社会に出てからできた親友みたいな女との出来事を語る

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133:1:2011/11/04(金) 14:43:12.50 ID:LgOIUAUSO
その翌日、明らかに元気の無い私にマキコさんは聞いた

「なんかあったの?」

でも私はこの事をマキコさんに話せなかった。
マキコさんは大人で、すごく家族想いな人だ
(マキコさんも遠くはないけど出身はこの町ではないが、
必ず年に何回かは無理矢理時間を作って帰省したり、家族をこっちに呼んだりしている)

マキコさんに話したら、絶対に帰ってあげた方がいいと言う事は分かっていた。
マキコさんにそう言われてしまえば、私にはもうなす術が無くなる。

ただ、お姉ちゃんと電話でちょっと喧嘩した、とだけ言って話題を変えたが

結構鋭いマキコさんは真顔だった。
他にも何かありそうな事に気づいていたと思うが、私がそれ以上何も話そうとしないので
マキコさんも追求はして来なかった。
この日から、本当に少ーしづつだが、マキコさんとの関係がギクシャクしていった。

134:1:2011/11/04(金) 14:56:12.49 ID:LgOIUAUSO
それからも、毎日この事で悩んでいたが、誰にも言えなかった。
誰にも言えなかったのは、私の中では「帰りたくない 」という気持ちがあったので
誰かに「帰った方がいい」「帰りなさい」言わるのが怖かったから

その意見が正論で、自分が勝手な事も自覚していたので余計に話せず逃げていた。

マキコさんはまだ私を疑っていた。
居酒屋の時みんなで馬鹿話してて、私は普通にしているつもりでも

「1今日ノリ悪いね、何かあったっしょ?」

など何回も聞いてきていた。
私はその度に、はぐらかしていたが、回数が多くなるにつれ

「別に何もないっすよ、別にのってるじゃないすか」

と、少し苛立った返しをしてしまう事もあった。
マキコさんはそれでも冗談で返してくれたが
別に何も悪くないマキコさんに八つ当たりしてしまい、帰宅してから自己嫌悪していた。

そうなるのが嫌で、忙しいふりをして若干マキコさんを避けたりもした

話す時はいつも通り、ふざけたり冗談言ったりして、
避けてるとは悟られないよう自分なりに頑張っていたが

上辺の態度が嫌いなマキコさんにはそんな物通用しなかった

135:1:2011/11/04(金) 15:11:40.99 ID:LgOIUAUSO
そんなこんなで6月、ギクシャクはしながらも、マキコさんとはまだ仲良かったし
居酒屋に新人さんが入ったり、雑貨屋も忙しかったりで、
「何か」が変化している事に私は一切気づいていなかった。

そんなある日、雑貨屋の終わりに、たまたま藤井さんに会った。
藤井さんは2月いっぱいで辞めた後、就職して美容師になっていた。
久しぶりだったので軽く話していたら
藤井さんが思い出したように言った

「あ!1ちゃんこの前は来なかったけど、今度はちゃんと休み取って参加してよ~!」

藤井さんが言ってる内容が分からずにいたら藤井さんも不思議そうにしていた
嫌な予感がして心臓がバクバクしていた

「ほら…この前、久々にマキコさんと修三さんと翔と俺、集まって、
1ちゃんは仕事だから来れないって」

そんな事があったなんて、私は一切聞かされていなかった。
例え本当に仕事で来れない時も、いつもなら必ず誘いの声は掛けられる
マキコさんはどんな飲み会も絶対にいつも私を最初に誘ってくれていた。
むしろ
「今度の日曜さ~〇〇行きたいんだけど、他に誰誘おっか」
など、私とマキコさんで決めるみたいな感じで

藤井さんは変な表情をしていたが、私は絶対に悟られたくないと、
必死になりながら笑ってごまかし
「今から居酒屋だからまたメールします」 と言って去ってしまった。

藤井さんと別れて10メートルくらいたった所で
私は自分が笑っていない事に気付いた。

136:1:2011/11/04(金) 15:25:01.75 ID:LgOIUAUSO
その日の居酒屋

なんとか出勤したが、正直頭の中がぐちゃぐちゃで、帰りたかった。

制服に着替えて、店に向かってる途中、マキコさんと誰かが喋っていた。

私に気付いたマキコさんが

「1おはよ!」

と言ってきた。いつもと変わらず笑って声を掛けてくれたが、
その時の私は疑いの心でいっぱいだった。

本当は私に苛ついてるんじゃないのか、嫌っているんじゃないのか
義理で仲良さそうにしてるんじゃないのか
マキコさんの事はよく分かっているはずなのに
そんな被害妄想でいっぱいだった。

マキコさんの挨拶に、私は目を合わせないまま「おはようございます」
とだけ言って素通りした。

後ろでシーンとしたマキコさん達の感じが伝わってきたが、
私は表情を確かめる事が出来ず、そのまま出勤した。

この日、私はマキコさんと必要以上の事は話さなかった。
マキコさん以外の人とは普通に話していたので、
様子がおかしいとかは周りには思われなかったと思う。

ただ、終わった後
いつもならマキコさんとジュース飲んだり喋ったりを毎日していたのだが
その日、私は何も言わずに先に帰った。
完全に一時の感情による物。
冷静になれば、色々事情があったのか、とも思えたのに。
私はガキだった。
この日、私は完全に判断を間違えたのだった。


137:1:2011/11/04(金) 15:42:23.23 ID:LgOIUAUSO
次の日から、事態は変わった。
マキコさんは私にほとんど話掛けてこなくなった。
私もマキコさんと話さなかった。
お互いに他の人とは普通に話していたので、喧嘩みたいではなかった。
まるで、初めから仲良くない人達みたいな感じになっていた。
仕事中の私は完全に以前の人間関係に冷めた私に戻って、
こんなもんだ、とふわふわした、地に足が着かないような感じで過ごしていが
一日が終わって、家に帰って、鍵を閉めた瞬間、毎日寝るまで号泣していた。

本当この時期、多分一ヶ月くらい、毎日帰ってから目茶苦茶に泣いていた

多分ちょっと頭おかしくなってたと思うww

本当に、本当にこの一ヶ月は地獄だった。

居酒屋で、他の人とは普通に話していたが、ふと
「なんか、最近、全然言葉を発してないな」
と思う事が多くなった。
それだけ今までマキコさんと話して、笑っていたのだと思い知った。
家で泣いてる時、色んな事を思い出していた。
飲み会たのしかったなー、とかクリスマスたのしかったなー、とか
泣いてるのに、思い出して笑ったりしていたww

昼は冷めてて、夜は熱く泣き尽くした日々を過ごしていた6月の後半、

多分最後の涙が尽きたのだろう

ふと

「しゃーない、地元帰るか」
と思った。

本当、仕方ない、と思った。
もうこの場所に縋り付く、理由が無くなってしまった。と
本当は、居酒屋も雑貨屋も好きになっていた。
前みたいにマキコさん達とみんなで仲良くしたかった。
でも、きっともう無理だ仕方ない、帰ろうと思ったきっかけはそれだけ。
本当に最後まで勝手だった。

7月いっぱいで居酒屋を辞める事を、涼子さんに伝えた。
マキコさんには、まだ言えなかった。

139:1:2011/11/04(金) 15:55:49.91 ID:LgOIUAUSO
居酒屋を辞めると決めてから、少しだけ気が楽になった。
6月の終わり、一人で休憩してたら翔が話し掛けてきた

「1、7月で辞めるの?」

涼子さんから聞いたらしい。凄いびっくりしてた。
なんか笑ったww

1「うん」

翔「えーやだなあ寂しいじゃん…」

1「ありがとうwもう疲れちゃってさー」

翔「ていうかさーなんかあったのマキコさんも心配してるんだよ」

マキコさん、という単語が出てきてドキっとした私は、思わず強引に話題を変えた

1「いやいや!それより、私三日後誕生日なんだよ!何かちょうだい!」

翔「あ!そうじゃん!いいよ!何がいい?」

1「え!本当に何かくれんの?いーよw冗談だよw」

翔「いーよいーよ!あげるよ!ww」

1「マジで!じゃあオールドファッションw」

翔「オールドファッションww了解ww」

私とマキコさんが話さなくなってからマキコさんと
仲良い翔とも必然的にあまり絡まなくなっていたので
久々に翔とゆっくり話した
やっぱりここは楽しいな~辞めたくね~な~
と思ったがもう7月で辞めるのは決まっている
人も募集してる。
気楽になった次は、やっぱり寂しくなった

140:1:2011/11/04(金) 16:10:01.31 ID:LgOIUAUSO
6月も末も末
そして私の誕生日。
居酒屋に出勤したら、涼子さんに言われた
「1、7月いっぱいていう事になってたけど
思ってたより早く人集まりそうだから、
もし早めに終わりたいなら6月いっぱいでも大丈夫そうだよ
どうする?」

最初私は出来るだけ早く辞めたい、と言っていた
とにかくマキコさんと口を利かない日々がしんどかったし、7月は雑貨屋も忙しいので
だから私は涼子さんの問いにお願いしますと言った
最終的に7月頭数日だけ出勤する事になったが
私の出勤日数はもう片手で余るくらいに迫っていた。
そしてその日もいつも通り終了して、帰ろうとしたら翔がミスタードーナツをくれた

翔「昼に買ったから時間経っちゃったww頑張って今日中に食べて」

オールドファッション以外にもチョコファッションやポンデリングなど
大量に入った袋を買ってきてくれて
とても感動した。辞める事が益々寂しくなってきた。
なんか色んな物が湧き上がってきたんだよね
寂しい、嬉しい、辛い、懐かしい、でも悪い気分じゃない
痛いけど優しいみたいな

そんなホクホクした気持ちでドーナツを抱えて家路についている途中

着信が鳴った。

ドーナツやら荷物やら抱えて手が離せない状態だったので家に着くまで
私は電話を無視して、部屋で腰を下ろして
電話を確認した

マキコさんだった。