ちなみにこの家は母親がいなく、父親が面倒みており
色白で進学校に通う娘はまさに自慢だったそうで、こんなことになるなんて思わなかったそうだ。
「ごめんな……ざい!!ご…めんなさい!!!」
泣きじゃくる娘を目の前にして、何かが吹っ切れたように迫る父親。
「高校生で妊娠なんて意味わかってんのかあああ!!!ああ!?」
「落ち着いてください!!!まずは病院に行くことが先でしょう!!」
「娘の妊娠をおろさせる父親がどれだけ惨めかわからんのでしょうね!!しかも最後の最後まで嘘つきおって!!!親をなんだと思ってんだよ!!!」
ガシャーン!!と周りのテーブルの上のガラス製のものが落ちて
本当に父親が半狂乱になって狂っていた
しばらくして落ち着き、結果的に自分が二人を引き離した形となった。
「俺は絶対病院なんていかん。行きたくもない。金も出さん。そんなことまで面倒見切れるか」
といって、そのまま家を飛び出してしまった。
「ごめんな…さいごめんなさいごめんなさい…」
二人になってから、声にならない声で謝るその子は
いつも笑ってご飯を食べてた時とは別人のような顔で、罪悪感がチクリと差して、無意識に抱きしめていた。
「恨んでもないし怒ってもいないよ。でもちゃんと正直に言わないとね。とりあえず病院に行こう。そのあとその男の子と会おう。大丈夫俺もいるから」
結果、自分が病院に同行する形となり保護者の同意書は保留にし、診察だけとなり改めて手術を決める形となった
しかし、そのあとが大変であった
高校三年だった娘さんの年上は浪人生であった。
昔から交流はあったらしいが、浪人の時にこんな形になるのはただのストレスのはけ口にしたとしか思えなかった。
会った時の浪人君は会うときから顔面蒼白であり、会うや早々俺に土下座をしてきた。親戚の兄貴だと思ったのだろうか。
なんだか無性に殴りたくなった。お前のせいでこんなことに…!だが、大の大人がそんなことしたら本末転倒なので、しっかりけじめをつけろと言い、親に報告することを約束してそのまま帰した
そしてその夜、親父さんがまだ家に帰っていないこともあり
俺がその子の家に留まり、慰めていると突然車が止まり、ピンポンを押しまくる音が聞こえた。
「この度は何とお詫びしたらよいのかあああああああ!!!」
現れたのは浪人君の両親であり、玄関で一斉に土下座がはじまった。
浪人君もしていたが、顔はひどく腫れ上がっており、目は半分も開いてなかった。
またもや兄貴や親だと勘違いされた俺は一端お入り下さいとしか言えず、そのまま上げた。俺の家でもないのにな