16: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:17:23.79 ID:zSMs1Lti0
先生に「本を探してきてほしい」と頼まれたとき、頭に浮かんだのはネットでの古書通販サービスのことだった。
あるかもわからない書籍を求めて図書館を巡るよりも、そういったサービスを利用するほうが効率的だろうとは思った。
もちろん、そんな提案は口には出さない。本の運搬を口実に先生に会えるのなら願ったりかなったりだ。「駅前の大きい図書館あるでしょう? そこになら、置いてあるかもしれないから」先生はこの二か月と少しの間、一度たりとて駅近辺には足を運んでいないそうだ。
駅前だけでなく、人が集まりそうな繁華な場所にはできる限りいかないようにしているらしい。
生徒やその保護者、教師の誰かと顔を合わせてしまうかもしれないからだ。目的の本を書棚から引っ張り出して、貸出カウンターに持っていく。
貸出カードを作るのに多少時間がかかったが、なんとか閉館には間に合った。
土日の図書館は閉館時間が早い。
あるかもわからない書籍を求めて図書館を巡るよりも、そういったサービスを利用するほうが効率的だろうとは思った。
もちろん、そんな提案は口には出さない。本の運搬を口実に先生に会えるのなら願ったりかなったりだ。「駅前の大きい図書館あるでしょう? そこになら、置いてあるかもしれないから」先生はこの二か月と少しの間、一度たりとて駅近辺には足を運んでいないそうだ。
駅前だけでなく、人が集まりそうな繁華な場所にはできる限りいかないようにしているらしい。
生徒やその保護者、教師の誰かと顔を合わせてしまうかもしれないからだ。目的の本を書棚から引っ張り出して、貸出カウンターに持っていく。
貸出カードを作るのに多少時間がかかったが、なんとか閉館には間に合った。
土日の図書館は閉館時間が早い。
エントランス付近の腰掛に座って、昭和初期の建築写真集を繰っていたユウキに声をかける。
「探してた本は見つかった?」
背表紙をつかんだ左手を軽く上げて見せる。
「おかげさまで」
「そいつはよかった」
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