白髪の紳士「女の子にこんなことさせて申し訳ない」➡︎数ヶ月後、ホテルで偶然に紳士と再会した結果・・・

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93: ◆bN5NHW/.U6 2012/01/15(日) 03:57:10.54 ID:Os9bEXgN0
どれくらいの時間が経ったのか。 
意識しない内におじさまの担当医とおぼしき男の人がA君を呼び出した。 戻ってきたA君を前にして、病状は聞けなかった。 「暫く入院だそうですが、ひと安心と言ったところです。呼び出してすみません」 あまりにも気丈に振る舞うから子供扱いをするのは気が引けた。 「いいよ、寧ろお世話になってきたから今度こそは私が手伝いたい。何か出来ないかな」 これならきっと彼の自尊心を傷付けないだろう。 

「先生」 

少し考えて彼は答えた。 

「じゃあ家事を手伝ってくれませんか?」

 

106: ◆bN5NHW/.U6 2012/01/15(日) 14:10:04.13 ID:Y/WmB/Y+0

「僕の家母がいないから少しでも手伝っていただけたら嬉しいです」 

A君は続ける。 

「ダメならいいんですが、父の様子も部活もあるので全部は…。バイトって形でいいから住み込みでお願いしたいんです」 

「全然構わないよ、無償で」 

大学もあらゆるバイト先もA君の家からの方が近かった。 
今まで一時間半かけて実家から大学に通っていたから、好都合な提案だった。 
何より、恩返しが出来る気がした。

大学から帰宅して、着回せそうな服と簡単な荷物をキャリーバッグに詰めて出発した。 
無意識でアロマも持っていた。 

会長からの仕事も怠らないようにノートパソコンも持った。 
入学時に「大学生なら要るでしょう」と唯一買って貰った宝物だ。 

家に着くとA君は既に帰宅していた。 

「これ、鍵です。先生の部屋は以前使って頂いたところでいいですか?必要そうなものは置いておきましたが他にあれば何でも仰って下さいね。あ、22時以降は用事があれば電話しますね。荷物運ぶの手伝います」 

捲し立てたのは彼なりの気遣い。 
くすりと笑った。 

「これ、持ってきてくれたんですね」

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