いつもオラたちのことを気にかけてくれているむさえさん。その気持ちには、感謝してもしきれない。
オラとひまわりは、彼女が出ていった玄関に向け、小さく会釈をした。
「――おーいみんな!ちょっといいか!」
工場の中で、工場長が声を上げた。
その声に従業員は手を止め、彼の方を見る。もちろん、オラも例外じゃない。
「今日はうちの工場に、元請けのお偉いさんが視察に来る!しっかり働けよ!」
「うぃー!」
「それだけだ!作業に戻ってくれ!」
工場長が話を終えると、従業員は再び手を動かし始めた。
(元請けのお偉いさんか……難癖でも付けにくるのか?)
心なしか、全員緊張しているようにも見える。何しろ、元請けだしな。下手なことをしていたら、最悪契約を切られる。そうなったら、こんくらいの工場は、あっという間に危機に陥るだろうし。
それからしばらくすると、工場に一人の女性が入って来た。
長い黒髪をした女性だった。スーツを着こなし、毅然として歩く。
彼女は工場長からの説明を受けた後、工場内を見て回る。
そんな彼女の姿を見た従業員は、思わず手を止めていた。
続きは次のページからご覧ください!!