14: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:11:59.69 ID:zSMs1Lti0
先生の誤算は三つある。
わけのわからない形而上学的対話を延々と続けることができるほど、僕が賢くなかったということが一つ。
僕の問いを濁して、無理やりにでも『意味のない話』を継続する図太さが、先生にはなかったということが一つ。
そしてなにより、僕は先生から『意味のある話』を聞きたくてここに来たのではない……ということを知らなかったのが、最大の誤算だったろう。
正直に話そうと思った。
間違いなくそれが一番なのだ。
「先生と話したいだけなんです」
まともに顔は見れなかった。
決して真面目な生徒とは言えない僕が、毎日のように授業内容に関する質問をするため職員室に通ったことも。
先生の指の隙間から見える文庫本のタイトルを盗み見て、こっそり同じ本を買ったことも。
こうして僕が、学校中の人間全てのうち僕だけが、先生と顔を合わせていることも。
「学校なんてどうでもいいんです」
それが今日、一番言いたいことだった。
「なんてこと言うの」
先生が呟いた。
上目に見たその顔の赤さは、きっと僕の比じゃないのだろう。
「それはまるで、恋のようじゃないか」
そうなのかもしれない、と僕は思った。
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