社会に出てからできた親友みたいな女との出来事を語る

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162:1:2011/11/05(土) 01:41:41.11 ID:N9/pQypxO
うだうだ悩んではいたものの、ハッキリとした答えが出せないまま、
季節は少しづつ肌寒い晩秋。

雑貨屋の仕事終わりに、マキコさんから着信が入った。
修三さんと二人で飲んでいるので参加しないか?
との事だった。
この日店長にコテッコテに怒られ、家の事で悩みまくっていた私は
酒なんて飲める状態じゃなかったが
精神的にどうしてもマキコさんに会いたくて二つ返事で承諾した。

合流したマキコさん達は既にいい感じで、そのままカラオケに行った。
いい感じのマキコさん達に早く追いつかねば、と思った私は
普段の倍のスピードで酒を飲みテンションを上げた。
この時のテーマは
「ブルーハーツとハイロウズしか歌っちゃいけないカラオケ大会」

3時間ぶっ通しで三人でブルーハーツとハイロウズのみ歌ったwww
歌いきったwww

ここまでは、いつも通りの楽しい飲み。ここまでは。

しかし、この後次の店で、私にとってこの土地最大の事件が起こってしまうのだった。

163:1:2011/11/05(土) 01:56:23.76 ID:N9/pQypxO
カラオケを出て、次に行ったのはマキコさんの知り合いがやってるダイニングバー

そこでは最初、普段にご飯を食べながら話していた
この時、確か私は一年くらい彼氏がおらず
話題はそのネタだった。
彼氏早くみつけろー
修三の友達紹介するよー
まではちゃんと言葉で聞こえてた。
なんていうか、例えるならバッドトリップみたいな
今まで普通に話していたのに、急に周りの音声が聞こえなくなった、同時に
物凄い、何故か分からないけど物凄い不安が襲ってきて、
ネガティブな感情がうわーと胸に広がった。

お父さん大丈夫なのかな
お姉ちゃん大丈夫かな
私は帰らなくていいのかな
急にそんな気持ちがどんどん頭を回って気分が悪くなってトイレで吐いた。
普段なら吐いても全部出してしまえばスッキリするのにこの時は
どんなに吐いても一行に悪くなるばかりだった。
ついに立ち上がれなくなった。
もしや、これが噂の、急性アルコール中毒
嫌な予感が頭を過ぎった。なんとかしなきゃ、思ったが体が動かない
30分位トイレに篭った所で、トイレのドアが無理やりこじ開けられた
必死な顔をしたマキコさんが居た。

164:1:2011/11/05(土) 02:12:19.87 ID:N9/pQypxO
マキコさんの顔を見た瞬間、私は「救急車呼んで下さい」みたいな事を言ったと思う。

そんな私に、マキコさんは「馬鹿!救急車なんかよんだらあんた大事になるよ!
タクシー呼ぶから今日は帰りな!」みたいな事を言って
タクシーを呼んでくれたと思う
(すんません、この辺記憶曖昧)

気が付いたら私はタクシーの運転手さんに、
「早く降りて下さいよ~」と言われ、家の前に来ていた。
しかし体が動かない。
エレベーターすら乗れない。
私はタクシーの運転手さんに「病院行って下さい、
開いてるとこ、どこでもいいんで」と言って

すこし離れた病院に一人で向かった。結局動けない私を、
タクシーの運転手さんが受付まで運んでくれた。

私はこの時、自分は確実に急性アルコール中毒だと思っていたが

私の姿を見た看護師さんは真っ先に私の体を抱え、口元に紙袋を持ってきた

「あんた、自分が過呼吸になってんの気付いてる?」

そう言われた所で、私の意識は朦朧とし始めた。
最後の記憶は看護師さんとの少しの会話

看「今すぐ家族の人に来てもらいなさい、連絡先だけ教えてくれたら寝てていいから」

1「出身こっちじゃないんで一人です」

看「じゃあ、知り合いでも友達でも誰でもいいから!とにかく誰かの連絡先教えて」

1「絶対に嫌です、お願いですから誰にも連絡しないで下さい」

もうここで完全に意識は途切れた。
時刻は深夜2時くらいだったと思う。


165:1:2011/11/05(土) 02:25:40.72 ID:N9/pQypxO
目が覚めたのは3時くらいだった。
白い天井、頭はまだボーッとしてた。
視界を少しずらした。
横にマキコさんが居た。マキコさんは泣いていた。

「あんた、本当に、何があったの?どうしちゃったの?
何も言ってくれないからマキコ何も分からないんだよ」

マキコさんが泣いている、マキコさんの泣いた顔を見るのは初めてだった。
そう思ったら私も自分が不甲斐なくて苦しくてしんどくて、泣けてきた。
子供みたいにわんわん声上げて泣いた。
心の中でマキコさんごめんなさいとずっと言っていた。
こんなんでごめんなさい、と。

マキコさんはいつも本音で接してくれるのに、腹から話してくれるのに
自分は意気地なしで、突き放されるのが怖くて
はぐらかしてばっかで、でもそれがマキコさんを心配させてごめんなさい
本当にごめんなさいと泣き喚きながら思った。

結局、看護師さんが、私の携帯の一番始めにあった履歴の人に連絡を取って
それがマキコさんで、マキコさんは病院に掛けつけてくれたようだった
深夜3時、マキコさんは一人で病院に来てくれたのだった。

その日、私は泣き疲れてそのまま眠った。
次に起きたのは7時、この時結構回復していた私は、
あと1時間で仕事に行かなければいけない、
と焦り、病院からそのまま昨日と同じ格好で仕事に行った。

166:1:2011/11/05(土) 02:34:42.05 ID:N9/pQypxO
その翌日から一ヶ月くらい、マキコさんから連絡は無かった。
しかし、不思議と私は冷静だった。
あんな事があって、マキコさんも絶対に私に引いたはずだ。
もう仕方ない、と。
もし私がマキコさんの立場だったら、
私みたいなキチガイともう関わりたくないと思うし、仕方ないと
私は完全に諦めていた。

その一ヶ月は一切酒を飲まず、手の甲にマジックで
「絶対禁酒!」と書いて
真面目に仕事だけやっていた。(マジで毎日マジックで書いてましたよww)

しかし、マキコさんという人は、私のチンケな予想なんて軽々超える人だった。

事件から一月たった11月頃、マキコさんからの着信が鳴った

「久しぶり!飲み行くよ!」

全くいつもと変わらないマキコさんの声だった。

168:1:2011/11/05(土) 03:01:42.21 ID:N9/pQypxO
久々のマキコさんとの対面、しかもあの病院以来の再会で私はさすがに少し緊張していた。
しかし待ち合わせ場所に着けばマキコさんはいつも通りだった。

あの日の事には特に触れず、初めいつも通り馬鹿話をしていたんだけど、
ふいにマキコさんがこう訪ねてきた。

「1さあ、本当は絵をやりたいんじゃないの?」

マキコさんの突然の問に私は?!となっていた
そんな私にマキコさんはこう続けた。

「1さ、学校辞めたのずっと気にしてたじゃん、だからマキコ思ってたのよ、
本当は絵を続けたいんじゃないのかなーてそれで悩んでんじゃないのかなーて」

「もしね、修三と、マキコが店を出すとじゃん。そうなったらね、
その店に1の絵を好きなだけ飾っていいよ。好きなだけ、かいていいんだからね」

私はここで、初めて分かった。この一月、マキコさんは考えていてくれたのだ。
何も言わない私が、何を悩んでいるか。
何も言わない、何も教えない、何でもはぐらかす面倒くさい私が何を悩んでいるか、
マキコさんは考えてくれていた。
普通、人の悩みなんて好き好んで聞く人なんていない。
ましてや、自分からは何も言わない私の話なんて

それが普通だ。

しかし、マキコさんは普通ではなかった。

何も言わない私が、何を考えているか、真剣に考えてくれて。
何も言わない私を許したまま、自分の意見を伝えてくれて、救いを差しのべてくれて

私はマキコさんに泣きながら

「ありがとうございます、ごめんなさい本当にありがとうございます」

を繰り返した。

そんな私に、マキコさんも「泣くな馬鹿が!!」と怒りながらちょっと泣いていた

169:1:2011/11/05(土) 03:05:48.45 ID:N9/pQypxO
ごめんなさい!
今日はここまで
もう、本当にあと少しなので数日のうちには終わらせます
お付き合いしてくれた方ありがとうございます!
また明日

170:名も無き被検体774号+:2011/11/05(土) 03:09:03.30 ID:DtRIG5Xei
また明日!

171:名も無き被検体774号+:2011/11/05(土) 03:10:41.09 ID:hzZWDOuWi
乙乙!
ここんとこずっと引き込まれてるよ

でも負担に感じず1のペースで語ってね~!

175:1:2011/11/05(土) 10:01:51.84 ID:N9/pQypxO
おはようございます
昨夜遅くまで聞いてくれた方ありがとうございます
今から最終章的な物を書いていきます
多分もう午前中までに終わりそうです!
ピッチ上げていきます

176:1:2011/11/05(土) 10:13:15.83 ID:N9/pQypxO
そしてまた少し過ぎ12月
雑貨屋の一番忙しい時期がまた今年もやってきた。

私の中で、
「このまま来年もここに残り仕事を続けるか」「地元に帰るか」は
この時はまだ保留になっていた。

マンションの契約は2月まで
今はとにかく忙しいし、それまでに考えよう、と。
でも私の中で、「マキコさんと疎遠になってしまう」という不安は無くなっていた。

どっちに転んでも、マキコさんとはきっと大丈夫だ、根拠は無いが、
何故か絶対的な自信があった。
あとは自分自身がどうしたいかだ、と思っていた。

その年は成人式の前撮りもあったので
クリスマス明けに二日だけ休みを貰い
地元に帰省する事を前々から店長に伝えていた。

「そのかわりそれまで、一日も休みいりませんwww」

と土下座して(本当はしてないけど)頼んだら鬼店長も承諾してくれた
ただ、本当にそれまでは一日も休みが貰えなかったwww

体力的にはヘロヘロだったが、地元の友達と久々に会える事を楽しみに頑張れたので
精神的には毎日元気だった。

177:1:2011/11/05(土) 10:24:34.90 ID:N9/pQypxO
怒涛のクリスマスも過ぎ、疲れながらも充実感を得ながら帰宅していた
12月26日
この日付はしっかりと覚えている。多分一生忘れない。
私は明後日の、28日、29日と休みを貰って帰省する予定だった。
あと一日行けば久々に休める!!そんな気持ちでいっぱいだったこの日
深夜に携帯が鳴り響く。
寝ぼけていた私は一回目の着信を無視した。
しかしまた鳴る、眠い目を擦りながら電話に出た
お姉ちゃんだった。
お姉ちゃんは電話越しに錯乱した様子だった

「お父さんが倒れた!今病院、脳内出血だって、どうしよう意識が戻らない」

うわー…なんかもう三年くらい前の事なのに
すげえ、やっぱ今お姉ちゃんの台詞書いたら泣けてきた
本当この瞬間が人生で一番辛かったわ今の所wwww

もう頭真っ白ですよ

本当にもうド後悔
やっぱり夏のあの時帰ってれば!って
本当自分カスゴミ死ねて!親不孝のクズて

178:1:2011/11/05(土) 10:32:44.59 ID:N9/pQypxO
私はもう直ぐにでも病院に駆け付けたかったが、
もう新幹線なんてとっくの昔に終わってる時刻。
泣きながら雑貨屋の店長に電話を掛けた

多分支離滅裂で5分くらい何も言葉にならず泣きっぱなしだったが
店長は何も言わずに待ってくれていた。
そして何とか、明日朝1で病院に行きたいから、
明日だけどうしても休みを下さいと伝えた。

店長は落ち着くまでいくらでもそっちに居ていい、落ち着いたら連絡をくれればいい
仕事の事は気にしなくていいから
と言ってくれた

店長との電話を切った後、朝まで眠れなかった。

まだ薄暗いうちに家を出て、始発で地元に帰った。

179:1:2011/11/05(土) 10:46:11.01 ID:N9/pQypxO
幸いな事に、私が到着する前に、お父さんの意識は戻っていた。
しかしこれからしばらく入院。後遺症がどれだけ残るかは、まだ分からないとの事だった。
私はお母さんとお姉ちゃんと一旦病院から帰り、途中ファミレスでご飯を食べた。
明るい所で見たお母さんは、凄く痩せてて、夏に会った時より小さくなってた。

うちの会社もこの時期稼ぎ時、しかもそのは例の事件があった為、
お母さんも休み無く働いていたようだ。
朝早く仕事に行き夜遅く仕事を終え、一切寝ないまま今までずっと病院に付いていた。

私は帰ってくる新幹線の中で

「なんで自分ばっかりこんな目に合うんだろう」

と一瞬思ったが、決してそんな事無かった。
自分以上に辛い人が目の前に居ると、遅過ぎながら、ようやく分かった。