「あの…」と言っても出てくる言葉が見つからない。
すると「○○(娘)本当なんだな!本当にこいつなんだな!!無理やりだったんだな!!」と親父さんがその子に問いただしてる
その子は何も答えずただ下を向いて泣いていた。まだ良心の呵責があるのかなと思った
「こんな幼い子に……犯罪だぞ!!!許さんからな!!」
ここまで言われてついカッとなってしまった俺はついに切り出す
「俺じゃないです」
その時その子はビクッとしたように見えた
かなり息があがってまくし立てられたが、さっきまでの威勢がかすかになくなってた。動揺が大きかったのかもしれない。
「確かに○○さんとは会ってました。自分みたいな大人が未成年と会ったこと自体が間違ってます。それに関しては申し訳ないです。
ですが、自分は単にゲームセンターやご飯を共にしてただけで何も恥ずべきことはしてません。
メールのやり取りは見ましたか?
19時までには帰るように示唆してましたし、お別れメールも向こうから来てます」
そう言われて黙る父親。その子はもう涙はなく、ただ震えていた
「帰る時間が早かったら何もないっていう証明にはなら……」
「自分は車は持っていないので、全部電車でした。遠出も出来ませんしホテルだってこの辺りは有人ですから未成年だったらすぐに年齢確認されます。カラオケもカメラがついてますし」
そして決定的なことを言った
「それでも信じてくれないのなら、○○さんの子供のDNA鑑定を行いましょう。それで結果が明白に出ます。それで証明されるのなら率先して提供します。メールのやり取りも全てお見せします」
そういうとさっきまでの怒りが嘘のようになくなり
一気に生気を失った親父さんは
「嘘なのか……」と娘につぶやいた
震える娘はまだ嗚咽を出しながら
「ご…ごめんな……さい」と泣き出した。
それを聞いて父親も声を上げて泣き出した。「なんで……どうして…!」
14才の母で見た光景よりもリアルで重い現場は
なにより自分はどうすべきなのを教えてくれず、二人の泣き声を聞くだけしかできなかった。
「本当は…高校の先輩で…」
ようやく口を開いた時は親父さんはソファーに座り込み、返事さえもしなかった
好意を持っていた先輩に突然迫られ、一回だけの中だしが実を結んでしまったらしい。
「で、先輩に迷惑をかけたくないから俺の名前を出したってこと?」
また泣きながらうなずくその子。
なんとも言えない気持ちに怒りも悲しみも沸いて来なかった。
「お前はああああ!!!一体なにをしたかわかってんのかあああ!!!」
突然さっきまでぐったりしていた父親がものすごい怒号で娘に迫り、胸ぐらを掴んでいた。
「散々迷惑をかけて…!!!こんな関係ない人まで巻き込んでえええ!!!ああああああ!!!!」
「ちょ…!!落ち着いてください!!!」
今度は俺が止める側になっていた