「……電話か……」
一度彼女に目をやる。彼女は、頬を桃色に染めて、困ったような笑みを浮かべていた。
何だか照れ臭かったオラは、少し重い足取りで電話に向かった。
「……はい、野原ですが……」
「――聞いてよしんちゃん!!」
受話器を耳に当てるなり、叫び声が耳を貫いた。
咄嗟に受話器を耳から離し、改めて話をする。
「……ま、まさおくん?」
「そうだよしんちゃん!――それより、聞いてよ!!」
まさおくんは、かなり慌てていたようだ。
「どうしたのさ、いったい……」
「あのね!僕、ねねちゃんに告白したんだ!!」
「……マジで?」
「マジだよ!大マジだよ!!そしたら、ねねちゃん、言ってきたんだ!“好きな人がいる”って!!!」
(……あちゃー)
思わず、手を頭に当て上を見上げた。
「とにかく、詳しい話はいつものファミレスで話すから!!すぐ来てよ!!―――ガチャリ」
まさおくんは、一方的に電話を切断した。
(……こりゃ、面倒なことになるぞ……)
まさおくんは、ねねちゃんが好き。でもねねちゃんは、ぼーちゃんが好き。
なるほど、とても面倒な構図になっている。高確率で、嵐が吹くだろう。
「……どうか、しましたか?」
気が付けば、あいちゃんが後ろに立っていた。
「……ああ、ちょっとまさおくんが相談があるって」
「まさおくんが?」
「うん。オラ、ちょっと行かなきゃ……」
「……そう…ですか……」
彼女は、残念そうに表情を暗くした。――かと思えば、すぐに明るい表情を浮かべる。
「……私も、ご一緒します!」
「え―――?」
彼女の目は、ただオラを見つめる。それを見ていたら、何だか笑みが溢れて来た。
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