あいつら元気なのかなぁなんて、死んだら元気も糞もないが、Aはぼんやり考えていた。
駅に着くとSが手をふって居る。
「たばこくせぇ!」開口一番不機嫌だ。
どうするかな、Sには黙っとこう。
AはSに、病院で俺たちに降りかかった事、BとCが死んでしまったことを何も説明していなかった。
隠してもバレるだろうが、出来るだけ普段通りのテンションで、その日は橋を渡る事にした。
「あのあれよ!あっ…あっ……って声!あんなの目の前に居たら失神しちゃうね!」
最近見た呪怨の話でSが盛り上がる。
「おしいれあるでしょ!Aの部屋!絶対あそこで寝たくないw」
何事もなく橋を渡り終え、コンビニによる事にした。
「ただいまって何なの?」Sが悲しそうに言う。震えて居る。
「なんであんなに必死に。Aに言ってたよ?」Sが泣き出し、Aも泣き出してしまう。
「ごめんな、B。でも、俺たちじゃ何も出来ないんだよっ…」
Bの姿こそ見えなかったが、橋を渡っている中、ずっと囁くように「ただいま」と聴こえた。
観念して、Aは事のあらましをSに告げた。
「やっぱり、あの時のカクカクが関係あるんだね」
「Aが自分でいったとおり、ほんとに何も出来ないよ。実際あたしもあれを見て何かわかンなかったし、よく同じ目に合わなかったと思うよう。正直ね、今日この街にくるのもちょっと気が引けたよ。カケル君がさ、いつも付いて来てたんだけど、二度と行きたくないって」
この時Sに漏れ、俺たちの計画は頓挫した。
Sが来た目的はそれだったらしい。
おしまい。