軽音部で出会った理想を具現化したような女子との激辛な物語をご覧ください・・・

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55:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:48:40.34ID:9GPM1Qwh.net
暑くてちっとも集中できずにレッスンは終了、彼女は1ミリたりとも上手くはならなかった

アンプは持ち出せなかったのでCDラジカセを持ち出してクーラーの効く教室で練習の課題曲を選ぶことにしたんだ
今思えば放課後に自由にクーラーをつけられるっていい学校だよね。

56:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:49:24.61ID:9GPM1Qwh.net
持ち合わせのCDはそんな日に限って2枚
ヘンドリックス大明神のアルバム1枚とちょっとマイナーだけど日本のHATE HONEYってバンドのミニアルバムが1枚

なんでもっとポップなの持ってねぇんだと呪ったが結果的にはこれが最大の幸運だったことはあとから知ることになる。

僕は流石にいきなりジミ・ヘンドリックスはないだろうとヘイトハニーの方にしたんだ

そのアルバムの確か2曲目だったかな
タイトルは”Can’t Take My Eyes Off You”
フランキーヴァリの名バラードのカバーだったんだ

57:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:49:49.88ID:9GPM1Qwh.net
ちなみに今探してみたらYouTubeに音源があった

君の瞳に恋してるという邦題のほうが有名だろうか
曲を聴けばもっと若い子達も絶対に知っているはずだ

58:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:53:15.60ID:hknbqOlD.net
いいよいいよー

59:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:55:13.41ID:9GPM1Qwh.net
>>58
いいの?
やったね!!

60:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:55:42.85ID:9GPM1Qwh.net
そんでこの曲
リスニングが0点の奴が聞き取っても分かるくらいにどストレートなラブソングなのだ。

サビを引用すると
I need you baby
And if it’s quite all right
I need you baby
And if its quite alright
I need you baby
To warm the lonely nights
I love you baby
Trust in me when I say its okay
Oh pretty baby
Don’t bring me down I pray
Oh pretty baby
Now that I’ve found you stay
And let me love you, baby
Let me…

こんな感じだ

61:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 10:56:31.41ID:9GPM1Qwh.net
僕はこの超豪速球ストレートなラブソングを放課後の教室で大音量でブチ流した挙句、事もあろうにアンプに刺さってもいないストラトキャスターを掻き鳴らしてテンションアゲアゲで歌ってしまったのだ。
アイニーヂューだのアイラービューだの

他意はなく、ただ知ってるだろうと曲を選んだだけだから、勿論歌詞の内容も深くは考えていなかったし、その後一週間
その客観的状況が如何なるものだったのかを反省する余裕は僕にはなく、ただただ少し距離が近づいたといい気になっていたのだ。

64:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:18:23.06ID:9GPM1Qwh.net
この日は連絡先も交換ができた

もうすぐ夏休み入るしもしギターでわかんないことがあったらって感じてすごく自然に、どちらからという訳でもなくね。

帰る方向が別々だったのは残念だったけど、僕にとってこの日はダブル役満レベルの幸運に感じられた。

その一週間後だった。

65:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:19:20.16ID:9GPM1Qwh.net
女バンド側のドラム
僕の中学の頃の友達だったマンドリルからメールがあった。こいつはわりと中学から仲が良い。

「あんたウィノナちゃんに変な事しなかったでしょうね?」
そんな内容だった。

勿論、してないの一点張り。同じ部活動に励むもの、練習を一緒にするのは“変なことではない”はずだ。

尚もマンドは食い下がる
マンド「嘘つきー」
僕「ホントだよ。ギターを教えただけ」
マンド「それだけー?」
僕「あとはメアド交換したくらいかな?」

そんなやり取りだった。

68:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:42:03.33ID:9GPM1Qwh.net
あとで思い返せば、マンドリラーはこの一週間でウィノナちゃんと話をしたのだろうし、ある程度のことは把握していたようだ。
とんだおとぼけマンドリルである。

ちなみにウィノナちゃんとはこの一週間、レッスンのお礼をほんの数通交わしただけであった。

69:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:42:58.58ID:9GPM1Qwh.net
時計を見ると15時まで20分を切っていた。
マンドリルは一体どれだけパフェが食べたかったのかと呆れながら全力で自転車を漕ぎ数分遅れで件の喫茶店に到着すると既に其処には注文を済ませたご機嫌マンドリルが座っていた。

汗だくでアイスコーヒーを着席と同時に注文し、早速マンドリルに詰問した。

お前何か聞いたのか?

70:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:43:43.53ID:9GPM1Qwh.net
どうせミックスジュースも注文していいなら答えるよ?くらいの回答だろうと思っていたんだけど、マンドリルは以外にあっさりと口を開いた。

「ウィノナちゃんからメールがあったんだよ」

僕は内心、何か彼女に悪いことをしたんだろうとネガティブな気持ちでいっぱいだった。

その刹那、パフェに先駆けてミックスジュースとアイスコーヒーが席に運ばれてきた。
なるほど、既に注文後だったのか、僕はさらにネガティブになった。

71:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:46:17.38ID:9GPM1Qwh.net
マンドリル曰くのメールのやり取りはこんな感じだったらしい。

ウィノ「イチ君ってどんな人?マンドちゃん同じ中学だったでしょ?」
マンド「そうだよ。少なくとも悪い奴じゃないのは確か。でもなんで?」
ウィノ「こないだギターを教えてもらったんだよ。面白い人だと思ってさ」
マンド「好きなの!?あいつにはウィノナちゃんは勿体無いよ笑」

僕は当然のようにその内容を説明するブスを目の前に憮然としながらも悪い奴じゃないとは思ってくれていることに安堵もしていた。

72:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:47:04.01ID:9GPM1Qwh.net
僕はホントに変なことをしたつもりがなかったから当日の様子をそのままマンドリルに話した

練習しようとしたけど暑くてほとんどやらずに断念したこと
端的に言えば教室で普通の会話をしたこと
練習曲を選ぼうとしたことと

マンドリルは割りと真顔でより実際のマンドリルに近い面持ちで僕の話を聞いていた。


73:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:47:51.75ID:9GPM1Qwh.net
マンドリル「割りと普通ね」
僕「だからホントに何もしてない。あと練習曲をラジカセで流してさ、途中からテンションが上がってきて、
その練習曲をノリノリで歌ってしまって後で恥ずかしくなったくらいかな。
曲は”Can’t Take My Eyes Off You”のロックカバーだよ。あれ結構かっこいいんだよ。」

その時マンドリルは、ハッと何かに気が付いた顔をした。ガッテンマンドリルである。

マンド「あんたそんな恥ずかしいこと、よくやったわね。」

74:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:48:13.88ID:9GPM1Qwh.net
意味がわからないという顔の僕を見て

マンド「私だったらあんなラブソング、誰か来るかもしれない教室で熱唱されたら恥ずかしくて顔から火がでる」

僕はお前の顔は火じゃなくてヒヒだと言いそうになったが、それを口に出す余裕もないくらい愕然としていた。

僕「やってしまった…」
マンド「…客観的に見たら多分ダサい」
僕「しかもイスに足かけたりまでしてた」
マンド「致命的ね…」

マンドリルはパフェをぱくつきながら
「下手したら告白したとでも思われてんじゃない?」

僕は机に突っ伏して返事もできなかった。

77:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:54:49.51ID:9GPM1Qwh.net
暫くの沈黙の後マンドリルが訊いて来たんだ

「そんなことより、大事なこと聞くの忘れてたわ。あんたウィノナちゃんのこと好きなの?」

僕は殆ど顔も上げずに小さく頷いた。まともな精神状態じゃなくもはや取り繕うことなど忘れていたんだろう。

マンド「なーんだ。だったらいいじゃん。告白が遅いか早いかだけの違いだよ」

パフェを食べ終えて満足したのかマンドリルは急に驚く程優しくなった。

78:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 11:55:20.92ID:9GPM1Qwh.net
僕「いや、やり方が…」
マンド「君の瞳に恋してる!!…( ´,_ゝ`)プッ」

プッでソフトクリームの飛沫が口から飛び出したのを僕は見落とさなかったがマンドリルは気付いてなかった。

マンドリル「まぁまだわかんないよ。飽くまでその可能性があるだけなんだし。可哀想だから私がご馳走してあげるよ!!」

まぁ僕はアイスコーヒーだけでお代金の殆どは君のパフェなんだけどと思いつつ素直に厚意を受け取ることにした。
割りとイケメンマンドリルである。

79:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 12:19:53.39ID:+q/ZPCQm.net
ウィノナライダーか
良い趣味だけど今何やってんのかな

80:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 12:29:09.45ID:9GPM1Qwh.net
>>79
昔は天使だったよね
分かってくれる人がいて嬉しい

あと今も女優してるよ
結構前に万引きで捕まったけどね
その後ちゃんと復帰して
僕がちゃんと見たのはブラックスワンが最後だからだいぶ前になるけどね
まだやってるんじゃないかな

81:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 12:30:25.64ID:9GPM1Qwh.net
それからと言うもの
勉強もバンド練習も何もかも気が入らない。

ウィノナちゃんはどう思っているのか、気になって仕方がなかった。

マンドリルには頻繁にメールで相談していた。
情報としては、ウィノナちゃんに彼氏はまだいないこと、綺麗な子だからライバルが多いだろうってこと、一生懸命練習してるのか最近彼女のギターの腕前が上がってきていること、特にバンド練習などで僕の名前が出たことはないこと

この程度だった。

82:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 12:48:47.71ID:9GPM1Qwh.net
学校がある期間中ですらクラスの違うウィノナちゃんとは練習部屋ですれ違う程度だったが夏休みともなればまず会うチャンスはない。

悶々と日に日に気持ちが押し潰されていく感覚に耐えかね、遂に僕はウィノナちゃんにメールを送ることにした。

83:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 12:49:11.17ID:9GPM1Qwh.net
メールの文面はこんな感じだったと思う。

“8月になったね。ギターの練習は捗ってる?
僕は蝉が嫌いだから全然やる気出ないよ。昔、カマキリに下半身だけ食べられた蝉が最後の力を振り絞って飛んで、僕の胸に止まって死んだんだ。まるでブローチか何かのように。それでセミが嫌いなんだよね。あと、こないだの選曲はあれは変な意味があったわけじゃないよ”

もはや言わなくてもいいことだけで構成された文面だった。

84:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/01(土) 13:01:13.90ID:9GPM1Qwh.net
暫く返信はなかった。
今思えば、それが当然に思えるよね。当時の僕は、誤解(誤解じゃないけど)を解きたくてその気がない風体を装いたかったんだ。
小学生の頃、皆も意中の子を敢えていじめたりしたんじゃないかな。ああいう感情と似たようなもんだ。

でも読み返せば読み返すほど素直に好きと言ってしまえばよかったと激しい後悔で胸が張り裂けそうだった。