「い、いや……そんなわけじゃないけど……」
戸惑っていると、彼女はクスリと笑う。
「……お邪魔しても、いいですか?」
「……あ、ああ。どうぞ」
そしてオラは、あいちゃんを家に招き入れた。
「――ずいぶん、片付きましたね」
あいちゃんは、そう呟きながら部屋を見て回る。
「まあね。オラの荷物、ほとんどないからさ。一人にはもったいないくらいの家だよ」
笑いながら、言ってみた。
するとあいちゃんは、なにか思ったように俯いた。
「……ん?どうしたの?」
「……い、いえ……それにしても、静かですね……」
「え?あ、ああ……そうだね……」
「……」
「……」
……なんだか、不思議な空気が部屋中に満ちる。
「……私で、よければ……」
しばらく俯いていた彼女は、小さな声で話してきた。
「え?」
「……私でよければ、ご一緒に……」
「……」
……また、部屋は静まり返った。オラも、下手に喋れなくなっていた。
二人揃って、居間に立ったまましばらく黙り込む。でも、何だかこのままじゃいけない気がした。
震える口に力を込めて、ゆっくりと口を開いてみる。
「……あ、あのさ……」
「……は、はい……」
「……今度よかったら、二人で――――」
―――プルルルル
「―――ッ!」
「―――ッ!」
突然、静かな部屋に電話の音が鳴り響く。体をビクリとさせたオラ達は、すぐに音の方を振り返る。
続きは次のページからご覧ください!!


