276:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:28:33.91ID:WaoDva9A.net
「3341」(さみしい)
「11101」(あいたい)
彼女からのポケベルが鳴ると俺は深夜に家を抜け出し
走って出かけたこともあった。アヤコはそんなとき、
いつも車道に面した2階にある自室のカーテンを開け、俺を待っていた。
もちろん侵入するようなことも女の子を深夜に連れ出すこともしない。
姿を確認し、手を振りあうだけの一瞬のデート。
彼女は俺の帰り際にはいつも投げキッスをくれた。
アヤコの中にある外国人の血のせいだろうか。
嫌味なしぐさに感じたことはない。あくまで自然にそういうことが彼女はできた。
毎日、2~3時間程度しか寝ていなかったと思う。
若いからできたもいまは思う。
実際それから現在までの人生の中で俺はここまで頑張ったことはない。
283:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 18:14:16.07ID:4sSLX+oy.net
すごく文学的
288:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 22:48:00.75ID:axUT+JkC.net
今回ばかりはどういう災難に会うのかわからんなぁ。とりあえずちゃんとパンツ穿いて待つか……。
289:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 23:50:23.41ID:s99DUq4v.net
わあああ
胸がキュッとするよぅ
続き待ってるからなー
294:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:00:08.00ID:zOnzGAL0.net
>>289
いくつになってもキュンキュンしたいよな。
292:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 01:32:59.70ID:hIdJZwzz.net
浮気されたのかな?
295:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:01:21.60ID:zOnzGAL0.net
夏が過ぎ、秋がすぐそこまでやってくる。
俺は試験の準備に追われ、彼女をお祭りにも連れていってあげられなかった。
そのあいだ、デートは近所か、俺のうちばかりだった。
俺のうちにいるときには、何度も何度もお互いを貪りあった。
いくらしても、満足することはなかった。姉にもらったコンドームはすぐにつきた。
堂々と買うほど度胸はなかったから俺は早朝にこっそり、薬局の脇の自販機で
無くなるたびに補充した。ひと箱三百円で、6個入っていたかな。たしか。
この数か月の猿のような性生活のなかで、アヤコもオーガズムを覚えたようだった。
するたびに、気持ちがよくなる。
するたびに、愛おしくなる。
するたびに、別れが来るかも知れないと言う事を意識してしまう。
その感情が余計に、俺たちを燃え上がらせた。
アヤコは何度絶頂に達しても、さらに求めてきた。
俺が限界に達するといつも彼女は俺のももにまたがり自分で腰を振ってさらに果てた。
彼女は自分の気持ちや欲求に忠実で、奔放で自由な魂をもっていた。
俺はその熱意の対象が自分に向けられていることを自覚し、全力でそれに応えた。
イッたあとの彼女のからだは熱く、汗ばんでいたが不快に思ったことは一度もない。
俺はいつもそんなぐったりとした彼女を頼りない腕で抱きとめ、頭を優しくなでた。
296:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:02:11.13ID:zOnzGAL0.net
時間は、誰の事も待ってはくれない。
そこに愛があろうと、事情があろうと。
残酷なまでに均等に、平等に流れる。
試験の日程が決まった。
英語と、一般常識と、面接の3科目だった。
俺は、アヤコとの関係を維持しながらも限界まで自分の能力に挑戦した。
試験の日。それは東京で行われた。
ウチの学校だけではなく、全国の高校、高専から優秀そうなやつらが集まっていた。
正直言って、俺がいることが場違いだとも思った。
しかし勝負は始まっている。ここで逃げてもしょうがない。
できることを、全力でやるだけだ。沙汰は1か月もかからず出るだろう。
特に行きたい国があるわけではなかったから、
俺は留学可能なすべての国のチェック欄にレ点を入れ、その日を待った。
35か国ほど候補はあった。まったく聞いたことのない国まで。
297:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:03:43.05ID:zOnzGAL0.net
それから、留学団体からの分厚い書類が届くまで、
おれは学校以外の時間をすべてをアヤコに費やした。
すでに社会人になっている奥山にも会わなかった。いままで寂しい思いもさせてきたから
少し遠出して遊園地や動物園、電車で一時間半の大都市にも連れて行った。
流行していたメロコアのライヴにも行ったし、できるだけの埋め合わせをしたつもりだ。
幸せな時間を過ごしているうちにすでに冬の頭の澄んだ空気が忍び寄ってきていた。
その分厚い書類には「合格」という文字と共にこれからのスケジュール、
オリエンテーションの概要、外国へ行くことへの注意点などが書いてあった。
俺が行くことになった国は身バレしたくはないので伏せるが、とある発展途上国だった。
家にあった分厚くて何巻もある百科事典で調べても
その国についての記述は、1ページの10分の1もないような小国。
使われている言語も、普通の書店では会話帳はおろか辞書すら見つからないような。
日本には絶対にありえない高さを誇る山と、きれいな海辺と大きな島がある国。
俺が得た情報はたったそれだけだった。
世界地図で見ても、自分の行く町の名すらない。
不安もあったが、それ以上に未知に対する好奇心の方が勝った。
298:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:06:38.23ID:zOnzGAL0.net
俺は黙っていてもしょうがないので彼女に報告した。
また、自分の部屋だったと思う。
「受かった。すごく遠くて、貧しい国みたいだ。」俺は言った。
「……そう。受かるとおもってた。」彼女からはそれだけ。
言葉にせずとも彼女の気持ちはわかった。
行かないで、の一言をかろうじて我慢しているようにしか見えなかった。
あいかわらず、わかりやすい子だなぁと俺は思ったが、
言葉では、伝えきれない気持ちを伝える為、俺はまたそっと彼女にキスをした。
ひとこと、「ごめん、待っててくれ。」とだけ付け加えて。
そのあとまた俺たちは野獣のようにまぐわった。
彼女はすでに俺のツボを心得え、入念にフ●ラチオまでしてくれるようになっていた。
俺も、彼女のどこを舐めれば悦ぶか、きちんと心得ていた。俺たちは貪欲だった。
何度も
何度も
何度も。
回数は覚えていない。しかし今までで一番激しいセ●クスだったのは間違いない。
彼女の門限が迫る時間になるまで、俺たちは裸のまま布団にくるまり
無言のまま、くちびるがかさかさになるほどキスを続けた。
遠くに離れてしまう前に、そのすべてを自分の体内に取り込んでしまいたいと
言わんばかりだった。
299:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:08:14.10ID:zOnzGAL0.net
その後の説明会で出国の日は、ちょうど俺の高校二年の夏休みが終了する頃に決まった。
しかしそのことはあまり口に出さずに、俺たちは過ごした。
クリスマスも、年末も、バレンタインデーも。ゴールデンウィークも。
口に出したら、何かが終わってしまうような気がしたから。
時間があればいつも二人で過ごした。一緒にいるときはいつも体のどこかが触れていた。
彼女が帰宅するために身を離す度、俺は身が引き裂かれるような気持ちになった。
夏休みには、取っておいたお年玉でふたりで一泊の小旅行に出かけることにした。
ひょっとしたら、これが最後になるかもしれないという気持ちもどこかにあったから。
鈍行で3時間程度かかる、海辺の小さな温泉地。
予算はあまりないから安めの民宿の様なところに決めた。海の家付きの。
子供のころ家族と行ったことがあって、あまり人気が無くゆっくり出来そうだったし。
彼女はおそらく生まれて初めて俺の為に親に嘘をついた。
うまくアリバイを偽装してくれる友人がいたんだと思う。
今のようにスマホで写メ送ったりとかはできなかったから
出かけてしまえばこっちの物、という感覚もあった。
300:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:09:47.56ID:zOnzGAL0.net
普段いい子でいた彼女は無事に疑われずに、一泊でこんなに荷物がいるのか?
夜逃げでもするのか?というくらいの出で立ちで朝早く待ち合わせ場所に現れた。
俺はリュックサックひとつの軽装だったからその荷物のほとんどは当然のように
俺が持っていくことになった。
彼女は明るい黄色の夏らしいノースリーブのシャツと、
デニム生地のホットパンツ姿だった。本当に彼女の曲線はきれいだ。
足元は動きやすいようにか、コンバースのスニーカーだった。お揃いだ。
電車に乗り、何度か乗り換え途中でお菓子や駅弁なんか食べながら海へ向かう。
青い海。白い雲。ベタな表現ではあるが、それが一番しっくりとくる。
砂浜と水面に反射した夏の強い日差しは、俺達の白い肌を容赦なく焦がす。
一度民宿に荷物を置きにいくと、その大きさの理由がよくわかった。
いるか型をしている大きな浮き輪、それを膨らませる為の器具。
シュノーケリング用具一式、日焼け止め。水着やビーチサンダルも何種類も出てくる。
その近辺のガイドブックだって3冊はあった。そりゃかさばるわけだ。
なぜだか小さな折りたたみ式の釣竿まで彼女は荷物に潜ませていた。
彼女はバッグから出した海グッズをすべて一列に丁寧に並べると、
俺のほうを向き両手を腰に当てて可愛らしく、満面の笑顔を湛えてこう言った。
「さぁどうしましょう?」にっかり。夏の太陽よりもまぶしいよ君はもぅ。
301:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:11:56.18ID:zOnzGAL0.net
着てほしい水着と、遊び道具を俺に選べと言うのだ。何故か彼女は得意げだ。
その顔は命尽きるまで全力で遊んでやるぞ。さぁ来い。と言ってるようにも見えた。
俺はくすっと笑って週種類のなかからカラフルな色のビキニを選んだ。
だって、その水着だけちょっと前に出ていたから。本当にわかりやすい。
俺たちはさっそく海に行くことにした。といっても海は目の前。
あとはいるかの浮き輪とシュノーケリング用具も一応持っていくことにした。
ビーチパラソルと砂浜に引くビニールシートは海の家で借りた。
真夏の、でかくて真っ赤な夕日が水平線にかかるまで俺たちは海で遊んだ。
宿に帰り温泉に入ると、やわな俺の肌はピリピリと痛んだ。
いくら日焼け止めをしていてもその効果は限定的だ。
浴衣に着替え、部屋に戻るとすでに夕食が用意されていた。
値段の割には、豪華な食事だった。なにしろ、獲れたての魚はうまい。
夕食の後には花火をやろうとアヤコが言い出した。
当然のように彼女が用意していた。花火用のバケツは宿で借りることができた。
すでに日の暮れた海沿いに続く、堤防の脇を浴衣のまま手を繋いでそぞろ歩く。
昼間よりは幾分涼しい、磯の香りを含んだ風が俺たちの火照った頬をくすぐる。
302:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:15:23.64ID:zOnzGAL0.net
ふたりだけの、ちいさな花火大会。
夜の浜辺はとても静かで人気がまったくなかった。ここを選んでよかったと俺は思った。
持ってこれる量が限られていたので、1時間くらいで残すは線香花火だけとなった。
線香花火の、ちりちりとした弱い光を、二人で身を寄せるようにして眺める。
必然、ふたりとも無言になる。片手はもちろん繋いだままだ。
ぽとり。
線香花火が尽き、最後の炎のかけらが白い砂の上に落ちる。
あたりの闇が、さらに濃さを増した瞬間、彼女が口を開いた。
「この夏が終わったら、イッチは居なくなっちゃうんだね。」
「…大丈夫。すぐ帰ってくるよ。」俺は根拠のない慰めを口にする。
この世代の1年と、今の俺の1年の長さは圧倒的に違うと思う。
この時の俺は、1年後の二人の未来を予測することも出来なかった。
俺たちは浴衣のまま、誰もいない暗い浜辺で、長い長い大人のキスをした。
そのあと、初めて外で声を殺しながらする立ったままのセ●クスも経験した。
別れの予感と、誰かに見られたらという不安が逆に俺たちの興奮を誘った。
宿に戻ってからも俺たちはセ●クスを、飽くることなく繰り返した。
305:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 14:30:43.86ID:ub/k30iH.net
ネタか実話かしらんが、面白い
306:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 16:50:27.17ID:zOnzGAL0.net
>>305
話の大筋は事実だ。楽しんでもらえるように多少はいじってある。
ただ、その時感じた気持ちだけは嘘偽りないとだけ言っておくよ。
読んでくれた人、みんなにありがとう。
さて、続きを投下します。
307:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 16:55:06.10ID:zOnzGAL0.net
次の朝。
隣に彼女がいない。どうやら俺よりも早く起きだして朝風呂に行っているようだった。
俺が寝癖のままボーっとしていると、彼女が帰ってきた。
すでにうっすらと化粧をしていたが、風呂上がりの髪の毛を頭の上でお団子にしてある。
普段出さないおでこが、新鮮で俺はそれを見て嬉しくなった。
父親を除く他の男が見たことが無いであろう、彼女の姿を独り占めできたから。
「まだ寝てたの?早くしないと朝ごはんの時間きちゃうよ。」と彼女。
「うぅ…日焼け痛い…」と寝ぼけ眼の俺。
「寝癖可愛いw目覚ましにお風呂入ってきなよ。」情けないところを見られてしまった。
彼女に促され、さくっと風呂に入り朝飯をかっこむ。
今日も、柔肌と時間が許す限り遊ぶつもりだ。
チェックアウトは10時だったので先に荷物をまとめ、海の家で預かってもらう。
砂の城を作ったり、シュノーケルを使って岩場の魚を観察したり。
結局、あの釣竿は使うことはなかった。なんだったんだろ、あれw
まるで昨日の夜の切ない会話はなかったことにされているみたいに、
明るく若々しく、健全に俺たちは午後まで夏の海を楽しんだ。
彼女と海の家で食べた焼きそばがとても美味しかったことを覚えている。
たぶん今食べたら、がっかりするほど普通なんだろうけど。
帰りの電車で、彼女は疲れ果てたのだろう。俺の肩に頭をもたげて眠りこけた。
いつものシャンプーの香りと、海と、太陽の匂いが重なっていた。
日焼けで赤くなった肌を見つめていたら、暖かい気持ちでいっぱいになった。
ほっとしたのか、いつしか俺も覆いかぶさるように眠ってしまっていた。