俺「ああ…大学行くの面倒くさい…」
?「…」
俺「(ん?ホームレスがうちのゴミ箱あさってる…)」
?「…」
俺「あのー…そこ荒らされると困るんですけど」
?「…」
俺「(げ!が、外人…?)」
?「…△○×□」
俺「え、えーと…メ…メイアイヘルプユー?」
?「…□△○×」
俺「英語喋れないのか…困ったな」
?「…×△○□」
俺「イッヒとかゲンとか言ってるから…ドイツ語かな…」
?「…△□×○」
俺「…あれ…?というかこの人…」
?「…□×○△」
俺「(…耳聞こえてない?)」
俺「とにかく警察に…」
?「…」
俺「ん?紙とペン?」
?「…」
俺「ああ、これで筆談するってことね…なるほど」
?「…(サラサラ)」
俺「えー…なになに…『Wo bin ich』?俺ドイツ語わかんないんだよな…」
?「…」
俺「そうだ!スマホ使ってエキサイト翻訳で…えーと」
?「…」
俺「えー『Wo bin ich』は…『ここはどこですか』か、なるほど」
?「…」
俺「『ここは吉祥寺です』…変換…」
?「…」
俺「『Es ist hier Kichijoji』…か。はいどうぞ」
?「?」
以下エキサイト翻訳による筆談
?「キチジョウジ?どこの国だ?」
俺「国じゃないですよ。日本の東京の武蔵野市の地域名です」
?「日本?東京?どこだそれは」
俺「どこって…あなた来日してきたんでしょ?」
?「散歩していたら変な青い渦に巻き込まれたんだ」
俺「はあ?」
?「早く帰って弦楽四重奏曲を作らなければ…」
俺「弦楽四重奏曲って…あなた作曲家?」
?「そうだ。私を知らんのか?田舎者め」
俺「(ん?このモジャモジャの髪…ドイツ語…作曲家…まさか…)」
?「…」
俺「…ベートーベン?」
?「そうだ」
俺「(ベートーベンのコスプレしたオッサンか…珍しいな)」
俺「とにかく、迷子なら警察に行きましょう」
ベートーベン「警察は嫌いだ。浮浪者と間違えて牢屋に入れられたことがあるんだ」
俺「そんな格好じゃ仕方ないでしょ」
ベートーベン「とにかく今すぐウィーンに帰らなければならんのだ」
俺「だから警察に…」
ベートーベン「(グ~…キュルル)」
俺「!」
ベートーベン「…」
俺「(すごい腹の音…)」
ベートーベン「…」
俺「あの…何か食べます?」
ベートーベン「…すまん…」
俺「(そこら辺のコンビニで適当に…)」
ベートーベン「ああ…できれば魚料理を頼む。…ワインがあればもっといい」
俺「(贅沢なオッサンだな!)」
俺「(はあ…素性もわからん変なコスプレ外人を家に連れて来てしまった…)」
ベートーベン「うまい!こんなうまいパンを食ったのは初めてだ!」
俺「(コンビニのパンだけど…)」
ベートーベン「ふう…食った食った」
俺「じゃ、警察に行きましょう」
ベートーベン「嫌だと言ってるだろ!」
俺「あのねえ…」
ベートーベン「しかしそれにしても…」
俺「ん?」
ベートーベン「凄い装置だなそれは」
俺「え?これ?スマホ?」
ベートーベン「外は変なでかい鍋みたいなのが走ってるし」
俺「でかい鍋?ああ、自動車か…」
ベートーベン「わけがわからんことばかりだ。ファウストになった気分だ」
俺「(ヨーロッパにもスマホも自動車もあるだろ…何言ってんだこのオッサン)」
ベートーベン「ん?おい」
俺「?」
ベートーベン「ピアノがあるじゃないか」