102:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:30:00rlN
何も答えられなかった
でもしおりさんは、「そっか」って言ってた
で、またいつも通りお菓子を渡してきた
前に教えてくれた、ヨモツヘグイだかなんだかの話を思い出してちょっとためらった
でももう散々食べてたし、今更遅いかと思って素直に受け取った
色々考えながら食べてたけど、やっぱりなんにも言えなかった
しおりさんも何も言わなかったと思う
108:名無しさん@おーぷん: 2018/08/18(土)00:58:38hnh
>>102
ヨモツヘグイってなんだ?黄泉竈食ひ?
111:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:07:37rlN
>>108 ヨモツヒラサカの話してくれたときにあの人が教えてくれたんだけど、あの世の食べ物を食べたら完全にあの世の住人になっちゃうってやつ
イザナギが迎えにきた時点でイザナミはもうあの世のもの食べてたから、現世に戻って来られなかった
で、私はしおりさんがおばけだと思ってたから、渡されたお菓子食べたら私もおばけになっちゃうと思った
103:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:36:57rlN
しばらくしてやっと決心がついて、なんでおばあちゃんと歩いてたのか聞いた
それが私の仕事だからだと言っていた
それから、おばあちゃんは本当に死んでいたのか、しおりさんはおばけなのかも聞いた
ちょっと考えてから、おばけとはちょっと違う、と答えてくれた
じゃあなんなのかとは流石に聞けなかった
おと他にも聞いたことはあったはずだけど、しおりさんは答えてくれたりくれなかったりした
でも、答えてくれないことはあっても、たぶん嘘はつかないでくれてたと思う
なんとなくだけど
104:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:43:47rlN
いろんなことを聞いた
で、しおりさんが、一緒に作った栞を交換しないかと言い出した
ずっと持ち歩いて使ってたから、ランドセルの中にあった
栞を渡したら、しおりさんはすごく嬉しそうだったのを覚えてる
105:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:48:22rlN
そうこうしてる間に結構時間が経って、帰る時間になった
最後にしおりさんを見たとき、ちょっと寂しそうだった気がする
もう顔もあんまり思い出せないのになぜかそれは覚えてる
別れ際はいつも、なんとなく手を振るだけだった
確かその日もそうだった
106:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:53:38rlN
なんとなく仲直り(?)ができた気がしたから、次の日はまたいつも通り、しおりさんのアパートに遊びに行った
もうあんまりしおりさんのことは怖くなくなってたし、変な人だけど面白いから、もうおばけでもいいやと思ってた
でもしおりさんは留守だった
なんとなくいやな感じがした
あちこち探し回ったけど、その日はしおりさんは見つからなかった
107:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)00:57:16rlN
次の日もその次もしおりさんは見つからなかった
町中でも、ほとんどではなく完全にしおりさんを見なくなった
しおりさんは忽然と姿を消した
109:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:02:23rlN
もうずっとしおりさんの姿を見なかったし、アパートにもいないみたいだった
最終手段をとることにした
休日の昼間に、しおりさんの隣の部屋に凸した
たしかおばさんが出てきたと思うけど、今思えば迷惑極まりない
ごめんねおばさん
110:名無しさん@おーぷん: 2018/08/18(土)01:07:05I4R
すごく楽しい
何年前の話なんだろう
115:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:11:01rlN
>>110 今私が高2、記憶が正しければ小学校低学年のときの話だから、だいたい10年くらい前
118:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:16:43rlN
出てきたおばさんに、この前までこの部屋の隣に住んでた人のことを知らないかと聞いた
そしたら、「隣はもうずっと空き部屋だよ」って言われた
119:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:22:14rlN
ありえない。だってついこの間まで、私はその部屋でしおりさんと本を読んでたのに
おばさんは1年だか2年ちょい前からその部屋に住んでるけど、人が入ったことはないと言ってた
でも絶対そんなはずはない
あんまりにも私が食い下がるから、おばさんは大家さんに電話をかけてくれた(本当にご迷惑おかけしました)
121:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:26:58rlN
結果はおばさんの言う通りで、2年だか3年前から空き部屋とのこと
なんでそんなことを聞くのか、と言われたから、かいつまんで素直に話した
大家さんは馬鹿にしないで聞いてくれて、
じゃあ部屋の中を一緒に見に行くかとまで言ってくれた
122:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:31:37rlN
次の日あたりの放課後、大家さんに部屋の鍵を開けてもらって、一緒に部屋に入った
あれだけたくさんあった本はきれいさっぱりなくなってて、それどころか人が住んでた痕跡も全然なかった
大家さんは、たぶん何かの間違いだろうと言っていた
その日は大家さんにお礼を言って家に帰った
123:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:36:54rlN
帰り道、なんか色々考えてた気がする
もしかしたら夢だったのかなとも思ったけど、しおりさんと一緒に読んだ本も、貰って初めて食べたお菓子も、教えてもらったいろんな知識も、確かに私の頭の中にあった
けど、しおりさんは本当にいなくなっちゃったんだなという感じがして、ボロ泣きしながら家に帰った
姉にめっちゃ心配された
124:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:39:35rlN
しおりさんが確かにいたんだという唯一の証拠になっちゃった押し花のしおり
これだけはずっと大事に使い続けようと思ってたのに、それもいつの間にかなくなっていた
125:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:46:44rlN
これで私としおりさんの話はおしまい
あれからだいぶ月日が流れて、だんだんとしおりさんのことを忘れていってる
でもこのまま全部忘れちゃうのは嫌だから、少しでも覚えてるうちに、他の人にも見えるかたちでしおりさんとの思い出を残しておきたいと思ってこの一連の話を書いた
しおりさんが何者だったのかは結局わからん
釣り、創作と思われても構わない
というかこんな話創作と思われて当たり前とも思う
でもしおりさんは、確かにいた
色々な知識とお菓子を私にくれた、名前もわからない変なお姉さんの話です
129:クソガキ◆X2K4gOiArzdp: 2018/08/18(土)01:54:37rlN
中ニ病って言われるの覚悟で言うけど、しおりさんは死神だったんじゃないかと思ってる
死んだ人の魂を迎えに行って、然るべきところに連れていく、みたいな
134:名無しさん@おーぷん: 2018/08/18(土)23:31:576ju
面白かったよ
135:名無しさん@おーぷん: 2018/08/19(日)17:46:55hsR
子供の頃、何の疑問もなく受け入れていたことが後々不思議なことだったのかと気付くこともあるし
その記憶が薄れていくと言うこともある
良い経験したなぁ
とりあえず乙
136:名無しさん@おーぷん: 2018/08/19(日)21:05:16Jwk
時期的にもお盆だしね
乙
138:名無しさん@おーぷん: 2018/08/19(日)21:56:46JLU
おつかれー
おもしろかったぜ!
130:名無しさん@おーぷん: 2018/08/18(土)02:02:32hnh
不思議で少し切なくて面白い話だったよありがとう