞬間いつも胸を痛めてたんだ。
8:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:30:07.38 ID:8WsrSH1N0
話を戻す。
新しいクラスに慣れてきた頃、雪と廊下を歩いていて、夏とバッタリ出くわした。
「おー」って何気なく声掛けながらも、ラッキーって内心ガッツポーズの私。
でも、夏の視線は私の隣、雪に止まってた。
なんだかね、一瞬で解った
「あ、やばいかも」って。
案の定夏は「誰?新しい友達?」って、雪に興味を示し始めた。
「うん、雪。雪、こっちは同中の夏」淡々と説明したけど、心はぶるぶると震えてた。
そんな私を知る由もない夏は、目を輝かせて夏に挨拶してた。
人懐っこい夏の笑顔に、雪も笑顔で返してた。
9:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:35:11.17 ID:8WsrSH1N0
こんなにひといないもんなんだねw
とりあえず書き溜めてた分投下してく(`・ω・´)
「あ、こいつハル!同じクラスの奴」
夏が後ろを振り返り、背の高い男の腕をつかんだ。
夏にしか目がいってなかったから、連れがいたなんて気付かなかった。
背がやけに高くて、手足も長くて、全体がヌボーっとした印象の男。
でも私はこの男をうっすら知っていた。
一年の時、この男を好きだと言う女の子と友達だったから。
そういやそんな名前だったっけ?程度の認識だったけどw
ハルと呼ばれる男は、私と夏をヌボーっと見て、小さくペコッと頭を下げた。
中身もヌボーっとしてんのか、って私が呆れ気味にハルを見てるとき、
それとは違う視線をハルに向けてる人間がいた事には気付かなかった。
「どーもー」って当たり障りなくハルに返して、その日は夏達と別れた。
10:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:36:54.87 ID:iTwDEWfx0
聞いてるぞ
11:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:39:07.38 ID:8WsrSH1N0
それから雪のソワソワした振る舞いが始まった。
移動教室や休み時間、しきりにキョロキョロとする雪。
教室にいても、窓の向こうに何かを見つけた途端、雪の意識はそちらに向かう。
そして毎日どこか楽しそう。
いよいよ本腰入れて「どうしたの?」って聞くと、
「…ハル君って、いいよね…」とはにかむ雪。
ややこしいことになった、と思った。
夏の気持ちを確認してはないけれど、
夏が雪を好意的な目で見ているのは気付いていた。
そして私はそんな夏が好き。
でも雪は、夏の隣のハルを見ている。
ややこしいことに気付いてしまった。
それからと言うもの、私は毎日溜め息ばかりついていた。
12:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:42:03.76 ID:8WsrSH1N0
そして、私の溜め息を更に重たくするメールが届いた。
「雪ちゃんって彼氏おんの?」
これで今までうっすら気付いた程度の夏の気持ちが、確信に変わった。
よりによって私の親友を好きになるなんて、と夏に苛立ちさえ覚えた。
私はこんなに夏のことが好きなのに、私を通り越して雪を見つめるなんて。
でも、しょうがない、と諦めるほかなかった。
それ程に雪という女の子は可愛かったから。
私には永久に越えられない壁だった。
15:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:48:28.55 ID:8WsrSH1N0
順番間違えたw
>>12の続きはこっちw
不慣れでごめんw
でも私は、雪の気持ちを知っていた。
雪はハルが好きなんだ。
夏を通り越して、ハルを熱い視線で見つめてる。
私の中の黒い感情が、言葉となって出た。
「雪、私応援するから、頑張ってハルを落としてね!」
ありがとうと喜ぶ雪。
雪を思って目を輝かせる夏。
私は二人の笑顔を思い浮かべながら、毎日どんより重たい気分を味わっていた。
14:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:45:22.56 ID:8WsrSH1N0
夏休みになると、四人で海に行こうと夏が提案してきた。
夏からの電話に浮き足立っていた私は、一瞬で地面に叩きつけられた。
「雪ちゃんの水着たっのしみー!」と受話器の向こうでハシャぐ馬鹿野郎に
「はよシコって寝ろ」と言っちゃった事を、今でも私は悔やんでいる。
そしてその日は来た。
私と夏は地元が一緒だから、待ち合わせ場所まで二人きりだった。
嬉しかった。
まるでデートだと思った。
夏が私を家まで迎えに来て、笑顔で隣を歩いてくれる。
ハル達との待ち合わせなんて、なくなればいいのに。
でも無情にも、夏は雪の話ばかりしてるし、待ち合わせ場所にも着いてしまう。
自分のテンションが上下し過ぎて死ぬかと思っていた。
16:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:49:22.41 ID:8WsrSH1N0
新しい恋に目を輝かせる夏と雪は、しきりに四人で居たがった。
週の半分は四人でお弁当を食べ、休日には四人で外出。
心底楽しそうに青春を謳歌する二人に、私は作り笑顔しか返せなかった。
18:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:51:53.97 ID:8WsrSH1N0
待ち合わせ場所にいる雪は眩しかった。
今でも覚えてる。
白いミニワンピースに負けない白い肌。
いつもは二つにくくられてる長い髪は、ヘアアイロンで綺麗で真っ直ぐな髪に。
誰もが振り向く可愛い可愛い女の子が、そこにはいた。
それに比べて私なんか、一生懸命お洒落したつもりでも、なんだかヤンキー臭さが抜けない。
むしろギャルみたいになっちゃってたりして…。
夏はそんな雪を見てテンション上がっちゃって、私にコッソリ耳打ちしてきた。
「アキアキ、俺、夏休み中に雪ちゃんの彼氏になるけぇ!」
日差しがギラギラしてて暑いのに、視界は真っ暗で冷や汗をかいた。
21:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:55:18.34 ID:8WsrSH1N0
電車の中でも、夏はお祭り騒ぎで、雪はケラケラ笑ってて。
でも、雪はちゃっかりハルに手作りのお菓子を持参したりして。
普段ヌボーっとしてるハルも、なんだか楽しそうで。
私一人だけは、早く帰りたいって、窓の流れる景色を見てた。
でも気使い屋だから、それ悟られないように頑張っちゃったけどw
いざ海に着いて、場所を確保して、あとは雪の水着披露会。
私も水着着てるけど誰も興味ないだろうから、夏と一緒に雪コールした…
「アキも一緒に脱ごうよ」って照れる雪を無理やり脱がしたったよ…
おおおおおおおおおお!!!とか声上げちゃう男子共。
そりゃそうでしょう、清純系の雪が黒のビキニ(下はヒラヒラスカート)なんだから。
しかもおっぱいも普通に大きいし。
23:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 20:59:02.40 ID:8WsrSH1N0
こんな雪の後に脱げないわって、ずっとパーカー羽織ってたんだ。
そしたらいつの間にかハルが後ろにいて、
「アキは脱がんの?」ってヌボーっと聞いてきた。
「あー、どうしよっかなって」と適当に返す私に、
「脱げよ」ってセクハラ発言するハル。
渋々パーカー脱いだら、
「あぁ俺アキの水着の方が好き」ってハルに淡々と誉められた。
運良く雪には聞こえてなくて安心した。
パーカー脱いだのに気付いた夏が、
「おぉ!馬子にも衣装!」って言ってくれて嬉しかったなぁ。
「まぁな」とかしか言えなかったけど。
24:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 21:02:48.64 ID:8WsrSH1N0
そして、海の中ではしゃぐ三人を見ながら荷物番してた。
あの三人って三角関係なんだよなーとか思ったりしながら。
どんよりしながら砂いじってたら、影が私を覆って、
淡い期待を込めて見上げたら…ハルだった。
「喉渇いた」って言うから、二人でかき氷買いに行った。
ハルと二人きりなんて滅多にないけど、
まぁ別に気まずくもないし、淡々とかき氷買ったんだ。
そしたら「夏、雪ちゃんと2人になりたいだろうから、気を利かした」ってハルが言って、
私は「へー」としか言えなかった。
「アキ、大丈夫?」
ハルが急にそんなこと聞くから、ギクって心が揺れた。
「なんで?なにが?w」ってとぼけてたら、「元気ない時あるしさ」って言われて。
普段ヌボーっとしてるのに、そういうの気付くのかって感心したw
「暑いから疲れただけ!」みたいなこと言って誤魔化したけど。
26:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 21:08:51.49 ID:8WsrSH1N0
そして二人のところへ帰ったら、雪が少し複雑そうに見てた。
「ハル、雪の水着褒めてたよ!」って耳打ちしたら、雪ニンマリして喜んでた。
罪悪感はあったけど、雪とハルには上手くいってもらわなきゃ、そう思っていた。
雪とハルが恋人同士になったって、夏が私を好きになるかなんて解らないのにね。
日が暮れて、海岸沿いで花火をした。
雪が頑張ってハルと二人きりになろうとしてた。
だから私は喜んで夏を引き受けた。
でも元気のない夏。
「雪ちゃん俺のことどう思ってんのかなー」ってうなだれていた。
「雪は、ハルが好きなんだよ」
黒い私がそう言いたい衝動に駆られた。
でも言えなかった。
そんなことしちゃ駄目だ、夏が可哀想だ、傷つけたくない。
そう思ってしまう私は、一体何がしたいんだろう。
28:名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 21:12:35.98 ID:8WsrSH1N0
「まぁ頑張れよ」って、気持ちとは裏腹な事言っちゃって、
「お前も頑張れよ!」って笑顔で答えられたりして。
綺麗な手持ち花火が、綺麗と思えなかった。
無の感情で、黒く広がる海の波打つ音を聞いていた。