小学生だった俺ら、友達の親父を襲撃➡︎とんでもない目にあった・・・【偉大なる母の力】

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21: 2011/10/20(木) 21:46:09.20 ID:KKhg5spC0

「どうしよう・・謝っても許してくれないだろうな・・」

もうどうするべきかわからなかった。
謝って許されるようなものじゃないってわかってた。

家出するか・・・
そんな事をうつむいて考えていたら
目の前で「カチャン!」と音が鳴った。

顔を上げるとテーブルに特大のおにぎりが二個。
きっちりのりも巻いてある。

母ちゃん・・・・?

さらに顔を上へと恐る恐る上げていく・・・

母ちゃんは俺と目線を合わせた・・・・

坂倉と同じく、つり目の母ちゃんの目が
ぐぐっと横に長く伸びた。
口角がくっとあがり、俺がよく知ってる
いつもの母ちゃんの笑顔がそこにあった。

 

23: 2011/10/20(木) 21:47:07.75 ID:KKhg5spC0

母ちゃん「よし!とりあえず腹減っただろう!食べなさい!」

俺「え・・・?俺・・腹へってないんだけど・・」

母ちゃん「男だろ!まずは食べな!」

俺「いや・・・口の中切ってて痛いし・・」

母ちゃん「あらあら、1ちゃん。食べさせて欲しいんでちゅか~?」

俺「ば・・バカ野郎!一人で食えるよ。」

俺はいろいろと不安だったが
母ちゃんの笑顔を見て、ほっとした。
胸で暴れていた雷雲ののようなうなりがが
一気に消え去り、胸の中が解放され晴れ渡っていく・・・
嬉しくてちょっと泣きながらおにぎりを食べた。

 

24: 2011/10/20(木) 21:48:46.95 ID:KKhg5spC0

一通り食べ終わると
母ちゃんは笑顔のまま俺に対峙し話しかけてきた。

母ちゃん「んで。何があってバカなまねしたんだ?
母ちゃんはおまえらが坂倉君の家に行って
お父さんに襲い掛かったとしか聞いてない。
理由を聞いてもおまえら全員しゃべらなくて
わからないと警察に言われた。」

俺「・・・・・・・・・・・・・」

母ちゃん「いつも言ってただろ?悪さするなら私の前でやれって。
約束守らないからこういうことになるんだ。」

俺「・・・・母ちゃん・・・・」

母ちゃん「・・・なんだ?」

俺「さすがに母ちゃんを「一緒にオヤジを殴りに行こうか?」って
誘えねえよ・・・」

母ちゃん「ぷっ!そりゃそうだ。
まあいい。理由を教えてみ?」

俺「・・・・・・・・・・・」

 

26: 2011/10/20(木) 21:49:55.42 ID:KKhg5spC0

母ちゃん「母ちゃんにも黙るつもりか?」

俺「・・・・・・・・・・・・・」

俺は母ちゃんに言うべきか悩んでいた・・・

母ちゃん「お前には責任がある。私を巻き込んだのはお前だ。
私はお前を迎えに行った。
すぐに解放させたくて殴りつけたけど
私はお前を信じてる。信じてるからこそ
巻き込んだ責任として理由を教えてほしい。」

俺「・・・・・・・・・・・・・」

母ちゃん「心配すんな。お前がもし間違った理由で
今回事件を起こしてたら根性叩き直してやる。
私はお前を見捨てない。信用しなさい。
どんな理由があったってお前は私の子供だ。
最後まで私はお前の味方してやる。
だから理由を話してみろ。」

 

27: 2011/10/20(木) 21:51:29.05 ID:KKhg5spC0

ずっと重い重い荷物を抱えてるようだった。
坂倉の虐待という荷物を抱え
本田に相談したという荷物を抱え
子供だけで大人を襲撃しに行くという犯罪行為を抱え
逆襲にあい、深く体と心に大人の恐ろしさを抱え
まだまだ子供だった俺には両手いっぱいしか持てない
荷物を肩に背負わされ、足にくくりつけられ
俺は身動きできなくなっていた。

どれもこれも俺にとっては大事な大事な荷物。
気安く誰かに預けられない。

重い重い荷物を背負ってきたけど
一番身近な人が一緒に背負ってくれると言ってくれた。
俺はこの身近な母に荷物を預けてみることにした。

 

29: 2011/10/20(木) 21:52:44.27 ID:KKhg5spC0

俺は嬉しくて嬉しくて涙が出た。
嬉しいとこんなに涙が出てくるんだって
初めて知った。涙を流した重さの分だけ
体と心が軽くなっていくのがわかった。

俺は母ちゃんにすべてを話した。
坂倉がオヤジに虐待されてたこと。
実の母親に見殺し状態にされてること。
それをどうにかしたくて本田を誘い
坂倉の親父を襲撃したこと。
ビビって本田を見殺しにしたこと。
正座させられ蹴られ続けられたこと。
重い荷物を全部母ちゃんに預けた。

母ちゃんは何も言わずに全部聞いてくれた。

俺「・・・・ってわけで昨日捕まったんだ・・」

母ちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・」

俺「・・・・・・母ちゃん?」

母ちゃん「・・・・お前は間違ってない!」

 

32: 2011/10/20(木) 21:54:33.68 ID:KKhg5spC0

俺「へ?」

母ちゃん「いや~!母ちゃん安心しちゃったよ!
いくらお前がバカ息子って知ってたとはいえ
人様の家を襲撃したなんて聞いた日には
いよいよダムに車ごと沈んで心中しなきゃならないかなと
本気で思ったじゃない!いや~!命拾いしたわ~!」

どうも母ちゃんは信用してるといいつつも
俺がふざけた理由でやってたら
ダムに一緒に沈む気だったらしい・・・・

母ちゃん「しっかしまあ、ガキがいっちょ前に
かっこいいことしてんじゃない!
いい男に育った!母ちゃんの育て方、間違って無かったね!
まったく、母ちゃんに感謝しなさいよ~!
お前は間違ってないから大丈夫!
やったことは法律的にはダメかもしれないけど
人間として正解!大正解!賞金出しちゃう!
母ちゃんは認めるぞ~!!!」

なんだ・・・そのはしゃぎっぷり・・・

 

33: 2011/10/20(木) 21:55:32.17 ID:KKhg5spC0

まるで漫談でもしてるようなハイテンションで
キャアキャア騒いで・・・・
こっちは理由はどうあれ、今も必死なのに・・・

母ちゃん「よ~し!んじゃ少し寝たら一緒に行くよ!」

俺「え?どこに?」

母ちゃん「サ・カ・ク・ラ・君の家よ♪」

俺「は・・・はぁ~~!!!??」

 

35: 2011/10/20(木) 21:57:54.23 ID:KKhg5spC0

少し時が進む・午前9時 本田家

本田「うっせえな~!もういいだろ!
俺、ボコボコにされたんだぜ~!」

母「ロクなことしないガキだよあんたは!
ワケを説明しなさい!」

本田「うるせえうるせえ!男にはいえない理由があんだよ!」

母「なんだとこのガキャ!何が男だ!」

プルプルプルプル・・・・プルプルプルプル・・・・

本田「おい!母ちゃん!電話だぞ!」

母「わかってるわよ!そこにいなさい!逃げるんじゃないわよ!
ガチャ・・・もしもし・・・はい。あらあら~!
大変だったでしょ~?
・・そう・・そう・・そうなのよ~!
え・・・?うん・・・・うん・・・あら・・そうなの・・・
うん・・・うん!いいわよ!付き合うわ!
いくいく!」

本田は母の楽しそうな声を聞いて
余計にイライラしていた。

 

38: 2011/10/20(木) 21:58:58.37 ID:KKhg5spC0

裏切られたとは思っていないが
自分だけ襲い掛かり首謀犯にされ
こっぴどく怒られたことに不満を感じていた。
ただ、父と母が必要以上に怒らず
いつものノリで少し明るく怒ってきたおかげで
なんとか精神的にキレずにいられた。
そこに母なりの気遣いを感じたが
自分が悩んでる事をつゆ知らず
どこかに遊びに行くと楽しそうにしゃべってる母が
本田の脳内を余計に沸騰させていた。

「今日はどっかで家を抜け出そう。
そして1の家に行こう。
謝ってもらわないと気が済まねえ」

ささいな母の電話が彼の機嫌を余計に捻じ曲げる・・
彼はそんな事を企みながら時間を過ごしていた。

 

41: 2011/10/20(木) 22:00:09.84 ID:KKhg5spC0

時がまた戻る 午前5時半 1の家

俺「は・・・はぁ~?」

母ちゃん「だって聞いちゃった以上しょうがないでしょ~。
あんた坂倉君を助けてあげたいんでしょ?」

俺「当たり前だろ!」

母ちゃん「・・・・お前はよくやったよ。ホント。」

母の顔はさらに優しくなった。
さっきまでも優しかった。にこやかで見ている人を
幸せにさせるような明るい笑顔だった母。
しかしその微笑みは明るさをやや薄くし
代わりに目と頬にさらなる柔らかさと温かさを与え
子供を愛しむ母親の表情になった。

 

43: 2011/10/20(木) 22:01:24.98 ID:KKhg5spC0

母ちゃん「母ちゃんは嬉しい。自慢の息子だ。
だから後は母ちゃんに任せておきな。
こっからは大人の役目。
あんたらは守ってやるから安心しなさい。
お前は坂倉君が好きなんだろ?」

俺「ああ・・・」

母ちゃん「じゃあ母ちゃんも坂倉君が大好きだ。
だから力を貸してやる。任せてくれるな?」

俺「・・・・・うん・・・・
でも・・向こうの親父・・・危ないぜ?大丈夫なの?」

その言葉を聞いて母ちゃんがニヤっと笑った。

母ちゃん「馬鹿だねあんた。女は男に勝てないと思ってんだろ~?」

俺「そりゃ男の方が力が強いし背も高いし強いだろ!」

母ちゃん「かぁ~!バカだねあんたは。女の方がね。絶対強いんだよ!
なんで母ちゃん見てて女の方が強いって気づかないかな~?
ま、見てなさい・・・ふふふ・・・」

 

45: 2011/10/20(木) 22:02:33.42 ID:KKhg5spC0

母ちゃんは自信満々だった。
俺は不安だった。正直、今の俺でも
母ちゃんを組み伏せるくらいわけないと思っていた。
実際腕相撲しても握力を測っても
足の速さもすべて俺の方が上になっていた。
本当に勝てるんだろうか・・・
不安になりつつも心身ともに疲れ果てていて
すぐに眠りへと落ちて行った・・・・

目を開けると既に朝10時半をさしていた。
まだまだ寝足りない感じ。
しかし腹が減り俺は部屋を出て階段を降り
リビングへと降りて行った。

リビングに入ると異様な光景が目に飛び込んできた・・・。

そこには本田がソファーでくつろぎ
コーラを飲んで漫画を読んでいた。

 

47: 2011/10/20(木) 22:03:42.09 ID:KKhg5spC0

俺「ほ・・本田~!?お前、大丈夫だったか?」

本田「大丈夫じゃねえよ!お前、ビビりやがったから
俺が主犯だ!とか言われてものすげえ警察に
怒られたんだぞ!」

俺「・・・・ホント悪かった・・・・
お前は作戦通りに行ったのに・・・・
俺、ビビっちまって・・・・ごめん・・・・」

本田「・・・んだよ。んなマジに謝られるとさ。
許すしかねえじゃん。それに俺もビビったし
・・怖かったな・・・あのオヤジ・・・」

俺「ああ・・・・怖かった・・・」

目をつぶればすぐに思い出せる・・
大人の腕力。どうあがいても離せない握力。
圧倒的な威圧感。
あがくことさえできずひたすら蹴られてたあの時間・・
思い出すだけで震えが出てきた。

本田母「ったく悪ガキ気取ってるくせに
弱っちいんだからバカタレ共は。
男なんだからしっかりしろまったく」

52: 2011/10/20(木) 22:05:29.82 ID:KKhg5spC0

俺「あれ・・・?あばさん・・?一緒にきたの?」

母ちゃん「そうなのよ♪電話で誘っちゃった。
やっぱ一人でいくより二人がいいでしょ?
本田母が一緒の方が心強いし♪」

本田母「まったくめんどくさい事持ってきて。
ま、その坂倉君って子、かわいそうだ。
助けてあげなきゃいけないでしょ。」

前に書いたと思うが俺と本田は幼馴染。
と、いうのも本田の母ちゃんと俺の母ちゃんは
高校時代同級生のクソヤンキー仲間で
年がら年中うちにきたり本田の家にいって
酒を飲んでる間柄。
だからしょっちゅう泊まりにいったりきたりしてたのだ。

本田「びっくりしたぜ。俺、どっかで抜け出して
ここにきてお前に謝ってもらうつもりでいたら
いきなり「1の家に行くぞ」って言って
連れてこられたんだから。」

俺「いや、俺も驚いたって・・・・」

 

53: 2011/10/20(木) 22:07:37.16 ID:KKhg5spC0

本田母「さて、3時にはあんたら警察行かなきゃいけないんでしょ?」

俺「うん。」

母ちゃん「じゃあ行こうか。今なら坂倉君のお父さんもお母さんもいるでしょ。
話しつけるにはちょうどいいわ!
じゃあ1。」

俺「なに?」

母ちゃん「フライパン持っておいで」

俺「は・・はぁ?なんで?」

母ちゃん「主婦がたまたまフライパン持って行くのは普通でしょ?」

本田「いや、おばさん・・・普通じゃないと思う・・・」

本田母「男のくせにこまごまとうるさいねあんたらは。
いいから持ってくりゃいいのよ!」

俺「もしかして・・・武器?」

母ちゃん「いいじゃない。こっちは女なのよ。
私も本田母もくたびれて、女の武器は使えないもの。
だったらフライパンぐらいいいじゃない♪」

 

54: 2011/10/20(木) 22:08:31.89 ID:KKhg5spC0

本田母「私達は持たないわよ。えっと・・1!あんたが持ちなさい。
で、いい?もし襲われた時はフライパンで・・・」

俺「殴れ・・・と?」

本田母「そう。だけど気をつけてね。フライパンの面で殴ったら
面積が大きすぎてあんまり効かないのよ。
だから・・・こう。
(フライパンを90度横に向けて縦にし脇の部分から垂直に落として見せる)」

俺「・・・・・マジで?」

本田母「旦那がへそくり握ってパチンコで負けてきた時に
かましたら、頭を押さえたままヘッドバンキングしてたわ♪
効くわよ~。襲われたらためらわずいきなさい。」

本田「1・・・それマジだ・・・父ちゃん1時間ぐらい動けなかった・・」

できるなら・・・使わないで済んで欲しい・・・・

 

56: 2011/10/20(木) 22:10:16.39 ID:KKhg5spC0

俺の家から坂倉の家までは歩いて10分くらい。
なので4人で歩いて行く。

母ちゃんとホンダ母は
ケラケラと笑いながら歩いている。
「あっついわね~。お肌によくないね。」
「もう年だし、お手入れ欠かすと、即響くもんね」
なんて、どっかに買い物に行くような顔して
ズンズンと突き進んでいく。

俺と本田は、一度虐待オヤジの恐怖を味わっている。
二人とも口には出さないが怖かった。
怖かったんだが・・・
あまりにも普通な母親の背中を見てたら
なんか行ける気がしてくるから不思議だ。

俺「・・・なんか母ちゃんとおばさん・・・すげえな・・
怖くねえのかな?」

本田「なぁ・・・なんであんな平気な顔してるんだろ?
大人になったらああなれんのかな?」

俺らは不思議な感覚と奇妙な安堵感を抱えながら
母親の背中を追いかけていった。

 

57: 2011/10/20(木) 22:11:35.07 ID:KKhg5spC0

アパートにつく。
俺と本田はぐっと緊張感が高まる。

しかし母ちゃん二人は世間話をしたまま
二階へと上って行く・・・・

俺「・・・あ・・あの二人・・・
作戦会議とか・・しねえのかな・・?
普通に上って行ってるけど・・・」

本田「わ・・・わかんねえ・・・
けど・・行こう。なんとか・・なるんじゃねえかな?」

あまりに大きくうつる母親の背中。
女は強い!もとい母親は強い!と印象付けられる背中を今も覚えている・・・

扉の前に立つと俺の母ちゃんは即座にノックする。