美しすぎる学校の先生が不登校になってしまったので家にお見舞いに行った結果・・・

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43: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 08:22:20.06 ID:zSMs1Lti0
 既に先生ではなくなった先生と、未だ生徒のままな僕を乗せて、ホンダのエヌボックスは動き出した。
慣れた手つきで車頭を駐車場の外に向け、先生は車を狭い路地に入れる。
エンジンを始動した際、自動的にカーステレオから流れ出したその曲には、聞き覚えがある気がした。
陽気で妖艶なそのギターサウンドを、さて、僕はどこで耳にしたのだったか。始めのうち、僕と先生は口をきかなかった。
その沈黙は別に気まずいものではなかった。
非現実的な現実に、僕の頭は焼け付いてふわふわとしていたし、先生も似たようなところだったのではないかと思う。
都市部を過ぎてしまうまでに、車は幾度となく信号に引っかかって止まった。
前に後ろにと揺られる身体に合わせて、冬の闇に浮かぶ赤や緑、オレンジの光が僕の目を眩ませた。僕たちが大まかに南下していることは、カーナビに移るポイントの軌跡から知れた。
その動線がところどころ無意味に大回りしているところを見ると、先生自身、なにか明確な指針に基づいて運転をしているというわけではなさそうだった。
だからきっと、目的地を決めて道を走ったというよりは、走った道が目的地を決めたというほうが正しいのだと思う。
地図を見て、先生の家がある市よりまっすぐ南には、海がある。湘南の地だ。「気づいたら海に来てた、っていうのいいよね」

エヌボックスが神奈川県に入ったあたりで、僕らはようやく口をきいた。

「気づいたらってところがポイントなの。小説とかだと、よく使われる表現だけどね」

「どういうことですか?」

「物理的にも精神的にもふらふらとしているうちに、自己防衛本能が、自分を危機から遠ざけてくれてるって話だよ」

「海とか山とか、そういうのは、危機から遠い場所なんですか?」

「現実的に考えたら、そんなことはないけどね。でも海とか山とかそういう場所って、精神を高揚させるにしても鎮静させるにしても、どっちでも、人を救う場所として描かれるから」

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