17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 21:50:38.446ID:wS3nw31O0.net
―川―
ザァァァ…
女「あの人にフラれてしまった……あんなに愛してたのに……」
女「もう……川に飛び込んで死ぬしかないわ……」
女「だけど、あの店主さんが私にオススメしたいといってくれたパン……」ガサゴソ…
女「きっととってもおいしいに違いないわ……」
女「ふふ……最後の晩餐ってやつね」モグッ
女「ヴォエッ!!?」
20:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 21:53:34.235ID:wS3nw31O0.net
―パン屋―
看板娘「店長、さっきはどうしてあたしが作ったパンを渡したんですか?」
店主「多分、もうすぐ分かる」
バァンッ!
看板娘「ひっ!?」
女「ちょっとぉ! なんなのよ、このパンは!?」
女「よくもこんなパンを食わせようとしてくれたわねえ!? 絶対許さないんだから!」
店主「お客さん」
女「なによ!?」
店主「もう……死にたくなくなったろう?」
女「――――!」ハッ
21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 21:56:56.975ID:wS3nw31O0.net
女「あっ……。あなた、私が死にたいと思ってるのを見抜いてて、わざと……」
店主「そう……だからあえてあのパンを渡したんだ」
店主「あのパンが最後の食事じゃ、死んでも死にきれないはずだからな」
女「ありがとう……」ポロッ…
看板娘「ハンカチをどうぞ」スッ
女「あ、すみません」
女「あら……? このパン、涙が混ざると結構いい味かも……」モグッ
店主(そうか……あのパンに足りなかったのは塩だったのか……)
22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 21:59:45.910ID:wS3nw31O0.net
看板娘「店長」カチカチ
店主「どうした?」
看板娘「あの人が助かったのはめでたいです。めでたしめでたしです」カチカチ
看板娘「でも……」カチカチ
看板娘「あたしのパンが最後に食べる物じゃ“死んでも死にきれない”呼ばわりはないでしょう!?」カチカチ
店主(このカチカチからは……怒りの音がする!)
店主(あのお客さんは助かったが、今度は自分の身を心配しないと……!)
おわり
23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:01:36.046ID:ZJuOx7A9a.net
秀作
面白かった
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:01:47.775ID:NUWoMHvW0.net
よかった
25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:03:30.425ID:wS3nw31O0.net
≪緊張のカチカチ≫
―パン屋―
医者「ふうむ……どのパンにしようか」カチカチ
店主「…………」
店主「お客さん、ずいぶん緊張してらっしゃいますね」
医者「え、なぜ分かるんだね?」
店主「俺はお客さんのトングカチカチから、精神状態を読み取ることができるんです」
看板娘(店長……またやってるよ、もう……)
28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:06:47.228ID:wS3nw31O0.net
店主「なにかお悩みがあるんじゃないですか?」
医者「こんなことをパン屋さんに話すのも、妙な話だが」
医者「明後日、難しい脳の手術を控えていてね……」
医者「私も初めてやるタイプの手術なので……緊張が抑えられんのだよ」
店主「なるほど、脳の手術ですか……。少しのミスが命取りになってしまいますね」
店主「でしたら、お客さんにオススメしたいパンがあります」
医者「ほう?」
看板娘(なんだろう? 緊張をほぐせるパンなんてあったっけ?)
31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:09:20.776ID:lFolvMXS0.net
好き
32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:10:01.908ID:wS3nw31O0.net
店主「メロンパンです。甘くておいしいですよ」
医者「へ……? なぜメロンパンなのだね?」
店主「メロンパンって、どことなく脳みそと似てるでしょう?」
看板娘(え、そんな理由……?)
医者「…………!」
医者「ふざけるなッ! こっちは真剣に打ち明けたのに、バカげたことを……!」
店主「まあまあ、話は最後までお聞きください」
33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:14:20.518ID:wS3nw31O0.net
店主「かつて、こんなお医者さんがいたんですよ」
店主「そのお医者さんも、お客さんのように難しい脳外科手術を控えてました」
医者「ほぉ……」
店主「緊張をほぐすために、手術前にイメージトレーニングをしたい……」
店主「しかし、普通の脳の模型ではリアルすぎて、かえって緊張が増してしまう」
店主「そこで、そのお医者さんはメロンパンで手術のシミュレーションをしたんです」
看板娘「えええええ!?」
医者「それで……どうなったんだね!?」
店主「そのお医者さんはみごと、手術を成功させたようです」
医者「ふーむ……」
医者「分かった、メロンパンをいただこうか」
店主「ありがとうございます」
36:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 22:18:02.487ID:wS3nw31O0.net
―医者の自宅―
医者「メロンパンで脳手術のシミュレーションか……なんともバカバカしいが……」
医者「今の私の状態では、成功率は10%未満だろう……ワラにもすがる気持ちでやってみるか!」
医者「……術式を始める」
医者(ええと、これが前頭葉で、こっちが側頭葉……)
医者(患者の腫瘍があるのはここらへん……これをメスで……)スッスッ…
…………
……