78:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:10:12.961ID:Odf1ZQp/0.net
アスカの部屋は、まあ、女の子の部屋? て感じではなかった。
片付いている、というよりは物が少なくてさっぱりしてる。
ベッドと透明なアクリルのテーブル。小さい本棚とその上にテレビ。CDラック。
リフォームの匠が機能的に改造して片づけました、みたいな感じだ。こう、必要最低限のものが所定の位置にある、という感じ。
壁に立てかけてあるギターが少し気になった。アスカて趣味でギターとかやるのか? 軽音とかやってても違和感ないけど。
おもむろにCDラックに近づき一枚手に取ってみる。アスカとの会話のネタにでもなればいいと、どんなアーティストのものかと興味があった。
初めに手に取ったのは無地のCD。100均とかで売ってるCD-Rて感じだ。vol1と書いてある。気になって隣、その隣も見たが案の定vol2、vol3、vol4と続いた。
ヒント。立てかけのギター。
もしかして自分で演奏した曲か?
気になるが真偽はこのCDの中にしかない。
少し部屋を見渡したが、コンポとかは見当たらない。となるとPC……だが、さすがに勝手に起動するのはどうだろう。
お?
無地オリジナルCDに紛れて、押忍!番長のサントラがある。あー、好きだもんね、アスカ。
なんとなく笑いが出た。少しアスカを知れた気になった。そりゃあ勝手に部屋探索したらね。うわ、マジモンのストーカーみたいじゃん俺。
洒落になんねえ・・・。
それからしばらく携帯弄ったりとで時間をつぶしているとアスカが目を覚ました。
「んあー……」
本当に言うから驚きだよ。
アスカは顔をこちらに向ける。
「え……? なに、なんで……?」
「?」
「なんで家いるの!?」
軽くパニックを起こしたアスカを宥める。少し元気になってたみたいだ。
とりあえずここまでのやりとりを説明する。ラインのやり取りとかも見せて。
するとアスカはあー、とか、うー、とか言いながらそういえばそうだったな、みたいに納得した。
いや、理解したって感じで納得はしてなかったかもしれない。
「あっ!」
がば、と目の前に透明人間がいて、そいつを抱き締めるみたいな動作をアスカが見せる。
「……ちょっと、出てて。着替えたい」
赤面したアスカという世にも奇妙なものをもっと網膜に焼き付けておきたかったが、
俺は背中を押されてトイレに監禁される。
「わたしがいいって言うまで出てくんなよっ!」
乱暴に言われ俺は素直に従う。
おっといけない鍵を閉めなくては。
なぜかって?
万が一アスカが外から開けてきたら大変なことになるだろう常考?
79:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:10:32.403ID:Odf1ZQp/0.net
さて、お互いにひと段落ついて、
まあ、いろいろ話した。
先に言っとくが俺はこの日告白はしていない。
出来なかった。
アスカは自宅で電話した時に比べれば元気になっていたように思う。
俺が飯用に材料を買ってきたことを言うと、じゃあ、作るねー、と一人で始めてしまった。
「なんじゃこりゃー! これ、おかゆぐらいしか作れないじゃん!」
だからおかゆ作るつったろ。病人は黙りなさい。そして手伝わせろ。新婚みたいにさせろ。
「わたしは病人だけど、俺君は健常者でしょ?」
健常者て。
こっちのことを気にしてくれたのがうれしかった。
ちなみに手伝うという俺の進言は、お客さんは座ってなさい、というアスカの一言で却下された。
待ってる間退屈だったので、アスカにPCを貸してくれと頼んだ。
二つ返事でいいよーとのことだったので少し複雑な感じがしたが、
念のため、例のCDを再生していいか聞いた。
「……ん。……いいよ。イヤホンしてね」
さっきのやり取りがあっただけに少し歯切れの悪さが気になった。
CDの中身は予想通りオリジナル?の曲だった。
なんかこう、市販品とは違って自分たちで録ったものをCDに書き込んだ、て感じの音だ。
予想と違ったのはボーカルが男だったこと。
俺はてっきりアスカが歌っているものと思っていた。
これ誰?とか聞けるはずない。
なんか悶々とした。
だってのに。
「いい曲でしょ?」
「あー……はい。はじめて聞きました。結構有名なバンドですか?」
「ミラーマインド。知ってる?」
「あー……ツレがなんか言ってた気がします。俺ははじめてききました! 結構売れてるんですか?」
無論、そんなもん初耳。こういうの知ってる方がオシャレな感じがして食い下がった。
「ううん。デビューしてないから、マイナー……ていうか、知ってる人しか知らないバンドw」
やばい墓穴だ。
「そすかw あー、ライブハウスとかの物販で買ったんですか?」
「……」
「え……?」
「直接もらったよ?」
「知り合い……なんですか?」
「彼氏」
「……なにが?」
「ヴォーカルの人」
80:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:12:55.283ID:Odf1ZQp/0.net
視界が弾けた。
頭が真っ白になって気付いたら俺は自宅にいた。
明け方頃だった。
一気に情報が入り込んできて、整理が追い付かなかった。
「彼氏」
さらっとアスカは言った。
今までなんでそんなこと考えなかったんだろう。
いるよねー……そりゃあ。彼氏。
アニさんの言うとおりだよ。これパターン2だわ。計算高いアホだわ。
え? 俺? みっともないアホだよ。
一人で舞い上がったアホそのものだろ。今度こそ完全に終わった俺の恋。
――彼氏
何度も何度もその瞬間が目に焼き付いて離れない。
苦笑したみたいにわらぅて、困ったみたいに小首をかしげていた。
少しだけ哀愁を感じさせる表情で、陰があるのを取り繕って無理に明るくふるまう感じ。
気を使ってくれたんだなて、俺でもわかった。
アスカ、いや、アスカさんは俺の気持ちとか当然気付いてて、
そんで傷つけないようにて気を使って、
だけどこれ以上はもう駄目だなって、お互いの関係をはっきりさせたんだろう。
だとしたら俺は……ガキだ。
情けないよりも、みっともないよりも、恥ずかしいよりも、バカでアホよりも先に、
どうしようもなく、ガキだ。
別に、年齢は2つしか違わないけど、
でも、なんかこう、自分の中にあるものに差を感じて苦しかった。
アニさんに一言。
『彼氏いました』
とライン。
返事は少ししてから返ってきた。
『バーカ』
知ってるわそれぐらい。
自分が抜け殻になるのがわかった。
結局アニさんの言うとおりだった。忠告してくれたのに俺バカだわ。
『バーカ』
アニさんのメッセージ二度目に見るとなぜか少し笑えた。
やかましいわ。
81:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:15:05.865ID:7GarnF1EM.net
セ●クスはよ
83:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:17:05.612ID:Odf1ZQp/0.net
数日後、俺、再びアニさん宅へ訪問。
言いたくないけど言う。
やらせてもらうつもりだった。
もうこの行き場のない思いをどんだけ下種な方法でもいいから消化したかったのだ。
アニさん美人だしさばさばしてるし、頼めばさせてくれるだろう。
今から思えばマジで最低だった。若気の至りというのか? 恥ずかしいし情けない。
俺は泣きながら腰を振って、ただただ溢れてくる快感に身を任せた。
いっそ感情なんて溶けてなくなってしまえばいい、全部残さずいろんなものと一緒に吐き出してしまえばいいと思った。
そしてアニさんの中で果てた俺はもう一生分の感情を垂れ流して、
無駄に長い人生を浪費して既定路線みたいな一生を終えましたとさ。fin
86:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:19:07.513ID:Odf1ZQp/0.net
「やんない」
アニさん、一閃。
それは差し入れた缶ビール三本をアニさんが飲み干したタイミングでのことだ。
ちなみに俺は素面。これからって時に酔っ払ってられるか。
で、酔いが回ったのか僅かに顔を上気させているアニさんを床に押し倒し、
強引にキスをした。
そのまま舌を入れて口の中をかき回してやろうと思ったが、
アニさんは唇をきゅっと閉じたまま受け入れてくれない。
仕方ないからアニさんの薄い胸を揉もうとして手を伸ばし、手のひらが触れたところで言われた。
さっきまでと変わらずほんのり赤い頬。
俺のせいで乱れた服装。へそ丸出しのアバンギャルド。
明るい色の髪が放射状に散らばっている。
無表情に、アニさんは俺を拒絶した。
瞳だけが真剣で、そこには敵意とか、嫌悪とか、憐憫とか、
そういう感情は一切なかった。
で、俺、アニさんに突き飛ばされる。
壁に頭をぶつけて視界に星が飛ぶ。
アニさんの攻撃はそれだけで終わらない。
がっ、と無遠慮にアニさんは俺のズボンを脱がせる。
はじめベルトを締めたまま脱がそうとするものだから、
俺は少し部屋の中で引きづられた。
で、パンツも奪われ下半身丸出し。
当然アニさんは止まらない。
もともとそのつもりだったはずの俺は、にもかかわらず微力な抵抗をする。
アニさんの手首をつかんで、「やめましょうよ」というと、
「はなせ」
マジこわったので従った。
87:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:19:41.913ID:Odf1ZQp/0.net
アニさんは自分の手に唾を垂らす。すげー扇情的。AVとかで見たことあるけど、
女の人が舌をベローと出して白っぽい唾が糸を引いて落ちていく光景。
目の前でそれを見て官能的な気分に苛まれた。
湿ったアニさんの手が俺のものを握りこむ。
そして数度、手のひらで上下にしごかれ、
そのあとは滑らかな動きで先端を刺激された。
で、終わり。
吐き捨てるみたいにアニさんは言う。
「気持ちいいか? 良くないだろ。そういうことだ。だから、やんない」
俺のものは、生理的にはばっきばきだったけど、
言われてみれば確かに、気持ちよくはなかった、のかもしれない。
目の前で繰り広げられるその行為が、まるで他人事のように感じられた。
こーんと、ティッシュケースの角が額に直撃する。
「煙草吸ってくる。それ、自分で処理してパンツはいてろ」
そう言って上着を羽織るアニさんは既に煙草に火をつけていて、
めちゃくちゃかっこよかった。
颯爽と去っていく背中を眺めながら俺はもう涙が止まらない。
自分の中の、最後の防衛線が決壊したみたいだった。
俺ははじめてまどマギを打ったあの日のように止めどなく溢れる涙を抑えきれず、
号泣しながら一人で抜いた。
88:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:22:15.745ID:S7q/YGnFa.net
わろた
93:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:41:11.385ID:Odf1ZQp/0.net
>>88
もっとさげすむように!!!
91:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:40:24.097ID:Odf1ZQp/0.net
「落ち着いたか?」
「……おかげさまで」
恐ろしかったのはタイミングの良さ。
アニさんは俺が一人で果てるのとほとんど同時に部屋に戻ってきた。
この人何なの? エスパー?
賢者タイムも半ばに俺はアニさんに向き直る。
速攻で土下座した。
「すんませんでしたッ!」
我ながら最低だと思ったからだ。
確かにアニさんは粗暴で、口が悪くて、DQNで、デリカシーがなくて胸もないが、
生物学上は女性なのだ。だから俺は性欲のはけ口にしようとしたわけだし、
でもそれは男として最低だ。あれ? 自分で言っててこれ反省してる?
「あたま上げろ」
蹴られた。
こう、足の甲で額を蹴り上げられた。
「痛ッて……!」
「くはははは」
何この人、ドS?
俺最近エムに目覚めそうだったけど引っ込んだわ。
「あー、情けねえ顔。今ならしてやってもいいけど?」
「……いいすよ。アニさん胸ないし」
「無い胸揉んだ手でしこしこやってたのは誰だーおい」
「ちょっと待て、なぜ俺が使用した手を知っている」
そんな馬鹿みたいな話を少しして笑って、飲みなおした。
今度は俺も飲んだ。
困ったことに運転できなくなり、その日はアニさん家に泊まった。
アニさんは、たぶん俺が寝落ちするまで起きてた。
起きて、うわ言みたいな俺の話を聞いてくれてた。
いろいろ罵倒されたり、馬鹿にされたりしたけど、
当初の目的通り自分の中の淀みは全部吐き出せたと思う。
初めに定めた着地点と違ったのは、いろんなものを吐き出したけど、
それでも俺の中の大切なものは残ったこと。こういう詩的な言い方は臭いけど、
人を好きになる気持ちはなくさずに済んだと思う。
「アニさーん、好きです……前提を結婚で、突き合って♂くださーい」
「くはははは。よっしゃよっしゃ越後谷温泉な」
こんな感じのことを回らない呂律で言っていた。
目が覚めるとアニさんはもういなかった。
部屋のカギと書置きが残っていて、
閉めたらポスト入れとけ、という一文と、
昨日のごみはてめーが片しとけ、という一文。
俺は全身全霊で部屋を掃除し、帰宅した。
96:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:43:40.831ID:Odf1ZQp/0.net
やけに晴れやかな気持ちだった。
アスカのことは、ふんぎりがついたとは言えないけど忘れられそうだ。
それよりもこの数日大学をさぼりっぱなしにしていたことの方が頭を悩ませる。
マイフレンドたちや密かに俺に思いを寄せている女子たちが待ってる。
「日常に帰ろう」
そう言って俺はすべてを胸にしまい込み、
明日からの日常を思った。
思えば夢みたいな日々だったじゃないか。
大好きなまどマギがスロットになって、それが思いのほか完成度が高くて泣いたら人を好きになった。
実にドラマチックな体験だ。
夢の終わり、最後に俺は自分の物語に蛇足をつけた。
そうだ。アスカの彼氏がどんなやつか見てやろう。
マイナーとはいえ、知ってる人は知ってるみたいなバンドと言っていたし、
ネットで検索すればHPとか動画とかが上がってるかもしれない。
よせばいいのに、俺はアスカに聞いたバンド名を検索欄に打ち込んだ。
俺の惚れた女を骨抜きにした野郎だ。さぞかし色男に違いない。
素晴らしきかな3G回線。速攻で液晶に検索結果が映し出される。
ほうほう。動画も上がってるじゃないか。どれーー
『【追悼動画】ミラーマインドよ永遠なれ・・・!』
はい?
97:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:44:37.708ID:Odf1ZQp/0.net
一旦書き留めた分ここまでです!
さすがに会社じゃ書けないんで続きは時間空きます・・・。
読んでくれてる人!質問ください!
98:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:46:13.151ID:1s0yamZIa.net
>>97
アニさんに俺も手コキしてくださいと頼んでください
99:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:48:14.372ID:Odf1ZQp/0.net
>>98
たぶんお金出したらしてくれるんじゃないかな。
100:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:49:53.019ID:1s0yamZIa.net
>>99
金払うと立たないからいいわ・・・
食事奢るとかならするけど
101:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:50:02.710ID:MlcL5Uzf0.net
何年前の噺?
108:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 13:29:29.174ID:Odf1ZQp/0.net
>>101
まどマギ導入なんで、2013年ですね。
曖昧で申し訳ない
102:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:51:36.520ID:f+mklGn7a.net
確かまどマギは導入当初見た目のミルキーさから
少ししたら誰も恥ずかしくて打ってなかったよね
それが気にならない奴が回し続けて
「ちょっと待てよ、おもろいし出るやんコレ!」
ってなったのが一年後。一旦下げられて再燃して
覇権を獲った機種の代表や
103:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 12:53:54.538ID:+Ij5xS0N0.net
>>102
俺もその口だわ
萌えスロとかキモ→面白い→アニメも面白い
今では立派なまどカスです
110:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2019/05/13(月) 13:42:26.886ID:Odf1ZQp/0.net
>>102
あんたとはいい酒が飲めそうだ。
スロカスですか?