超陰キャの俺以外同級生がいないど田舎に引っ越してきた女の子によって人生が変わった

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181: 1 2016/07/08(金)20:58:43 ID:Nxz
そして俺はそのまま高校へ入学する。
勉強はそれなりにできた、まぁまぁいい高校へ入れた。
中学時代の友達数人とも同じ学校だった。
高校でも部活は続けた、またも勉強と部活に追われる日々。
友達も数人しかいなかったし部活ではベンチ、
高校では勉強は真ん中の方、ぱっとしないどこにでもいる普通の高校生だった。けれど楽しかった。
あっという間に部活は引退、そして受験勉強。
その頃にはすっかり彼女のことは忘れていた。

 

185: 1 2016/07/08(金)21:09:05 ID:Nxz
大学は都会の私立大学へと進んだ。
家からは離れ、一人暮らしも始めた。
初めてバイトにも挑戦した。
中学時代、高校時代は女の子と全く関わることはなかったけれど
バイト先で1ヶ月の間、短期で入っていた女子高生とは仲良くなった。

 

186: 1 2016/07/08(金)21:14:15 ID:Nxz
仲良くなったと言ってもバイト先で話すくらい。
他愛もない会話ばかりだった。
「今日廃棄もって帰っていいですかね?」
「コンビニ弁当は健康に良くないぞ、やめとけやめとけ」
「でも美味しいじゃないですか!」
そんな下らない会話ばかりだった。

 

187: 1 2016/07/08(金)21:19:35 ID:Nxz
彼女とは仲良くなったけれど
バイトはすぐにやめた。大学受験の勉強があるからだろう。
それ以降俺は女の子と関わることは全くなくなった。
大学でも友達はいなかったし、少しづつ大学をサボるようになった。
留年にはならないよう最低限は出席し、なんてことのない毎日を過ごしていた。

 

188: 1 2016/07/08(金)21:23:07 ID:Nxz
そんなこんなで1年が過ぎた。
中学、高校時代とは違い時間の流れがとても緩く感じた。
これから3年間、つまらない日々を過ごすのだと思うとさらに憂鬱になった。

 

189: 1 2016/07/08(金)21:25:19 ID:Nxz
大学2年生になった頃には1年間続けたバイトをやめ
大学には最低限通いながら、それ以外の日は
部屋にこもる日々が続いた。
毎日なにか楽しいことないかな、なんて考えてた。

 

190: 1 2016/07/08(金)21:30:01 ID:Nxz

そんなある日、大学で見覚えのある女の子を見かけた。

1年前バイト先が同じだった女子高生だった。
俺が驚いて声をかけると彼女はあまり驚いた様子は見せず
「お久しぶりです」と微笑んだ。

 

191: 1 2016/07/08(金)21:36:27 ID:Nxz
続けて「後輩になりました!」と自慢げに言った。
まさかの再開、俺も少し嬉しくなった。
「後輩よ、合格おめでとう」自慢げに返した。
もう合格発表から数ヶ月たっていた。
「遅いですよ!なかなか会えないから辞めちゃったのかと思いました。」と後輩が言った。

 

192: 1 2016/07/08(金)21:41:18 ID:Nxz
俺が通ってる大学はバイト時代に話してはいたけれど
まさか覚えていてくれたとは思わず更に嬉しくなった。
彼女は講義があるからと俺に電話番号を書いた手紙を渡し、笑顔で走っていった。
その夜、後輩に電話をかけた。
俺は昔から喋るのは得意じゃなかったけれど
その後輩とは普通に話すことが出来た。
何故なのかバイトの時から少し不思議には感じていたけれど
会話に夢中になるとそんな疑問はあっという間に消えた。

 

193: 1 2016/07/08(金)21:43:18 ID:Nxz
それからというもの、俺は大学をサボることはなくなった。
時間が合えば後輩と一緒に昼食を取ったり
夜は他愛もないことを電話で話す仲になっていた。

 

207: 1 2016/07/08(金)22:21:13 ID:Nxz
後輩と再開してからはとても充実していた。
大学では1人じゃなくなり、夜も毎日電話をした。
後輩の誘いでバイト一緒に始めた。
バイトの時間も下らない会話をしていた。
「今日廃棄持って帰りますか?」
「あれ、後輩ちゃんいらないの?」
「コンビニ弁当は不健康ですからね!」得意げに、そして嬉しそうに言った。
成長したね、なんて言ってほしそうな顔をしていた。
不器用で口下手な俺、彼女も出来たことはなく女の子とちゃんと会話したのも後輩が2人目だった俺はそんな小洒落たセリフを言ってあげられるような男ではなかった。

 

208: 1 2016/07/08(金)22:25:49 ID:Nxz
「え、えらい!」最低限ではあるけれど俺にとっては最大限の返しだった。
後輩は不満な顔は見せず、えへへと笑った。
バイト中にはこんなこともあった。
後輩が店にかかってきた電話に出ると、どうやらクレームだったようだ。
電話の向こうでは「店長出せ!」と言っているようだった。

 

209: 1 2016/07/08(金)22:30:37 ID:Nxz
「店長出せ店長出せ」とうるさいんですけど、どうしたらいいですか。後輩は困ったように聞いてきた。
不都合にも店長はおらずレジには数人が並んでいたため俺は手が離せず、仕方なく後輩に代わりに謝罪しといてと言った。
後輩はわかりましたと合図し、電話を持ってバックヤードに下がっていった。
210: 1 2016/07/08(金)22:35:19 ID:Nxz
レジでの対応が終わり後輩の様子を見に行くと
未だ後輩は電話でクレームの対応をしていた。
俺はしまったな、と思いながら電話を代わり店長のフリをしてクレームの対応に当たった。ようやく終わったかと思い電話を切ると
横で大泣きをしている後輩、そしてレジで対応してる人はおらず
店内の客にかなり怒られた。

 

215: 1 2016/07/08(金)22:41:09 ID:Nxz

そんな出来事があってか
後輩とはさらに仲良くなった。

ある日、後輩に「今度2人でどこか行きましょう」と誘われた。
正直嬉しかった。間髪入れず「行こう」と答えた。

 

221: 1 2016/07/08(金)22:47:25 ID:Nxz
大学2年の夏に差し掛かる頃だった。
2人で水族館に行った。初めての水族館だった。
ものすごく楽しかった。
初めて見たジンベイザメ、それを指さしながら
「先輩、イルカってこんな大きいんですね!」
いや、どう見てもイルカじゃないじゃん。初めてみた俺でもわかったぞ。と思いながらも目をキラキラさせる後輩に
「凄いなぁ」なんて同調してみたりもした。

 

229: 1 2016/07/08(金)22:56:25 ID:Nxz
その日はあっという間に過ぎた。
もちろんその日の夜も電話をした。
電話の内容は水族館での話ばかりだった。
すごく楽しそうに嬉しそうに話しているのが電話越しでもわかった。
俺はその電話で「またどっか行こう」と言ってみた。
「はい、お願いします!」彼女の返事に少しほっとした。

 

234: 1 2016/07/08(金)23:01:00 ID:Nxz
大学とバイトでなかなか時間が取れなかったけれど
少しの時間を見つけては2人でどこかに出掛けた。
後輩の買い物に付き合ったり、俺の服を選んでくれたり、
図書館に一緒に行ったり、カフェで一緒に勉強をしている時は
俺、大学生らしくなったなぁなんてニヤニヤした。

 

242: 1 2016/07/08(金)23:04:33 ID:Nxz
そして夏がきた。
その年は例年以上に暑かった。
ある日彼女がバイト中に「今日花火大会があるんです、良ければ一緒に行きませんか!」いつもの様に誘ってくれた。
俺は「行こうか!」といつもの様に答えた。
けれどその時胸が少し傷んだような気がした。

 

254: 1 2016/07/08(金)23:12:10 ID:Nxz
花火の打ち上げが始まるのは夜の8時。
それまで屋台が出るみたいだったのでそれも回ることにした。
バイトが6時に終わり、2人でそのまま屋台を回った。
周りはカップルばかりで浴衣を来ている人が行き来していた。
「なに食べよっか?」
「沢山あって悩んじゃいますね」
「よし、じゃあ一斉ので食べたいもの言おっか!」俺が珍しく提案した。
「せーの、焼きそば!(たこ焼き)」
後輩があまりに大声で叫んだもんだから周りのカップル達がクスクスと笑いながらこちらを見た。

 

267: 1 2016/07/08(金)23:16:39 ID:Nxz
結局後輩は焼きそば、俺はたこ焼きを食べた。
「なんで、一斉ので言ったんですか?」彼女が笑いながら言った。
「確かに、なんでだろ?」俺も笑った。
その後は2人でかき氷を食べた。
彼女はいちご、俺はメロン、これも一斉ので言ったんだけれどやっぱり揃わなかった。

 

277: 1 2016/07/08(金)23:20:32 ID:Nxz
かき氷を食べ終わった頃にはすっかり
当たりは暗くなっていた。
「先輩行きましょう!」後輩が俺の手を引いて走り出した。
花火が見える位置までくると人で溢れかえっていた。
「やっぱり多いなぁ~、まだ30分も前なのに!」
後輩は毎年この花火大会に来ているらしく、去年までのことを少し話してくれた。

 

281: 1 2016/07/08(金)23:26:01 ID:Nxz
「毎年、友達と来てたんです!」後輩が言った
「今年は良かったの?」そう俺が聞くと
後輩は黙ってうなづいた。
「先輩は?花火大会とか初めてですか?」
後輩から投げかけられたその一言に何故だか俺はドキッとした。
心臓が大太鼓を打ったような大きな音を上げ、
その音が体中にしみるような感覚だった。

 

285: 1 2016/07/08(金)23:31:08 ID:Nxz

なんともない質問だった。初めてだよ!そう返すだけの質問のはずなのに何故かそれを躊躇した。

「先輩!始まりましたよ!」その声をかき消すように
花火が大きな音をたてて夜空に咲いた。
とても綺麗だった。横を見ると後輩は目を輝かせながら花火を見ていた。

 

292: 1 2016/07/08(金)23:35:18 ID:Nxz

一瞬のように思えた。色んな形の花火が
夜空に咲き、そのひとつひとつに歓声が上がった。

花火が終わると全員が拍手をしていた。
後輩もすごく嬉しそうに拍手していた。
俺もつられて拍手をした。花火が終わった頃にはさっきまでの不思議な感情は全くなかった。

 

295: 1 2016/07/08(金)23:39:51 ID:Nxz
「凄かったですね!」後輩が帰り道そう言った。
「毎年見てんじゃないの?」俺が少しバカにしたように言うと
「今年は特に凄かったんです!」少し怒ったように言った。
「ほんとに、凄かったな」さっきの冗談を訂正する様に俺は言った。

 

300: 1 2016/07/08(金)23:45:22 ID:Nxz

「先輩、今から先輩の家に言ってもいいですか?」
初めて後輩からそう言われたので俺は少し戸惑った。
「え、だってもう遅いし、家汚いし」
「少しでいいんで!今日は電話じゃなくてなんかちゃんと話したいんです」後輩の圧に押され、仕方なく承諾した。

家に着くと少し待たせて部屋の掃除をした。
10分待ってて!と時間を貰ったものの10分で片付くような部屋じゃなかった。散らばってるものを積み上げ部屋の端に置くと
少しは綺麗に見えた。

 

302: 1 2016/07/08(金)23:50:33 ID:Nxz
後輩を部屋に上げると
「綺麗じゃないですか~!」と笑った。
「適当に座って、お茶しかないけどいい?」少し先輩ぶってそう言った。
後輩は座らず俺の部屋を物色している。
「おい、あんま余計なもんみんじゃないぞ!」
「え!?なにがあるんですか!?」
「何もないけど」 全く意味の無い会話だった。
1つの部屋に男女で2人、俺は落ち着かなくて意味の無い言葉、質問を並べた。

 

303: 1 2016/07/08(金)23:53:40 ID:Nxz
「へぇ~やっぱり先輩本たくさん持ってるんですね!」
後輩が珍しげに本棚を物色しだした。
「ま、まぁねぇ~」凄くぎこちのない返事だった。
「どれがオススメなんですか!」後輩がこちらを振り返って聞いた。

 

305: 1 2016/07/08(金)23:57:53 ID:Nxz
「そうだなぁ~」と言いながら俺が本棚の方に向かうと後輩は
「あ、ちょっとお手洗いお借りしてもいいですか?」と言った。
早く行きな、と後輩をトイレに送り、本棚に目をやった。
最近読んでなかったなぁなんて本を手に取ると
本の間から一封の封筒が落ちた。

 

308: 1 2016/07/09(土)00:00:52 ID:wmJ
確かに見覚えのある封筒だった。
その時、全てを思い出すような感覚が体を突き抜けた。
封筒を手に取り見ると、俺の名前が書いてあった。
裏には見覚えのある名前、そして見覚えのあるけれど全く知らない住所が書いてあった。