「そりゃそうでしょ。むさえさんも、いい加減結婚しないと」
「そうそう。むさえおばさんもいい歳でしょ?」
オラの言葉に、ひまわりが続く。
「と、歳の話はやめい!それに、おばさんって言うな!――私はいいの!写真に生きるの!」
……むさえさんは、プロの写真家になっていた。
たまに写真展を開いては、そこそこ儲けているらしい。ただ、元来適当な性格もあって、開催は不定期。今では完全に、放浪の写真家となっていた。
腕は認められてるのに、実にもったいないと思う。ただ、これだけ自然体だからこそ、いい写真が撮れるのかもしれない。
芸術家とは、かくも面倒な存在なんだろうな。
「……まあ、身を隠すだけならいいけど。それに、いくら九州のじいちゃんでも、さすがにここにいるなんて……」
プルルル…
突然、家の電話が鳴り始める。
「……まさか……」
「……ひょっとして……」
オラが電話に出た。
「……も、もしもし……」
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