人生って小さな事が積み重なって変わって行く。
嘘のような話ですが、先月大きな節目を迎えた記念に。
書き溜めてありますので淡々と投下して行きます。
2002年夏
自分は三年連続となる自転車の旅の準備をしていた。今回の目的地は無く、期間も1週間から20日くらいと言う大雑把な感じ。テーマは
【風の吹くまま気の向くまま】
今日は昼過ぎ迄寝ていた。出発の初日からグダグダだが、前期試験が直後なので少し位だらけていても良いだろうと早速適当だった。
曇天模様、しかし雨の降らなさそうな自転車旅行には最高の条件。荷物を載せ、柔軟体操をしてから自転車に跨り、ペダルを漕ぎ始める。
普段走り慣れている道は不安もワクワクも特になかったが、良いペースで新札幌駅を通過した。
その時パンクした自転車と、その横にガードレールに背中を預けたまま下を向いて地べたに座っているチャリダーを発見。
ロン毛、金のような茶髪。極力関わりたくないギャル系。とはいえ自転車屋が近くに無いので声をかけてみた。
「パンクですか?」
ビクッΣ(゜o゜;)
あ、外国人だった。
(´・ω・`)△?÷◯□あうったー□+※
ロシア人か?どこか怪我したのか?全くわからなかった。
( ;ω;)!ヘルプ!
英語は話せるみたいだ。
「Are you OK?」
( ;∀;)おけー
「I fix your cycle、please wait a little.」
( ;∀;)きーとす
なんだかよくわからないが、多分お礼かOKって意味だろう。多分。
自転車を近くのコンビニ前に移動する。タイヤを外し、チューブを取り出し、空気を入れてボトルの水をかけながら穴をチェックして行く。あった。ヤスリをかけ、パンク修理ゴムを貼り、叩いて…
作業中に気になったので聞いてみた。
「where are you from?」
(*´∀`*)すおみ!
「すおみ?」
(*´∀`*)!ふぃんらんど!
話を聞いてみると千歳空港から来たらしく、この近くでパンクしてしまい、あちこち自転車屋を探したが結局わからず、疲れて休んでいたところだった。
チューブを戻してタイヤをつけて空気を入れる。ついでに自転車につけた荷物のバランスがバラバラなので付け直してあげる。
(*´∀`*)きーとす!
きーとす、お礼の言葉みたいだ。
(*´?`*)ノもいもーい
彼女はそう言って自転車に嬉しそうに跨り走りだした。
小さなバックを置き忘れたまま。
「Wait !!」
気づいてない…急いで修理道具を自分のバッグに突っ込み、自転車で追い掛ける。結構速い!
しばらく追いかけ、信号で追い付く。
「Wait.」
Σ(・д・ノ)ノビクッ
バッグに気付くと
(〃゜Д゜〃)きーとす!
この娘…なんか不安だ。飲み物も見当たらないし。
近くのコンビニで聞いてみた。
「Where do you want to go?」
(*´∀`*)しれとこ
見事に逆走してる。ダメだ。物凄いダメな娘だ。
「知床 is over there…about 500km」
(´・ω・`)あいやー…
あ、ショック受けてる。アイヤーって…ここは中国じゃないです。
あいやーでワロタ
どうせ暇つぶしの旅だし、思い切って俺も久々に知床チャレンジしてみるか。
「May I help you ?」
(*´∀`*)いえす!
ノリと勢いでフィンランド人の手伝いをしてみることにした。
地図を広げ、旭川、北見、網走、知床で泊まり、観光。同じルートを戻って来るのが時間的にも良い事を伝える。
(`・ω・´)…←多分わかっていない。絶対わかっていない。
まぁ昔話です。だいぶ長いですがね
「OK.I’ll support your travel.OK?」
(´・ω・ `)りありー?さんきゅー!
時間も時間だし、今から出発しても微妙な場所に行く距離になりかねない為、一旦我が家に向かう事にする。
道中
「Today, you have to stay my house.」
あ、黙った。そりゃそうだ。怪しいもん。
「Next day,We go to 旭川,about 120km.OK?」
暫く考えたらしく
(`・ω・´)おーけー。
そして我が家にフィンランドから来た旅人が泊まることになった。名前はスオミからとって一応スミーとしておく。
アパートにつき、自転車から一度おろした荷物を部屋に入れたあと、トイレと風呂の場所を教えて、寝室に案内する。
ベッドの布団をリビングに持って行き自分用に、かわりにベッドに来客用布団を敷いて彼女に貸す。
その間スミーは
(*´∀`*)くーまー
と言いながら扇風機で涼んでいた。一応自分は無害な日本人だと判断されたらしい。
おろした荷物と自転車を改めて見ると明らかに色々不足している。何と言うか…裸足で砂漠のフルマラソンに挑むイメージ。
押し入れのダンボールから予備のドリンクホルダーと後方ライト、そして前ライトを取出し、通路に置いたスミー車へとりつけていく。
( ‘ω’ 三 ‘ω’ )
部屋から出てきて後ろからチョロチョロと作業を見てくる。自分の自転車がいじられて気になっているのか暇なのか、あるいは両方なのだろう。
暇潰しになりそうな物は無いか考えるがフィンランド語の本もビデオも無い。という事でセリフの少ないゲームをやらせる事にした。
作業を終えて部屋に戻り、冷蔵庫から取り出したガラナエールを渡しておいて、自分はスミーのゲームを見る。
スミーはゾンビが振り返ったシーンでよくわからない悲鳴を小さくあげ、犬が窓ガラスを突き破ってきたシーンでついにコントローラーを置いた。
(`;ω;´)
スミーは泣きそうだった。
時間的に少し早いが、せっかくなので近所にある回転寿司に連れて行ってみた。
(・∀・三・∀・)
明らかにワクワクしてレーンを眺めている。
席に座り
Take dishes your self.
(‘ω’ )三( ’ω’)
流れる皿を目で追いかけて卵をとって食べてみる
(゜д゜)
ザンギ(唐揚げ)を食べる。
(゜д゜)
中トロを食べる。
( ;∀;)
スミーはワサビにやられた。うまいのに。
(´・ω・`)つ【メニュー】
でも恥ずかしくて頼めないのか、レーン下に貼られたメニュー写真を指差してなんか言って来る。
皿が来ると
(´・ω・`)サビぬき?
と聞いてくるのでyesと答えておく。海老を気に入ったようで、流れてきた海老を取って
( ;∀;)
またワサビ入りを食べた。嘘つきと言われた。頼んだ皿のことはわかっても、流れている皿の事はわからない。
でもその後に茶碗蒸し、プリン、ストロベリーパフェを食べて機嫌を直してた。
帰りにコンビニで花火とアイスと飲み物を買い帰宅。お風呂にお湯を入れ、入浴剤を選んでもらい先に入ってもらう。
その間自分はリビングのテーブルに買ってきたオヤツをセットし、旅の計画を練っていた。
スミーが1日何キロ走れるかはわからないが、目安となる休憩箇所と時間とを地図に書き込む。
ついでにメモ帳とペンを用意した。お互い英語で何とかコミュニケーションをとれてはいるが、いつ困るかわからない。文字や絵でカバー出来ればかなりラクになると思ったのだ。
スミーが風呂から上がり、登場。入浴剤の効果だろうか微妙にテンションが高めだった。
地図とメモ帳とペンを渡し、簡単に説明する。
(`・ω・´)←多分わかっていない
数分後
(`;ω;´)
スミーは色々買って来た駄菓子のわさび海苔にやられていた。
自分もお風呂に入らなくてはならないので、テレビをつけ、初代スーパーマリオをセット。
ヽ(=´▽`=)ノ
これには嬉しそうなスミー。
風呂から上がると4-1でやられていた。
英語はあまり得意でないですが、海外にメル友作ると早いですよ。中学英語が出来れば海外でコミュニケーション出来ます。
外が暗くなったのでスミーを駐車場に連れて行き、ローソクに火を灯し花火開始!
最初のうちこそ不安顔をしていたが、小さな花火から慣れていくに従い、色の変化に喜んだり、地面に挿してみたり、両手に持って回ってみたり。元気なことは良いことだ。
隣の部屋の兄ちゃんがそれを見て吹き上げるタイプの花火をいくつか持って来てくれた。
スミーにとっての日本の旅に良い思い出が出来たようで、自分自身少し楽しかった。
花火を終え、スミーと再び部屋に戻る。自分はコーラ、スミーは果実が描かれた缶のシュワシュワしたやつを飲み、互いにぎこちない英会話をしている。
軽く酔ったスミーは扇風機に向かって
(*´∀`*)ア“ア”ア”
と遊んでいたりもした。世界の扇風機界では常識的な遊びなのだろうか。
(*´Д`)
我に返ったのか少し恥ずかしそうだった。
何故手伝ってくれるの?みたいな事を聞かれれば「自分も知床に行くんだ」みたいな返事をする。時々通じない事もあるが、一問一答みたいな雑談をしていたら
(´・ωゞ)ぬくったー
と言い出した。
「sleepy?」
(´・ωゞ)…いえす
眠いらしいのでベッドへ行ってもらい電気を消す。扉を閉めてリビングの電気を消すと何か言っている。
(`;ω;´)
あ、バイオハザードのせいで怖いのか。仕方がないので扉をあけて寝室と繋いで眠った。
~~~ネンとか
物音で目が覚めるとスミーがトイレから出てきた所だった。
「…Good morning」
(・ω・)ふぉめんた
テレビで天気を確認する。降ってもにわか雨程度かと言う天気だ。
軽く朝食を取り、道具を載せて、スペア用に持ち歩いていたJ-phone携帯を貸す。自分は当時電波最強のau,男のGショック携帯だ。
スミーにとっては2日目、自分にとっては旅の初日が始まった。
がっちりしてるやつ
自転車の旅なのでかなり長いです。
最初のGショック携帯は時速40kmから落下しても壊れませんでした。あれは素晴らしいです
最初はスミーの移動速度の把握。移動速度が極端に違うと互いに疲れるため、先ずは市内をスミー先導で走って貰った。結果、自分の中低速ペース位でこちらも疲れにくい速度で行ける事がわかる。
これならどちらが先導しても問題はなさそうだ。当面は一本道、危険な場所と休憩ポイント以外はスミーに景色を楽しみたがら走ってもらうように先導をしてもらう事にする。
岩見沢を越えてなおスミーはリズミカルにペダルを漕いで走る。メットから垂れ下がる髪が左右に揺れて猫の尻尾みたいだなぁ、と思いながらついていく。
時折ドリンクホルダーからボトルを取り出し飲んでいるところを見ると、やはり装着して正解だった。
スミーはなかなか凄い。正直侮っていた。平地をロードに乗っているとは言え約4時間スピードを落とす事なく走っている。男でもこれはなかなか難しい。