253:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:21:00.78ID:OPhejNIB.net
俺はハンバーグのセット、彼女はオムライスを注文した。
食事が来ると少しだけ胸の前で手を組み口元でお祈りのようなものを唱えたのが、
とても印象的だった。怪しい宗教の勧誘なんかとは違う、自然な振る舞いだった。
彼女はほんとうにおいしそうに食べる。そしてたくさん食べる。
ひとくちずつ、ハンバーグとオムライスを交換した。
両方食べたかったらしい。それでもまだ食べられそうな顔をしていたので
俺は彼女のためにチョコレートパフェ、自分にはウィンナーコーヒーを追加で注文した。
たわいもないおしゃべり。くだらない会話。
最初こそ緊張していたが、いつのまにか話は弾んでいた。
人生で最初のデートの相手がアヤコでよかったと心から思った。
窓の外に夕闇が迫りくる頃、俺は思い切って聞いた。
「ねぇ、またよかったらなんだけど。どこか二人で遊びに行こうよ。」
ちょっと焦ったせいで話を切ってしまうような形になったから
彼女は一瞬きょとんとしたが、すぐに満面の笑みを湛えて即答した。
「はい。是非。今日はとても楽しかったです。」と。
すぐに付き合うとか告白するとか言う気持ちはなかった。
ただちょっと時間をかけて彼女の色々な顔を見てみたいと思った。
どんな風に育って、何が好きで、何がきらいで。何になりたいのか。
そんなことすら、まだ知らなかったから。
255:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 20:11:01.36ID:QEEMUuCo.net
いい雰囲気ダナ~
女難の相発揮しないでほしいけどゆっくり見守ろう..
261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
>>255
ありがとう!見守って入れくれ。
258:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 00:14:00.24ID:3CvcQNmU.net
なんか>>1に感情移入してるのか
幸せな話を期待してしまうなw
続き待ってるぞ
261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
>>258
そういってくれると嬉しいよ!
259:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 00:42:54.16ID:VGiR82RZ.net
クリスチャンだから、婚前交渉は、、、駄目か
261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
>>259
あまり関係なから書かなかったけど、プロテスタントは
大人になって自分の意思で入信するんだ。彼女はまだ洗礼を受けていない。
ただ、家が家だからちょっとした習慣みないのはあったが。
269:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:18:51.44ID:WaoDva9A.net
俺は遅い時間にならないように彼女を家まで送ることにした。
彼女の最寄駅は、俺の駅より一つ手前だったからそこで降りて、
送ったら俺はそのまま一駅分、そのまま歩いて帰るつもりだった。
彼女の家は、教会とはいえそこまで特別な建物ではなかった。
普通の日本的な家の脇に、簡単な公民館のような礼拝室が寄り添って建っていた。
窓から暖かな明かりがもれ、焼き魚のような夕食のかすかな香りが漂ってくる。
普通の家庭となんら変わりない、優しい匂いだった。
本当はもうちょっと一緒に過ごしたい気持ちもあったが、
初デートはがっつかず、紳士であれという姉の教えを俺は守ろうとした。
「それじゃまた。楽しかった。今度はアヤコちゃんの行きたい所行こう。」
とだけ俺は言い、クールに立ち去ろうとした。そんな俺を彼女は背後から呼び止めた。
「先輩。ちょっと待ってください。」
俺は驚いて立ち止まり振り向いた。声に棘がある。何か怒っているようだ。
270:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:19:43.36ID:WaoDva9A.net
「どうしたの?」と俺。
「どうしたのじゃないです。ちゃんてなんですか。呼び捨てにしてください。」と彼女。
彼女は頬をいっぱいに膨らませ、目を潤ませて。強い口調なのに、可愛いと俺は思った。
俺はその天真爛漫な陽の気と、勢いに押されこう言った。せめてもの仕返しも兼ねて。
「…アヤコ。じゃあ君も敬語はやめてくれ。緊張する。」
「はい。…じゃない。うん。イッチ、大好き。」
彼女は俺に飛びついてきた。たいして厚くない俺の胸に顔を埋める。
一切穢れていない純粋な、シャンプーのあまくてさわやかな香りに包まれる。
まるで陽だまりの中でもいだオレンジのような。もう月が出ているっていうのに。
うるうると輝きを秘めたそのグレーの上目づかいに、俺は完全にヤラれてしまった。
俺たちは、そっと、おでこを一度合わせはにかみあい、その後照れながらキスをした。
最初の一回はとても短く、そっと小動物どうしが親愛の情を確かめ合うような触れ合い。
あのババアに穢された俺のくちびるは、神の家のすぐそばで赦しを得た。
そのあと何回も、俺たちはなにか大切なものをついばむようにキスを重ねた。
地球上、いや宇宙のすべてが、俺たちの為に動きを潜めているように思えた。
いままでの何もかも、彼女に出会うために仕組まれた巧妙な仕掛けではないかと思えた。
あくまで自然でいて誰にも、神ですら邪魔が出来ない至上の瞬間。
永遠に、この時間が続いて行ってその果てに死があれば満足だと俺は心から思った。
そのときだけは。
271:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:21:28.35ID:WaoDva9A.net
短い春休みが過ぎ、俺は高校に進学した。
あの苦い思い出しかない小学校の桜も例年通りきれいな花を咲かせていただろう。
たいした高校ではなかったが、その学校を選んだのには俺なりの理由がある。
俺は、外の世界を見てみたかった。その学校には留学制度があった。
中学校にはかろうじて友達は居たし、悩みながらもそれなりに楽しかった。
しかし正直、物足りなさを感じていたのも事実だった。
俺は「ふつう」というものに違和感を感じざるを得なかった。性格的に。
地方都市にありがちな我慢して枠内にいれば何とか食えるというだけの安心感と閉塞感。
言い訳をするわけじゃないが、進学を決めたときにはアヤコはいなかったんだ。
「ここ」以外の世界へのあこがれと彼女への恋心との間で俺は揺れ、胸を焦がすような
苦しみが、まだまだ青い俺の心臓を蹂躙した。
あの日から、俺と彼女は恋人同士になっていた。俺にとって初めての「彼女」だ。
高校は住んでいる所からバスで片道1時間程度かかったが、俺は時間を見つけては
彼女と会った。会うたびに、彼女とキスをした。彼女の為に部活はやらなかった。
一緒に歩いているときは、いつも手を繋いでいた。
272:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:22:35.86ID:WaoDva9A.net
折りしもポケットベルが中高生に普及してきていたから、
会えないときも毎日連絡を取り合った。俺たちはお互いのためだけにそれを買った。
『084』(おはよ)
『0833』(おやすみ)
まだ数字しか送信できなかったけど、それでも彼女の存在を近くに感じることはできた。
手の繋ぎは子供の手の繋ぎ方から、恋人繋ぎに変わった。
一緒にいるときは汗ばむような陽気の日でも、小指だけは常にからめ触れ合っていた。
触れ合うだけだったキスも、もっと濃厚にお互いを貪るようなキスに変わった。
俺は拡声器で、この子が俺の彼女です!と世界に宣言したいくらい舞い上がっていた。
何度か家に連れていったから、家族にはすぐにばれた。
不器用な俺は自分なりに誠実に彼女を大切にしていた。
ある日、下の姉の筆跡で「ちゃんとつけろよ」と書かれたコンドームの小箱が
ベッドの上にそっと置かれていた。なんだかわからないなりの愛情を俺は感じた。
しかし、現実は無残にも俺の選択を求めてきた。
留学のための願書の提出日が迫ってきたんだ。
倍率は高かった。高校受験なんかよりもずっと、努力が必要だった。
このままじゃだめだ。そう思った俺は観念して、彼女に相談した。
273:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:24:01.43ID:WaoDva9A.net
ある日、俺は彼女を家に呼び出した。期限まであと3日と言う所だった。
家には誰もいないタイミングを選んだ。季節はすでに、梅雨を目前としていた。
「俺、留学の試験を受けたい。受かるかどうかも怪しいけれど。」とおそるおそる。
「えっ…期間はどのくらい?」と彼女。不安げな視線。長いまつげが揺れる。
「一年。行くとしたら来年の夏から。」俺は事実だけを伝える。
「………うん。イッチ、行きたいんでしょ?あたし、待ってる。」
長い沈黙の後、彼女は俺の目を見ないで言った。言葉とは裏腹に表情に不満があふれた。
こういうときの彼女の顔色の変化は、俺にとってとても心苦しいものだった。
「ごめん。行きたいんだ。どうしても。」俺は続けて突き放すように言った。
「イッチが頑固なのは、知ってる。」彼女は俺の知らない儚げな笑顔を浮かべて言った。
アヤコはもう何も話したくないようだった。
どのみち、何か言おうとしたとしても俺がくちびるを塞いでしまったのだけれど。
少しだけ現実感を増した別れというものの存在が俺たち二人を衝動的にしていた。
そのままお互いの欠損している部分を補い合うように俺たちは無言で服を脱がしあった。
彼女は、俺が卒業した中学校の制服を着ていた。その短く腰元で纏めたミニスカートも、
当時の流行の最先端であった、ルーズソックスも俺が脱がした。
お返しにひきちぎるように俺の貧相な白いワイシャツもズボンも彼女に脱がされた。
274:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:25:47.29ID:WaoDva9A.net
下着だけになった彼女の白い姿はミケランジェロの彫刻よりも遥かに美しく見えた。
偶像なんかよりももっと生々しく、リアルでその上中心に熱を持っていた。
つんと上を向いた乳房。そのたもとには青い血管が走っていた。
ちいさな白いショーツがつつんでいたやわらかなお尻も、重力に懸命に抗っていた。
俺は戸惑いながらも彼女の全てを取り去り、また自分の最後の一枚は自身で取り去った。
肉眼で初めて見る女性そのものの麓には、彼女の栗毛の髪と同じ色彩の茂みがあった。
俺は爆発しそうになりながらもなるべく優しく彼女に触れた。
彼女も少し涙ぐみながらも俺を求めてきてくれた。
そこはすでにぐっしょりと潤っていて、俺の興奮を煽る官能的な香りがした。
深くキスをしながら。淡いピンク色の乳首を指先に感じながらたくさん触った。
ときたま目があい、恥ずかしそうに身をくねらせる彼女。
はぁはぁと獣のように荒い息を上げる俺。時は満ちた。
いままで、流されるまま他人に接していた俺が、
はっきりとした愛情を彼女にあるがままぶつける。
彼女と同じ名前の姉から貰ったコンドームを付けアヤコの中に侵入する。
275:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:27:13.69ID:WaoDva9A.net
姉と同じ名前を持った彼女の名を耳元で囁きながらゆっくりと動かす。
彼女は最初痛がったが、暖かいと言うよりは熱く無限に柔らかいその部分は、
俺をちゃんと受け入れてくれた。慣れていない俺は多少時間がかかったものの、
なんとか頂点に達することができた。ほんの少しだけ朱く、初めてのしるしがあった。
お互いの初めてが重なったその後は、呼吸を整えるように抱きしめあった。
彼女の事が好きで、好きで、しょうがなかった。
でも窮屈な世界から外に出たくて、出たくてしょうがなかった。
相反する感情と、目的とが胸の内でせめぎ合ったとしても、
俺はやるからには精一杯、闘いたかった。
それが彼女への礼儀であるとも思った。
彼女の言うとおり、俺は頑固だったのかもしれない。
受験勉強よりも数段激しい、キツキツの毎日が始まる。
どこの国に行くかはわからなかったが、試験は英語メインだったから
重点的に勉強した。範囲はセンター試験と同程度の難易度だった。
それでも俺は寝る間を惜しんで彼女ともしょっちゅう会った。