「……本当にごめんね、しんちゃん、ひまわりちゃん……」
「……謝るくらいなら、解放してください。そして、一緒に自首しましょう。こんなことをしても、いずれ必ず捕まりますよ」
「……うん、そうかもね……。でも、僕はもう人を刺したんだ。……もう、引き返せないよ……」
「……四郎さん……。ならせめて、ひまわりだけは解放してください」
「お、お兄ちゃん!?」
「ひまわりは見ての通り、歩くことが出来ません。このまま一緒に行動しては、必ず足手まといになりますよ」
「………」
……自分で言った言葉に、胸が痛んだ。
――“歩けないひまわりは、足手まとい”――
本当は、口が裂けてもそんなことは言いたくなかった。
そんなこと思っていない。だけど、彼女が解放されるなら、その可能性に賭けてみた。
……だが四郎さんは、頷くことはなかった。
「……キミ達は、大切な人質だからね。悪いけど、解放はしないよ……」
(……くそ……ダメか……)
とにかく、四郎さんの狙いが分からない。
それを探るべく、オラは再び話しかけた。
「……どうしてオラ達を?」
すると四郎さんは、失笑するかのように、短く笑う。
「……そんなもの、決まってるじゃないか。
――金だよ……」
四郎さんは、ライトの光をオラに当てる。
眩しくて眉をひそめていると、四郎さんの声が響いた。
「噂で聞いたよ。――しんちゃん、キミ、酢乙女グループのご令嬢と婚約したらしいじゃない。
……凄いよね。日本トップレベルの大企業のご令嬢だよ?これから先、遊んで暮らせるだけの金が入るんだ。
……許せないよね。僕はこんなに苦しいのに、キミは想像も出来ないほど、裕福な人生を歩むんだ」
「……」
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