「ええ?言わなきゃだめ?」
「言ってくれないと、サポートも出来ないって。名前は言いづらいだろうから、どんな人くらいかは言ってほしいな」
「う、うん……」
彼女は頬を染めたまま、少し俯いて話し始めた。
「昔はね、何も思わなかったんだ。でも、大人になって再開して、彼、すごく立派になっててね。私、すごく驚いちゃった。それで、なんとなく、気になったって言うか……」
「……その人って、かっこいい?」
「どうかな。私、そういうの疎いから他の人がなんて言うか分からないけど。私は、かっこいいって思うけど」
「そうなんだ。……想いを伝えたりとかは?」
「む、無理だよぉ……。恥ずかしいし、それに、もしだめだったら立ち直れないし……」
「そっか……」
「うん。そうそう。……それにね、私は、今のままでいいの。今はお互い立場もあるけど、とりとめのない話をして、お互い励ましあって……。
確かに微妙な距離感だけど、彼と繋がってるし。逃げてるように見えるかもしれないけど、今は、これでいいの……」
「……わかった。もしオラに手伝えることがあったら、なんでも言ってよ」
「うん。ありがと」
そういうと、彼女は再び子供たちに視線を送った。
その表情は、とても安らいでいた。話す中で、彼のことを思い出しているのかもしれない。とても、幸せそうだった。
……だが、それは少なくとも、まさおくんじゃない。
名前は聞けなかったけど、それは断言できる。
オラは、子供に追い掛け回されるまさおくんを見て、一人静かに合掌するのだった。
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