俺が人生で一番勇気を出した瞬間かもしれない
線香花火を二本と、ライターを一個持って従姉妹に近づいた
俺「あれ、友達は?」
従姉妹「ん、ああ……何かジュース買いに行った」
俺「ホレ、勝負しようぜ」
従姉妹「…ええよ、望むところ」
さり気なく会話をする事に成功
話したい事は色々あったけど、踏み込んだ話はできず内容の無い会話ばかりしていた
やるな、正解
けど、それだけで嬉しかった
少し話せただけで、しかも内容はさとみと話した事と変わらないのに
明らかに何かが違ったんだ
海をぼーっと見つめる従姉妹に、俺は見とれてて
その時「ああ、好きだなぁ」って思った
恥かしいんだけど、上手く言葉では言い表せない気持ちになった
従姉妹「なあ、何でずっとこっち見てるん?」
俺「!」
ここで俺が従姉妹を見つめているのがばれた
言い訳を考えようとしたけど、パニックになって何も考えられなくなって
出た言葉が「い、いや、綺麗だなーと思って」だった
もちろん頭の中では滅茶苦茶自分に馬鹿!落ち着け!と言い聞かせてた
従姉妹は、最初驚いたような顔をして、また海を見つめて
「…ああ、たしかに海キレーやもんなぁ」と言った
俺はここで合わせておけば良いものを、何を思ったか
「いや、お前が」と言ってしまった
ここまできたらいっそ言ってしまえ!という思いがあったのかもしれない
従姉妹は何故か、三角座りの膝の間に頭を入れてそのまま動かなくなった
俺はああ、終わった…と思った
そしてしばらくして、やっぱり誤魔化そう、と考えた
俺「…なんてな、冗談な、冗談www」
従姉妹はそれを聴いた瞬間顔を少し上げて目を出して、無言で睨んできた
それにビビッて
俺「いや、ゴメン…綺麗なのはお前、恥かしかったけん誤魔化した」
と暴露した
我ながらとてつもなくカッコ悪いと思う
従姉妹「…どっち?」
俺「…お前が綺麗………でした」
従姉妹「………」
また無言になる従姉妹、気まずくなって余所見をするとさとみと友達が俺たちをを覗いていた
余計恥かしくなった
ふいに、従姉妹が喋りだす
従姉妹「…本気?」
俺「ん、さっきの綺麗っての?なら本気」
従姉妹「………うん、ありがと」
俺はここで「うわああああ可愛いいいいいいいいい」と叫びたかった
綺麗、と言った事で今ならなんでもできる気になってる俺
調子に乗って、色々言い出した
俺「今日な、なんでずっと友達とおったん?」
従姉妹「………」
俺「お前友達の事好きなん?」
従姉妹「……違う」
俺「お前一日中一緒におったくせに」
従姉妹「だってアンタとさとみがイチャイチャするけんだろ!」
従姉妹「そんなん話したくても話せるわけないし!」
俺「あ………ゴメン」
一応謝りはしたけど、この時俺は従姉妹が友達を好きじゃないと解って有頂天だった
浮かれていると、今度は従姉妹が俺を責めだした
従姉妹「アンタずっと前からさとみとだけ連絡とってたんやろ?それも腹立つし」
従姉妹「それ以前に何で○高行ったんやし、普通こっち来るだろ!」
従姉妹「あの時も何も言わんとうやむやにするし!」
従姉妹「ってか今日やってさとみとばっかり楽しそうに話して、意味解らん!」
早口でダーッと言われたから、聞き取れたのはこれくらい
俺は従姉妹がこんな事考えてるなんて思いもしなかったから、ただ呆然として
俺「…ゴメン」
としかいえなかった
従姉妹「…まあ、それはもう許す、今更言ったってしょうがないし」
俺はここで滅茶苦茶安心した、しかしそれも束の間
従姉妹「で?あの時何言おうとしとったん?」
俺「………あの時?」
従姉妹「は?何とぼけとん?中三の時の夏休み!うちで花火した時!」
俺「…あー、オッケーオッケー、解った」
従姉妹「で?何なん?」
俺「………」
緊張した、けど、ここしかないって思った
従姉妹「………はよ」
俺「………好き、多分」
従姉妹「え?誰が?誰を?」
俺「俺が、お前を」
従姉妹「多分って何?」
俺「…多分じゃない、絶対、ていうかめちゃめちゃ好き」
従姉妹「………うん、よろしい」
ここで「何?誰が?誰を?」「多分って何?」って詰め寄られたのは超ハッキリ覚えてる
俺「…で?」
従姉妹「ん?」
俺「いや、返事」
従姉妹「…んー………内緒」
俺「お前ふざけとんか!」
従姉妹「あはは、ゴメンゴメン、からかっただけ」
従姉妹「…アタシも好き、多分」
俺「多分?」
従姉妹「もーうっさいなー、絶対!滅茶苦茶大好き!これで良い?」
俺「…おう、よろしい」
この時は平静を保つのに必死だった
あの時のリベンジをできたのが嬉しかったし、両思いになれたのも嬉しかった
何より従姉妹が可愛過ぎた
青春やなー
そのまま二人の昔の話して、まさかなーとか、全然予想できんかったわーとか言ってた
帰りの車では、行きと同じグループ分けだったけど
大きく違うのは俺の隣に従姉妹が座ってたってところだった
従姉妹は俺にもたれかかってスースー寝息立てながら寝てて、俺はドキドキして固まってた
それからはちょくちょく会うようになって、ゆっくり距離を縮めていった
デートもしたし、お互いのどこが好きか、何故好きになったか、みたいな暴露大会もやった
ケンカは全くしなかった、でも従姉妹はケンカをしてみたいみたいで「ケンカごっこしよーでー」とか訳わからないこと言われた
卒業後は、従姉妹は大学進学、俺は製薬会社に就職、とそれぞれの道を歩んでいた
高校3年生の冬
付き合って何ヶ月か経ってたんだけど、お互いにまだ上手く接せてなかった
いや、今までどおり接せてたんだけど、それじゃダメというか
会話も態度も、どうしても仲の良い友達同士のものになってた
もちろんそれだけで、従姉妹と一緒に居れるだけで嬉しいんだけど、
やっぱり少しは恋人らしい事もしてみたかった
どうにかしようとあの手この手を試したんだけど、もう従姉妹に対するソレが体に染み付いてて、
恥かしいやら照れくさいやらで、全部失敗に終わった
そんな俺の苦悩を打ち払ったのは、>>131に書いた従姉妹主催の『暴露大会』なるものだった
>>145
ごめん書き方が悪かった
野球部の子の家が車出してくれたってこと、後さとみもそう
ちなみにごちゃごちゃするかと思って省いたけど、その子とさとみの親も一緒だった
誤解させるような書き方してスマン