「……僕、二人のことは、よく分からない。何があったかも、分からない。
でも、二人に、あんな顔、してほしくない。それは、しんちゃんも同じだと思う」
「ぼーちゃん……」
そしてぼーちゃんは、もう一度コーヒーを飲む。
「しんちゃん……キミは、僕の大切な友達。キミのことを、信じてる……」
ぼーちゃんは、それ以上何も言わない。
……いいや、きっとそれだけで十分だと思ってるんだ。オラを、信じてるんだ……。
「……分かったよ、ぼーちゃん。オラ、やってみるよ」
少し大きく、返事を返す。ぼーちゃんは、ニコリと笑っていた。
数日後、オラはとある公園にいた。
空はあいにくの雨。視界に斜線を入れるかのように、雨が降り続いている。
当然、公園に他の人はいない。
掻き消されているのか、降りしきる雨の音以外、何も聞こえなかった。
その中で、傘をさしてベンチに座る。
実のところ、オラは雨の日が嫌いではない。
雨粒を受けた木々、花々は天の恵みを受け生き生きと存在感を示す。濡れたアスファルトからは、普段とは違う、そう、雨の匂いがしていた。
この風景を見ていると、どこか落ち着いて来る。
天の恵み……なるほど、その言葉も納得できる。
「……しんのすけ」
ふと、雨音に紛れるように、オラの名前を呼ぶ声が聞こえた。
その声の主は、誰だか分かっていた。なぜなら、オラが呼んだからだ。
オラはその人物の方を向く。
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