パン屋店主「お客さんのトングのカチカチは……哀しみの音がするね」

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37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:21:36.883ID:wS3nw31O0.net
手術当日――

―病院―

医者「麻酔完了……術式を始める」

医者「……メス」

助手「はい」スッ…

医者「頭部を切開する、フォローしろ」

助手「はい」

医者(頭部切開……メロンパン、じゃなくて脳みそが露出した)

医者(腫瘍発見……)

カチャカチャ… カチャカチャ…

医者(おお……いける、いけるぞ! いい具合に緊張がほぐれている!)

39:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:24:35.042ID:wS3nw31O0.net
医者(手術開始からそろそろ8時間……さすがに疲れてきた……!)

医者(なにか補給をしたいが、今ここで手を止めるわけには……)

医者(そ、そうだ!)

医者「メロンパンだ!」

助手「え?」

医者「あっちに置いてある私のメロンパンを取ってくれぇ!」

助手「は、はいっ!」サッ

モグモグ…

医者「うまい!!!」シャキーン

医者(糖分を摂取して、体力回復!)

医者(この手術……もらった!)

40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:26:20.207ID:aI96Djt1r.net
流石メロンパンだぜ!

41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:28:30.027ID:wS3nw31O0.net
―パン屋―

医者「……ありがとう! おかげで大成功だよ!」

医者「これも店主さんのメロンパンのおかげだよ!」

店主「いえいえ、全てはあなたのメスと技術のたまものでしょう」

医者「いやいや、もしここでメロンパンを買っていなければ、あの患者は助からなかっただろう」

看板娘(まさか、本当にメロンパンで手術を成功させちゃうなんて……)


42:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:31:26.043ID:wS3nw31O0.net
看板娘「店長、よかったですね!」

店主「ああ」

看板娘「ところで、メロンパンで手術の練習をしたお医者さんなんて本当にいたんですか?」

店主「いたよ」

看板娘「変わった人ですねえ……ところで、今はどこにいらっしゃるんです?」

店主「ついさっき……この店を出てったところだな」

看板娘「……へ」

おわり

43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:32:06.639ID:aI96Djt1r.net

44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:32:56.295ID:NUWoMHvW0.net
良い

45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:35:34.360ID:wS3nw31O0.net
≪絶望のカチカチ≫

―パン屋―

眼鏡女「…………」カチ…カチ…

看板娘「あのメガネをかけた女性……なんだかすごく落ち込んでますね」

店主「ああ……あのお客さんのカチカチからは絶望の音がする」

看板娘「顔を見れば分かりますって」

46:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:36:24.205ID:HUalzL9Q0.net
おもろいやんけ!

47:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:39:32.040ID:wS3nw31O0.net
看板娘「あのー……」

眼鏡女「はい?」カチ…カチ…

看板娘「うちの店長って、パン屋なのに人の悩みを解決するのが結構得意技だったりするんです」

看板娘「よかったら、なぜそんな暗い顔をしてるのか、話してくれませんか?」

眼鏡女「…………」カチ…

店主「そこまで暗いカチカチを聞くことなんて、そうそうないんでね」

眼鏡女「そうですね……お話しさせていただきます」

眼鏡女「私の彼氏、ギャンブラーなんです」

店主「ギャンブラー……賭けごとが好きなのか」

看板娘(おおっ、ちょっと意外……)

49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:41:05.596ID:AfVSO1U60.net
面白い

51:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:42:43.028ID:wS3nw31O0.net
眼鏡女「賭けごとにはめっぽう強くて、今までほとんど負けたことがないそうです」

店主「そりゃ大したもんだな」

眼鏡女「だけどだんだんギャンブルにのめり込みすぎるようになって……」

眼鏡女「最近じゃ、とうとう命を賭けるギャンブルをやりたいなんて言い出して……!」

看板娘「い、命!?」

眼鏡女「私、彼を止めたいんです!」

看板娘「そりゃそうですよ! 止めないと! 命は一つしかないんですから!」

眼鏡女「だけどいくらいっても聞いてくれなくて……!」グスッ…

店主「今度、その彼氏を連れてくるといい」

眼鏡女「え!?」

店主「俺がその彼氏を……止めてみせよう」

54:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:47:03.891ID:wS3nw31O0.net
数日後――

―パン屋―

眼鏡女「ここのパン屋さん、とてもおいしいのよ。それで、店主さんがあなたと話したいって……」

ギャンブラー「へえ、いいパン屋だね」カチカチ

看板娘(見た目は普通の人に見えるけど……)

店主(なかなかいいカチカチをする……こいつは強敵だな)

看板娘「ところで店長、なんでそんなもの持ってるんですか? 冷え性でしたっけ?」

店主「仕込みってやつだ」ゴソ…

55:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:47:40.728ID:8lFqveOT0.net
本にして出版したら買う

56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:50:24.873ID:wS3nw31O0.net
ギャンブラー「オレに用があるってのは、あんたかい?」

店主「そうだ」

ギャンブラー「なんの用かな?」

店主「そっちのお客さんから、君がギャンブルにのめり込みすぎてるって聞いてな」

店主「悪いことはいわん。取り返しのつかないことになる前に、危険なギャンブルから足を洗え」

店主「命をチップにするなんてバカなことはやめろ」

ギャンブラー「……嫌だね。オレは一度、命を賭けるスリルを味わってみたいんだ」

店主「だったらこういうのはどうだ?」

店主「俺とギャンブルをして……もしお前さんが負けたら、危険なギャンブルから足を洗うってのは」

ギャンブラー「あんたが負けたら?」

店主「特に思いつかないから、なんでもいうこと聞いてやる」

ギャンブラー「いいねえ!」

ギャンブラー「ククク……オレ、こういう展開大好きだぜ」

看板娘(笑ってる……本当にギャンブルが好きなんだなぁ……)

看板娘(店長……こんな人に本当に勝てるの……!?)