ドアはボコボコに凹み、元々の凹みは既に分からなくなり、
ドアの塗装はボロボロと剥がれている。
その間チーマーは泣きそうになりながら「すみません すみません」と言っていた。
俺は自分にされたことも忘れ、すこし可哀相に思ってしまった。
そんな俺の思いをよそに、更にヤクザの恐ろしさは加速する。
ヤクザA「あとで50万渡すから ちゃんとドア直せよ」
チーマー「・・・」
ヤクザA「ところで、車の修理代はこっちが持つけど、バイクの修理代はオマエが持つんだよな?」
チーマー「…えっ??」
ヤクザA「あん?だってオマエそうだろ?お互いに壊したものを弁償すれば解決じゃねーか」
ヤクザA「○○よ このバイクいくらだった?」
俺「中古で30万位でした…」
ヤクザA「うーん…あっちも凹んだドアを新品にすることだし、
同じようにバイクも新品にしてもらったらどうだ?」
俺「えっ?」
ヤクザA「バイクはな、見えないところが壊れてたりすると、あぶねーぞ」
「遠慮しないで新品にしてもらえ」
「新車でいくらだこのバイク?」
俺「多分60万位だと思います…」
ヤクザA「そっか、じゃあ、消費税乗せて70万くらいだな?」
俺「・・・」
ヤクザA「ヘルメットは?」
俺「多分3万くらいだと思います…」
ヤクザA「そっか、じゃあ、消費税乗せて5万くらいだな?」
俺「・・・」
ヤクザA「全部で75万と…」
ヤクザA「仲介手数料が…25万で…」
俺・チーマー「え??」
ヤクザA「お、ちょうどきりがいいな ぴったり100万だ」
ヤクザA「さっきの50万とプラスマイナスして…オマエの払いは50万だな?」
俺はただただ呆然としてそのやり取りを見ていた。
ヤクザが「○○よ オマエ怪我はしてないんだろ?だったら早く店に帰ってやんな」
「店長心配してるぞ」と「後は任せておけ」と言われて先に帰ることにした。
礼を言うべきなのかどうか迷ったが、一応「ありがとうございました」
と言って、その日のビデオを渡して、その場を離れることにした。
倒れていたバイクを起こしメットをかぶる前に、
ヤクザBの「おら、オマエら全員免許証だせ コラ」と言っているのが聞こえた。
後日、店長が「△△さん(ヤクザA)から預かってきた」と言って封筒を渡された。
中には5万入っていた。
なぜ5万なのか分からなかったが、
よく考えてみると
「30万(俺が初めに言ったバイクの金額)-25万(仲介手数料)=5万」
ということなんだろうと思い、
「やっぱりヤクザは怖いw」と思った。