小児ガンで1年4ヶ月入院していた結果・・・

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43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:33:25.10 ID:5NzmtL8y0
いくらアホな俺でもいつもみたいにゲームしてる場合じゃないって事はわかったから、
綾ちゃんが話し始めるのをじっと待ってた
綾ちゃんはまだいくらか混乱してたが、途切れ途切れに何があったか話してくれた

綾ちゃんには凄く仲のよかった同病のがん患者さん(Aさん)がいた
その人には入院前から結婚の約束をしてた彼氏さんがいて、病気が治ったら結婚するんだ、
って綾ちゃんに嬉しそうに話してたらしい

俺が入院するしばらく前にその人は退院したんだが、
彼氏さんの両親に挨拶に行ったAさんはこう言われたそうだ

「そんな病気の人間と結婚して、子供に遺伝したらどうする」
「足が悪いらしいが、そんな母親では生まれてくる孫がかわいそう」
「ウチの息子をあなたと結婚させるわけにはいかない。諦めてほしい」

彼氏さんと一緒になる事だけを生きがいに治療に耐えてきたAさんは、
鬱のような状態になってしまった
肝心の彼氏さんも親の言うことを優先してAさんを見捨てるような形で別れてしまい、
結局Aさんはその後自殺してしまったそうだ

顛末をひとしきり話した後、綾ちゃんが泣きながらポツリといった
「私もきっともう恋愛も結婚も出来ないんだ。おっきな傷跡だってあるし、
もし治ってもいつ再発するか分からないし」

46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:35:37.39 ID:5NzmtL8y0
その頃になると、俺は綾ちゃんが好きになってた
顔が可愛いって事ももちろんあるが、いつも笑顔で励ましてくれて、
俺がキツくて動けない時に何回もご飯を作ってくれたりして、そういう優しいところが大好きだった

部活ばっかで女に縁がなかった俺じゃなくても、きっと彼女に惚れてたと思う

そんな綾ちゃんが目の前で泣いてて、自分には何も出来ないって状況が悔しかった
そして、自分でも意外な言葉を発してしまった

52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:37:36.65 ID:5NzmtL8y0
「そんなことない。俺、綾ちゃんのこと好きだよ。滅茶苦茶好きだ」

この後に続けて色々言ったはずなんだけど、完全テンパってて何言ったか覚えていない
綾ちゃんはなんかポカーンとしてた

ヤバい、やっちまった
ていうか俺何言ってんだ、終わった
そんな思考に頭が占拠されてた
何分も沈黙が続いた後、綾ちゃんが小さい声で言った

54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:38:59.67 ID:5NzmtL8y0
私も俺君の事好きだよ。
けどね、私達の好きって、普通じゃないかもしれない。
私達、同年代の子達とは少し違う境遇にいるよね。同じ病気の人たちもちょっと年離れてるし。
自分に一番近い相手に共感を抱いて、それを好きと勘違いしてるのかもしれないよ。
だからどっちかが退院して「外」の人になっちゃった途端、終わっちゃうかも。
それでもいいの?

57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:41:27.28 ID:lBzEWBpo0
なんか泣けてきたわ

59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:41:51.96 ID:4XPeXF2H0
続きはよ

60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:43:34.40 ID:5NzmtL8y0
文章で書くと一気に喋ってるように見えるけど、
綾ちゃんは途切れ途切れに、考えながら喋ってた

俺はこの話を聞きながら、この子は大人だな、けどその通りかもしれないなって思ってた

でもそれ以上に俺の事が好きだって言ってくれて嬉しかったし、
もしかしたら綾ちゃんの言うとおりになっても退院まで1人ずつでいるより
一緒にいたほうが絶対いい気がしてた

だから「それでもいい」って断言した
綾ちゃんはまたちょっと黙った後恥ずかしそうに笑って「これからもよろしくね」って言ってくれた

61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:44:02.40 ID:5NzmtL8y0
そんなこんなで抗がん剤治療と無菌室行き、回復してからの夜話会、
そして綾ちゃんとのデートを繰り返しながら、手術前の3クールをなんとか乗り切った

デートと言っても2人で病院から出たりは出来ないから、
院内を散歩したり売店行ったり夜話会の後に2人残って話したり程度
それでも俺にとっては十分だった

治療の副作用が抜けるのを待って、俺は手術を受けた
抗がん剤の効きは期待ほどじゃなかったそうだ

けど、可能な限り筋肉の機能を残しながら、
がん細胞が残らないように手術をしてくれたとの事だった
リハビリを頑張れば右手はかなりのところまで元通りになる、がんばろうと先生に言われた

62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:45:23.56 ID:5NzmtL8y0
リハは楽しかった
1年近くベッドの上ばかりで生活してたから、トレーニングで動けるのが嬉しかった
おれより数ヶ月前に手術を受けてた綾ちゃんと一緒にリハにいったりもした
無論綾ちゃんの調子がいいとき限定だが
(綾ちゃんはすでに術後の抗がん剤治療が再開してた)


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:47:30.09 ID:5NzmtL8y0
そして手術から1月後、俺にも術後の抗がん剤治療がはじまった
手術前とは違うクスリがメインだった
透明な、ぱっと見は水みたいなクスリ
このクスリは赤&透明ほどの吐き気はこない(それでも吐く時は吐くが)
代わりに、血液成分にダメージが大きいクスリだった

これを投与されると白血球が格段に減って、すぐ無菌室行きになる

しかも投与期間が長いので、2週間以上無菌室に閉じ込められる事が増えていった

64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:48:25.32 ID:4XPeXF2H0
気になるけど読んでると辛い
俺より6歳も若い頃にこんな経験してるとか

65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:48:47.70 ID:5NzmtL8y0
もちろん減るのは白血球だけじゃない
赤血球が減るから強烈な貧血になるし、血小板が減って血が止まらなくなる
何かの拍子で鼻血が出て、1時間以上止まらない事も何度もあった

その状態で寝てると鼻血がに咽に降りてきて吐き気を誘発するんだが、
副作用で体力が消耗してるから起き上がっていられない

そうこうしてるうちに咽に降りてきた鼻血ごと吐いて、
それが原因で今度は咽から血が出る、なんてループに陥ることもあった

その頃手の甲を軽くすりむいたことがあるんだが、その時も2時間くらい血が止まらなかった
今でも傷跡が残ってる

66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/07(水) 21:51:04.52 ID:5NzmtL8y0
けどそんなことより、綾ちゃんとなかなか会えないのが一番つらかった
綾ちゃんも同じクスリを投与されてるから、お互いに無菌室で会い様がない、
という状態が多かった

そうじゃない場合でも必ずと言っていいほどどちらかの調子が悪く、
一緒に散歩に行ったり出来る機会も格段に減った

そんな状態がしばらく続いた後、綾ちゃんの抗がん剤治療が終わった
綾ちゃんは徐々に副作用から回復して、また会える機会も増えていった
けどそれは、綾ちゃんが退院する時が近づいてるって事でもあった

綾ちゃんの退院日はあっと言う間に近づいてきて、その日俺は無菌室にいた