8(二)距離を感じる
お腹が減った
ワイは床を殴る
返事は無し
また床を殴る
「まだだよー」
床を殴る
早くしろや使えねえババアめ
ワイは炒飯を所望していた
母ちゃんの炒飯は凄いんだ
パラパラでしっとりして
凄く美味しいんだ
ワイは所望していた
「出来たよー」
ワイはウキウキで居間に向かった
しかし待っていたのは絶望
母ちゃんはパエリアを作っていた
流石に温厚なワイもこれにはキレた
罵声を母ちゃんに浴びせ
ドアを思いっきり音を立てて閉めた
5秒経ってから扉を開けて
席に着きパエリアを食べる
これをするのには理由があるのだ
ワイが乱暴で怒ると何をするか
分からないヤバイ奴だと思わせれば
親は言うことを聞いてしまうんだ
これからニートする奴は
覚えておくと便利だぞ☆
パエリアもうめえなあ
そう思いながら食べていると
母ちゃんがボソッと呟く
貴方は誰なの…
距離を感じるよ
圭太とは思えない
ワイはスプーンを止めた
何も言えなくなった
悪いことをしているような気がして
唾すら飲めなくなった
居心地が悪くなり部屋に戻った
人が食べてる時に胸糞悪い話すんなや
本当に躾がなってねえわ
パエリアはうまかったのになあ
もうちょっと人を幸せにする努力をしろっての
9(投)夢を見てると大人になれないよ
ワイがいつも通りゲーセンで
五千円くらい使っていると
声を掛けられた
カツアゲかと思い
恐る恐る振り向くと
そこには高校時代の恩師がいた
なんやなんやで飲みに行く約束をした
楽しみだなあ
先生とワイは高校時代から仲が良く
休みの日に遊ぶくらい仲が良かった
先生と色々話した
現在の事 過去の事
家庭の事 未来の事
そして将来の夢の事を
ワイが嬉々として将来を話していると
先生は黙って聞いてくれていた
ワイが一通り話終えると
先生が口を開く
将来の夢を楽しそうに話せるのは凄く良いと思う
でももうその時代は終わっているんだ
年齢を考えよう
夢ばかり見ているから大人になれないんだ
夢ばかり見ていると大人になれないんだよ
君はもっと現実を見るべきだよ
今何をすべきなのか
考えたことあるかい?
9(投)夢を見てると大人になれないよ
ワイは黙った
何も言えなかった
家族に甘えてるだけなんだよなあ
今のワイは
そろそろ就職するか
ワイは真面目に就活した
そして前職と同じ業種に就く事が出来た
今でも先生には感謝している
言われたときには傷付いたけど
誰かが言わなければ
ワイは変わらなかった
本当は自分で変わるべきだったんだけど
現在はきちんと家に金を入れている
今まで迷惑掛けた分
毎月給料の半分は家に入れている
今から親孝行するのは大変だろうけど
頑張ってみようか
ゼロからではなく
マイナスからのスタートだ
ワイの第三の人生が始まる
がんばれイッチ
あと歯は磨け