妻はただそっと、僕の首に腕を回していた。
そんな彼女を、気づいたら強くグッと抱きしめていた。
そうまるで、結婚したあの日の僕のように・・・
彼女の、それはそれは軽くなった体を腕のなかに感じながら
僕は例えようのない悲しみを覚えていた。
そして最後の朝、
妻を抱き上げたとき
僕は、一歩たりとも歩みを進めることができなかった。
その日息子はすでに学校へ行ってしまっていた。
僕は妻をしっかりと腕に抱き、そして言った。
「今まで気づかなかったよ。僕たちの結婚生活に、こうしてお互いのぬくもりを感じる時間がどれほど欠けていたか・・・」
そして僕はいつもどおり仕事へ向かった。
続きは次のページにてご覧ください。
コメントを残す