高校の行事の勉強合宿で夏の山奥へ➡︎そこで忘れられない出来事が・・・

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324:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:01:54.20ID:jQo6cTiU.net
吉谷の言うことはもっともだった。
俺たちは勉強をしに来たんであって、そんな地元の中学生のいざこざに、
足を突っ込みに来たわけじゃない。

武智「お前、びびってんだろ? それにケンカになるって決まったわけじゃあるまいし」
吉谷「別になんでもいいよ。俺には関係のない話だ」

俺は諦められなかった。
自分でも勝手なことを言ってるのは分かっていたが、それでも。

325:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:02:31.27ID:jQo6cTiU.net
俺「吉谷、お前ヒロコと一緒にギター弾いて何も思わなかったのか?」
俺「あの子はただギターが弾きたかっただけなんだよ」
俺「俺はその気持ちを、尊重してやりたいんだよ」

ここまで言っても吉谷は首を振って、「わり、分かんねえわ」としか言わなかった。

武智「1、もういいよほっとけ。俺らでどうにかしようぜ」

326:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:03:31.48ID:+gbD3oH3.net
吉谷…

327:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:04:00.07ID:jQo6cTiU.net
武智「元気、お前は危ないしケガしそうだから来るな」
武智「俺らがいない間、先生へのごまかしと偽装工作を頼むわ」
元気「おう、分かった……」

吉谷は、無言で自分の席へと戻っていった。

俺と武智の二人で、ヒロコを守ることになる。
大丈夫だろうか?

329:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:06:47.07ID:jQo6cTiU.net
夜、夕食までの自由時間になった。
空は藍色が燃え、不気味に日が沈みかけていた。

ヒロコを助けようと思って言い出したことだが、
やっぱりその時が迫ってくると、怖かった。
武智と二人で自転車置き場に向かうと、そこには吉谷の姿があった。

俺「お前、なんで?」
吉谷「相手は2人だろ? それなら、3人いた方がいいじゃねえか」
俺と武智は見合って笑ってしまった。

俺「俺が2ケツしてやるから、乗れよ」
3人で、あの神社を目指すことにした。

330:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:09:09.58ID:PRcxZUCV.net
吉谷イイヤツだ…

331:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:09:56.48ID:jQo6cTiU.net
薄暗くなった鳥居にたどり着くと、俺はなんだか怖気づいてしまった。
俺「でも、マジでケンカになったらどうしよう」

それを聞いて武智が笑った。
武智「もうここまで来たら、どうなってもいいじゃねえかw」

吉谷は黙っていたが、別にもう言葉なんていらないと思った。
一緒に来てくれた。
ただ、それだけが全てだと思った。

俺は一人じゃない、そう思えることが心強かった。
どうなったって大丈夫、こいつらがいるんだ。

332:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:13:40.76ID:jQo6cTiU.net
進んでいくと、境内の灯りの下でヒロコとあの2人のヤンキーが話していた。
この前の短髪と、赤髪の奴だ。

緊張と不安でバクバクと鳴る心臓を抑えつけ、
俺は正面きって言い放った。

俺「ヒロコ、来たぞ」
俺の声を聞いて、ヤンキー2人もこちらを睨みつけた。

333:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:14:54.73ID:jQo6cTiU.net
ヒロコは、すぐにこちらに駆け寄って来た。

短髪「なんだお前ら?」
俺「ヒロコがお前らに言いたいことがあるって言うから、来たんだよ」
するとヒロコは、何度も頷いた。

短髪「はあ? 意味が分からねえんだけど」
ヒロコ「もうあたしに一切関わらないで」
恐怖なのか、ヒロコの声は震えていた。

334:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:16:16.81ID:jQo6cTiU.net
ヒロコの言葉を聞いて、赤髪の方が笑いだした。
赤髪「言いたいことって、それぇ?」
赤髪「マジで、馬鹿か?」

赤髪の目つきが強張り、俺たちの方へと歩み寄ってきた。

赤髪「ヒロコと俺らは友達なんだよ? 分かるかぁ?」
赤髪「お前らが何か吹き込んだんだろ? あぁ?」

335:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:17:29.46ID:N1kVMlu2.net
こっちまで緊張してきた

336:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:18:32.72ID:jQo6cTiU.net
俺「友達なわけねえだろ、お前らヒロコから金取ってるくせに」
そう言うと、赤髪はまた不気味な笑みを浮かべた。

赤髪「意味分かんねえw あれはギター代だから」
赤髪「てめえこそ何も知らねえくせに調子乗んなよ?」

赤髪はそう言って、どんどん俺たちに近づいてくる。

俺「お前らと縁を切ることは、ヒロコの意志だ。もう関わるな」
たじろぎながらそう言うと、赤髪がこちらに飛びかかってきた。

337:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:19:29.88ID:jQo6cTiU.net
かと思うと、武智が低い姿勢で思い切りタックルし、赤髪を倒した。
赤髪は倒れ込んで咳き込むと、「ぐぅぅ!」とうめき声をあげた。

武智は「動くな!」と大声を出して赤髪を必死に押さえつける。
元々ラグビー部で、体格も良い武智がいて助かった。

すると短髪の方が勢い良く俺に近づいて、胸ぐらを掴んだ。
短髪「おい? どういうつもりなんだよ?」

俺は抵抗することもなく、「ヒロコにもう関わるな」と言った。

338:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:23:44.43ID:qPDgjNxM.net
武智が仕事した!
イケメン

339:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:24:40.78ID:jQo6cTiU.net
不意に、髪を掴まれたかと思うと、俺は思い切り腹に膝蹴りを受けた。
激痛が走って、その場に沈み込んでしまう。
後ろに回り込んでいた吉谷が「てめえ!」と言って短髪を押し倒した。

痛みを堪えて起き上がり、すぐに吉谷を加勢する。
吉谷と短髪が倒れ込んでもみくちゃになっていたので、二人がかりで短髪を押さえつけた。

腹のみぞおちあたりが、すこぶる痛い。
どうやら、もろにもらってしまったらしい。

340:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:27:11.53ID:jQo6cTiU.net
痛みで朦朧とし、額にはじっとりと嫌な汗をかいていた。

俺は必死に短髪の首根っこを押さえつけ、
「もう、ヒロコに関わるんじゃねえよ! こんな子いじめて何が楽しいんだよ!?」
と、体の底から叫んだ。

短髪はこの状況でもなお不敵な笑みを崩さず、
「じゃあ金だ。金さえ出したらもうほっといてやるよ……」
としゃがれた声でのたまうのだった。

341:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:28:14.63ID:jQo6cTiU.net
俺「てめえ、ふざけんなよ!!」
俺がそう叫んだ瞬間だった。

ヒロコが短髪に近づいてきて、「ほらよ」と一万円札を差し出した。

短髪「あ?」
ヒロコ「もう、これで終わりにしてよ」
ヒロコ「言われた通りあげるから、もう関わらないで」

342:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/22(木) 01:30:27.80ID:jQo6cTiU.net
短髪はその一万円をむしるように受け取ると、
「最初から出せや」と悪態をついた。

俺たちが押さえていた手を緩めると、短髪は「離せクソ」と立ち上がった。
短髪「あー、もう来ねえよ。金さえパクれりゃこんな神社に用があるかよ」
短髪「もう二度と来るかっての」

赤髪も立ち上がり、「一生ギター遊びでもなんでもしてろ」と言い捨て、
ヤンキー2人はバイクにまたがり、けたたましい音と共に神社から去っていった。

バイクの音が遠ざかるまで、俺たちは黙ったままだった。


351:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 17:32:19.39ID:N1kVMlu2.net
学生時代の夏なんて、人生で一番最高な時だよな

352:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/22(木) 18:52:13.24ID:X2GwBcfA.net
学生時代にこんな風に女の子を守ってあげられるイケメンになりたかった…

363:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/24(土) 01:07:13.89ID:Ox2mhf+Y.net
俺「なんで、お金を?」
ヒロコ「あいつらの目的は、あたしから金を取ることだったしね」
ヒロコ「何もかも片付けるには、結局はこうするしかなかったと思う」

俺「そっか……」
なんだか悲しくなった。これは成功といえるのだろうか?

ヒロコ「それでも、みんながいなきゃあんなに強く言えなかったから」
ヒロコ「今日きっぱり縁が切れたのは、来てくれたおかげだよ」
弱々しい笑顔だった。無理してるんだろうな、と思った。