四郎さんの話は、とても辛かった。
それでも、彼の経験した辛さは、桁違いのものだっただろう。
社会の厳しさに飲み込まれ、絶望し……今の彼は、生き方を失っているのかもしれない。
もちろんそれは、犯罪を正当化する理由にはなり得ない。
……それでも、同情せざるを得なかった。
……だけど……
「……四郎さん……オラは――」
「――ふざけないで!!」
「――ッ!?」
「――ッ!?」
突然暗闇の中、ひまわりの怒声が響き渡った。
オラと四郎さんは、思わず声を出すのを忘れ、ただ彼女を見つめていた。
ひまわりは、四郎さんを睨み付けていた。
さっきまでの怯えていた彼女とは、まったく違っていた。力強く、鋭い目つきだった。
こんな眼がひまわりに出来たことに、オラは驚いた。
「ひ、ひまわりちゃん……」
四郎さんも、動揺していたようだった。
ひまわりは、なおも四郎さんに叫ぶ。
「どれだけ辛くたって、どれだけ苦しくたって、それがこんなことをする理由になんてなるわけないでしょ!?
あなたは卑怯だよ!!四郎さん!!自分の環境を、全部他人のせいにしてる!!
――そんなの、卑怯だよ!!」
「……う、うるさい!!うるさいうるさい!!
お前に――お前に何が分かる!!僕が味わった苦しみが、お前なんかに分かるもんか!!」
「辛い思いをしたのは、あなただけじゃない!!誰だって、苦しいことがあってる!!
――四郎さんだって同じでしょ!?あなたに……私とお兄ちゃんの、何が分かるの!?」
「―――ッ!」
「………」
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