「まず、これは内部バッテリーを付けており、軽く車輪を回すだけで、スムーズに移動することが可能なんです」
「へぇ……電動自転車みたいなものか……」
「凄い……でも、なんだか悪いよ」
「それには及びません。先ほども言ったとおり、これはテスト運用です。月に一度レポートを提出してもらいます。
こちらも、貴重な資料にさせてもらいます」
「……分かった。ありがとう、あいちゃん」
「礼には及びません。……しんのすけさん、私に出来ることがあれば、何でも言ってくださいね」
そして、あいちゃんは帰っていった。
こうして、ひまわりを迎える準備は、着々と整いつつあった。
それから、ひまわりの退院の日を迎えた。
「うわぁ……!」
ひまわりは、家の変わりように声を上げる。
家の中は、すっかり変わっていた。
タンスは全て一回り低いものに変え、大概のものが車椅子のままでも手の届く位置に置いた。
まるでリフォームでもしたかのような室内は、久しく家に戻らなかった彼女にとって、新鮮なものだろう。
「これなら、だいぶん過ごしやすくなると思うから」
「……うん。ありがとう」
言葉とは裏腹に、ひまわりからは、さっきまでの元気はなくなっていた。
顔も、どこか辛そうにしている。
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