「――あ、そうだった。はい、しんのすけ」
むさえさんは、オラに封筒を手渡してきた。
「これ……」
「少ないけど、なんか美味しいのでも食べなよ」
むさえさんが渡してきた封筒には、けっこうな額のお金が入っていた。
「……こんなの、受け取れないよ……」
「そう言うなって。親族からの気持ちだから、素直に受け取りなさい。アタシも無名だったころに、散々みさえ姉さんに援助してもらってたしね。それを返してるだけなんだよ。
……それに、しんのすけ達の元気そうな顔を見れたから、それでいいの」
むさえさんは、優しくそう話した。
「……もしかして、むさえさん。オラたちの様子を見に……」
オラの言葉に、むさえさんは照れ臭そうに頬を指でかく。
「……まあ、アンタ達に何かあったら、あの世でみさえ姉さんに合わせる顔がないしね……」
「むさえさん……」
「――そろそろ行かなきゃ!じゃあね!!」
そう言い残すと、むさえさんは出ていった。
「……なんか、カッコよくなったね、むさえおばさん……」
オラの後ろから、ひまわりが呟く。
「……そんなこと言ったら、またむさえさんにどやされるぞ?おばさんって言うなって。
――でも、その通りだな……」
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