「絶対に漫画家になる!」と決意して必死に頑張ったものの、悲惨な崩壊の末路を辿った男がこちら…!

全ての漫画家志望に捧ぐ

スペック

男・フツメン

17歳まではごく普通の生活を送ってきた。

特に大それた短所も長所も無い感じ。

まさに「どこにでもいるようなごく普通の男」

人生の分岐点が訪れるのは17歳の夏。

進路希望表が配られた日のことだった。

俺の高校は割と偏差値のいい高校だったが、 周囲の頭のよさに付いていくことに俺は限界を感じていた。

そこに俺の親友だった男に進路をどうするつもりかを相談してみた。

彼は「俺はミュージシャンになるぜ」と言った。

その迷い無き即答っぷりに…

俺はカッコイイと思った。

「人生は一度きり、ならば好きなことを全力でやってみたい」

「退いて後悔するより、進んで後悔したい」

彼の口癖だったが、それまで何となくのレールに乗ってきた俺には新鮮な発想だった。

そして、俺も昔から大好きだった

漫画家を真剣に目指すことを考え始めた。

「漫画家になろうかな」と思ってから、成績が下がるまでの間は凄まじかった。

「漫画家に学歴は関係ない」というのが逃げの口実となり、 次の考査で一気に赤点連発。

落第の一歩手前まで行きかけた。

高校をちゃんと卒業してから漫画を描き始めようと決めていたが、 あの成績では意味が無かったかも。

ともかく、高校は無事卒業できて、俺は漫画を見よう見真似で書き上げ、 S社に持ち込みに行った。

S社で俺を受け持ってくれた編集さんは今振り返ると結構な敏腕編集だったのかもしれない。

一流少年誌の看板漫画の当時担当編集だった。

俺の原稿をとても字を追ってるとは思えないくらいのスピードで読み、

「君の原稿を読む義理は読者には無い」というようなことを言った。

俺は自信があったということもあり、その言葉一つ、

その編集の厳しいテンションに 一気になえてしまった。

「金の卵がやってきた!これは即デビュー、次は連載用のネームを持ってきて」

くらいの反応を期待していたのだ。

今思うと本当に有り得ないことだけど、当時は本気でそうなると信じていた。

しかし、その時点ではまだ士気は折れていなかった。

S社の編集の腕なのかもしれないが、けなされはしたけど俺の作品のいい所も挙げてくれて、

いい具合にやる気を促されたような気がした。

その作品は月例賞にまわされることになった。

発表日まで何も手につかないくらいにそわそわしたが、 結局「あと一歩」にも引っかからず落選。

これにも相当なショックを受けた。

今まで自信満々だったが、ここで初めて自分は天才ではないと思い知らされた。

そして、そんな中なんとか第二作目をかき上げ、同じ編集さんに見てもらうことになった。

第二作目の持込のとき、その編集さんは1時間も遅刻した。

俺はいつ訪れるか分からない編集さんに失礼のないよう、

背筋を伸ばしたままで1時間待ち続けた。

一時間後訪れた編集さんは、大げさな仕草で事務的に謝罪し、

特に雑談も無く俺の原稿をめくり始めた。

相変わらずめくる速度が速い。

そして「これは賞に出しても絶対に引っかからないでしょう」と言った。

「え?」

「主人公にまったく感情移入できません。例えばここのvんヴぁいhbf」

そこから先はよく覚えていないが、とにかくこの作品は賞に出すことすら拒まれた。

 

2ヶ月掛けて仕上げた俺の第2作目は、

預かってもらうことすら出来ずにそのまま家へと持ち帰ることになったのだ。

帰りの電車の中、ものすごく惨めだった。

今のままではいけない!と思った。

次の作品をかき上げるのには半年以上かかった。

バイトで生活費を稼ぐのも楽じゃなかったし、 原稿も今まで以上に丁寧に仕上げた。

ネットや本屋で技術を学び、透視法、ケズリなどの技術も織り込ませた。

すると明らかに今までと違う、かなりいい原稿に仕上がった。

ストーリーは「金色のガッシュ」の亜流みたいな感じになってしまったが、

少年誌らしい自分の漫画に満足だった。

意気揚々とS社にカムバック。

同じ編集さんに見てもらうことになった。

反応は良かった。

今活躍している作家陣の新人時代と比べても遜色ないよ…

とまで言ってくれた。

「これは賞に出しましょう」とも言ってくれた。

やった!!!!と思った。

それから賞の結果が出るまでの一ヶ月間、本当に幸せだった。

どれくらいの賞がもらえるのかがかなり気になった。

ちなみに漫画の賞はどこも大体同じような名前で、

大賞→準大賞→入選→準入選→佳作→奨励賞→期待賞→もう一歩

という格付け。

佳作をとれればデビューレベルなので、俺はその佳作に何とか食い込めないものかと願った。

しかし、結果は…

もう一歩にすら名前がなかった。

信じられなかった。

何かの間違いかとも100回くらい思った。

しかし確認の電話を入れられるほどの度胸もないため、 放心のまま一週間くらいを過ごした。

ここで俺は初めて将来に対して焦り始めた。

こんなニートに近いフリーターのような生活をしていて、 ものにならなかったらどうなるんだろう?

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