1:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:06:36.30ID:A+6Bb2FW.net
「ユメミヤって知ってる?」
昨日、電車で誰かがそんな話をしていたのを思い出した。
「なにそれ?」
「ユメミヤって奴がいて、そいつに頼むと好きな夢を見させてくれるんだって」
「ふーん」
その人たちは、そのあとも話し続けてた。
2:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:07:07.59ID:A+6Bb2FW.net
くだらない。
こんな田舎だとそんなくだらない話も楽しいんだろうか。
そもそも好きな夢が見れるからなんだっていうんだろう?
夢の中で好きなことしたって、現実は何にも変わらないのに。
何の意味があるの?
本当にくだらない。
それに夢を見るから失うんだ。
そう思ってたはずだった。
4:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:07:37.77ID:A+6Bb2FW.net
それなのにあの時の自分はそんな簡単なこともわかっていなかった。
48:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:32:05.53ID:RkrNrmQ3.net
お、新作か?
頑張ってくれ
5:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:08:29.71ID:A+6Bb2FW.net
*
「あ! やっと起きた。おはよ」
目を開けると知らない女の子がいた。
「……誰?」
「寝ぼけてるの? 大丈夫ですかー おーい」
女の子は俺の顔の前で手を振っている。
7:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:08:57.91ID:A+6Bb2FW.net
どうも状況が飲み込めない。
この子は誰? ここはどこ?
俺は誰? とはさすがにならなかったけど、やっぱりわからないことが多かった。
8:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:09:29.56ID:A+6Bb2FW.net
「ホントにおかしくなっちゃったの?」
俺がずっと黙っていると、心配そうな顔でその子は俺の顔をのぞきこんだ。
9:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:10:03.71ID:A+6Bb2FW.net
そうして目があっても、この子が誰だかはわからない。
「しょうがないなー、私はスズハです。幼馴染やらせてもらってます。よろしくお願いします。……これでいい?」
「え、あぁ、うん」
そうなんだろうか、この子は幼馴染で…… そうだよな、うん、そんな気がしてきた。
スズハ、耳にしっくりくる、聞きなれた名前のはずだ。
10:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:10:51.36ID:A+6Bb2FW.net
「まったく…… じゃあ早く学校行こ、遅刻するよ。下で待ってるから、早くしてね」
スズハはそう言って部屋から出て行った。
11:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:11:35.62ID:A+6Bb2FW.net
学校…… 行くんだよな、そう、学校。
いつも通りの毎日だ、クローゼットを開けたら制服がかかってて、靴下はタンス、スクールバックに荷物を入れたら、イヤホンを持って外に出る。
外に出たらスズハが待ってて、一緒に学校に行く。
さっきまでの俺は何を寝ぼけてたんだろう。
12:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:12:51.65ID:A+6Bb2FW.net
*
「だけどさ、毎日歩いて学校通うのめんどくさいよな。もう少し近いといいんだけどな」
「えー、私はキョウヤと歩くの楽しいけどなー キョウヤは楽しくないの?」
すっかり目も覚めて軽口を叩く俺に、スズハは少し笑いながら答えた。
「そんなことないよ、ただなんとなく近いといいなって思っただけ」
「そう、ならよかった。でも、そんなに近くしたいんだったら、すればいいじゃん」
13:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:13:20.06ID:A+6Bb2FW.net
「何言ってんの? 時々変なこと言うよ――」
――パチッ
俺の言葉を遮ってスズハが指を鳴らした。
14:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:13:42.38ID:A+6Bb2FW.net
「……えっ」
いったいどうなってるんだ?
何が起きた?
気づくと目の前には学校があった。
15:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:14:06.11ID:A+6Bb2FW.net
「どうしたの?」
スズハは本当に不思議そうに、何に驚いているのかわからないといった感じで聞いてきた。
「どうしたって…… おかしいだろ、なんで急に学校が……」
「だって、近い方がいいんでしょ?」
16:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:14:39.14ID:A+6Bb2FW.net
わけがわからない、どうなってるんだ?
「ねぇ、早くなか入ろうよ、寒いしさ」
そう言ってスズハは俺の手を引いて、昇降口まで向かった。
「だけど、十一月って結構寒いよね。あったかくしちゃおっか」
「ちょっと待って、そんなこともできるの? なんで?」
もう頭が追いつかない、なんなんだいったい。
17:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:15:38.47ID:A+6Bb2FW.net
「なんでって言われても…… それが当たり前でしょ?」
「は?」
「だから、近くしたかったら近くできるし、あったかくしたかったらあったかくできるのが当たり前じゃん。何言ってるの? 今更」
18:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:15:59.09ID:A+6Bb2FW.net
「そっちこそ何言ってるんだ、そんなことできるわけ――」
話終わる前に俺の体を衝撃が襲った。
なんだこれ、落ち……る?
19:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/07/21(木) 20:16:50.15ID:A+6Bb2FW.net
*
――ガタッ
下に落ちる感覚で思わずとびおきる。
ベッドの上で俺は全てを理解した。
「夢か……」
言葉の通り今までのは全部夢だったらしい。
なんでこんな夢をみたんだろう?
夢に理由を求めるなんて無駄か……
今、何時だろうか、近くに携帯が見当たらなかったので探そうと思って電気をつけた。
すると、目に飛び込んできたのは謎の男だった。