ひまわりは、目を閉じたままオラを呼んでいた。
……どうやら、寝言のようだ。
「……おやすみ、ひまわり……」
起こさないように呟いたオラは、ドアを閉める。
そして自分の寝室に行き、泥のように眠った。
……その日の夢は、久々に父ちゃんと母ちゃんが出て来た。
二人は、オラを見て笑っていた。とても、暖かい笑顔……とても、安らげる笑顔だった。
それから数日後、オラは仕事に翻弄されていた。
「――しんのすけさん!これとこれ!すぐにデータにまとめてください!」
「ふぁぁあいぃ……」
目の前には、次々と分厚い資料が山積みとなっていく。
酢乙女グループでは、新事業を進める。
その指揮を執るのが、あいちゃんとなっていた。
おかげで連日この有様。残業に次ぐ残業の毎日。家にはとりあえず帰って数時間程度寝るだけの毎日だった。
しかし今日が山場であり、明日以降は落ち着くとのこと。
オラは袖を捲り上げ、栄養剤を一気飲みする。
そしてパソコンに正対し、キーボードに覇気を込め―――!!
「しんのすけさん!これも追加!!」
……とにかく、頑張ってみる。
オフィスからは、今日もキーボードの音が鳴り響いていた。
クタクタに疲れ果て、家に帰る。
今日は連日の残業を考慮され、日中に退社させてくれた。
玄関を開けるも、もはや『ただいま』を言う元気すらもない。靴を脱ぐなり、這いつくばるように家の中に入って行った。
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