「よし、これなら就労として手伝えるね」
「どんな仕事ですか?」
「ここに電話番号を書いて。後で秘書から連絡させるよ」 どうやら秘書とは、ずっと一緒というわけでもないらしい。 その後、何事もなかったかのようにタクシー代を渡され解散となった。 「今日は本当に楽しかった!」と連呼する会長を見ると何だか本当のお父さんのように思えた。
「どんな仕事ですか?」
「ここに電話番号を書いて。後で秘書から連絡させるよ」 どうやら秘書とは、ずっと一緒というわけでもないらしい。 その後、何事もなかったかのようにタクシー代を渡され解散となった。 「今日は本当に楽しかった!」と連呼する会長を見ると何だか本当のお父さんのように思えた。
タクシー代として10万円も入っていてまた怒涛の謝罪とお礼のメールを入れることとなった。
貧乏だけど、誰かから同情されて、恵んで貰いたいと考えていた訳ではない。
貧乏だからこそ、プライドを持って自らの手で稼いでいきたい。
だから、今回の出逢いはうろたえることの連続だった。
そう言えば今まで誰かに頼ったことはない。
それから暫くは大学もバイトも忙しい日々の連続で、会長の「就労」とやらも忘れかけていた。
家庭教師は相変わらず「重要」と赤ペンでびっちり埋まったノートとのにらめっこで、自分のレポートは〆切との追いかけっこだった。
学費はどうにか間に合いそうだったが、母からの追い討ちは手を緩めてくれなかった。
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