でも何とか正気を保って冷静なふりをしたんだ
「どうも俺です初めまして。待ち合わせ場所わかりにくくてごめんね」
って
結構スラスラ言えたから自分でもびびった
もちろんあらかじめ用意してたセリフな
咄嗟にこれが思いつくなら俺は童貞じゃないだろうから
とりあえずユカのスペックな
身長154くらい細身、ダーク系の服でまとめておしゃれ
ちょっとフリフリのついたスカート
顔はAKBにいたら結構人気ありそうな感じ
つまり俺のタイプの子が目の前にいる
でもこんな子をいきなり目の前に出されてどうすればいい?
あらかじめ用意してたのは最初のセリフだけだから
次どうしていいかわからなかったよ
でちょっとテンパってるのがユカにも伝わったと思う
ってか後々「あの時テンパってたでしょ」って言われた
そんで察してくれたんだろう
ユカは「とりあえず初めましてだしそこのカフェでお茶しよ」
って言ってくれた
某コーヒーチェーン店でお茶することになった
親戚以外の女とお茶するなんて初めてだから
ずっと緊張しっぱなしの俺
座る位置とかどうすればいいの?
やっぱおごるの?
甘いコーヒー頼んだら引かれるかな?
とかわからないことだらけだった
情けないよねコーヒー飲むだけなのに
そんでカフェに入って
一応無事に注文を終えて席に着いた
カウンターで先払いで代金払う店だったから
そこは俺が出した
ここだけは男らしくしないとって思ったんだよね
「ごめんね払ってくれてありがとう」って言われたんだけど
今まで言われたありがとうで一番嬉しかったのは言うまでもない
俺は普通にブレンドコーヒー
ユカは紅茶とケーキ頼んでた
女の子ってやっぱスイーツ頼むんだなって思った
それでここからは会話しなきゃいけいない
正直俺は初対面の女の子と話せるぐらい器用じゃない
どうしようかなって脇汗びっしょりだったんだ
でもここはユカが話のリードしてくれたから
おれは基本的にはそれに応えるだけでよかった
これにはだいぶ助かったね
ユ「今日晴れてるのに寒いね」
俺「ん?うん、そうだね」
ユ「ここのコーヒーはよく来るの?」
俺「ないかなぁ家近いから家で飲む」
ユ「それもそうだねw」
みたいな他愛のない話だった
それでも5分くらいユカのリードで話ししてると
ちょっと緊張がほぐれてきた
少しづつだけど
俺からも話せるようになってた
ここで、まだ3%くらいは美人局かもしれないって思ってた俺は聞いてみた
俺「そういえば何で顔も見ずに知らない男と会おうと思ったの?」
ユ「うーん、わかんないけどこの人は大丈夫だと思ったの」
俺「でも普通確認するんじゃない?不安じゃなかった?」
ユ「え?わかんないけど、全然大丈夫w」
だいたいこんな感じのこと言ってた
ユカの返答は何も具体的じゃなかったけど
美人局じゃないなって直感的にわかった俺は安心した
でもちょっと待てよ
じゃ何で顔も知らない俺に会おうと思ってくれたんだろう?
俺も人生どうでも良いって思って出会い系に登録した経緯がある
ってことはユカも何か人生に疲れてるとかそういうことで登録したのかな?
そう思った。
女の子に悩みを聞くなんてことはしたことないが
もしユカに悩みとか人生への絶望とかあるんだったら聞いてあげたいと思った
でも単に軽い感じで出会い系使ってるのかもしれない
なんか会っていきなり心に入っていくような質問はできないなった思った
だから聞かなかったけど
どっちにしても
ユカの事を知りたいなって気持ちは強烈にあったね
そんなこと感じ始めた時だったかな
ユカリードの他愛のない話を初めて40分くらいだったと思うけど
ユカが言った
ユ「今日はホントは色々と悩み聞いてもらおうと思ったけど、
俺くんと話してるとなんかどうでも良くなっちゃった」
俺「え?俺に?」
ユ「うん、私のこと何も知らない人に聞いて欲しかったんだけど、
なんか楽になったからもういいの」
この、自分のことを何も知らない人だからこそ話せるかもって気持ちはなぜか良くわかった
知らない誰かに話すって、俺が普段2chに書き込むのと同じだからな