「……なんだ?」
不思議に思ってると、男の一人が後ろを振り返った。
「……今日のところは、お嬢様をお任せいたします。ですが、何かあった時は……」
「……わかってますって。煮るなり焼くなり、好きにしてください」
オラの言葉を聞いて安心したのか、男はそれ以上何も言わずに、立ち去って行った。
「……いったい、どうしたんでしょうか……」
「……さあね。とにかく、駅に向かおう。電車の時間が、迫ってるし」
腑に落ちないところもあったが、オラ達は、再び駅に向かい始めた。
電車に乗ったオラ達は、線路を走る振動に揺られていた。
窓の外の音は走行音に消されて、単調な音はどこか心地よく感じる。
気が付けば、あいちゃんは眠ってしまっていた。
オラの肩に、頭を預けて。
どうするか考えたけど、起こすのも悪いし、そのまま寝かせることにした。
そんな彼女の髪からは、仄かに海の香りがしていた。
電車は次の駅に止まる。
すると、ホームから、一人の老人が入ってきた。
初老くらいだろうか……しかし身なりは、とてもしっかりしている。スーツを着こなし、白髪の髪を揃えていた。その雰囲気は、威厳に溢れている。
その老人は電車に入るなり、真っ直ぐオラのところへ近付いてきた。
そして、優しく声をかけてきた。
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