その瞬間に先輩が祈祷用の房の長い数珠で俺の手を結んだ
「触り」の最終型だわな
俺の目が釣り上がるのが分かった
しばらく暴れた俺はどうやら気を失った
気づいた時には先輩の寺の本堂で横になっていた
身体が軽くなっててな驚くぐらいに
今なら親の墓に行ける気がした
お礼も言わず車吹っ飛ばして墓に向かったんだわ
墓前に立つと父ちゃん母ちゃん弟が墓の前で出迎えていた
なぜだか号泣していた
父ちゃんがこう言った
「隠しててごめん、弟ばかり愛してごめん、お前だけ生きる事に腹がたって殺そうとしてごめん」
母ちゃんが続けてこう言った
「私もごめんなさい、なぜだか分からないくらいあなたが憎い、ごめんなさい」
自分はこんな人間の為に坊主になり毎日毎日供養して荒行へ行き精進してきたのかと思うとアホらしくなったなあ
すごいな
何故だか、信用できる・・・
この頃には霊が見えるなんて事は俺の日常だったなあ
そんでだ、最期に血も繋がってない両親にお経読んだんだわ
先輩が俺のお経でも通じる状態にしてくれたからだな
スゥーっと両親と弟が上がって行くのが見えたんだがな、途中で見えなくなっちまった
その日からだな何も見えない何も聞こえないお前さんたち一般人と同じ人間に戻ったのは
もちろん俺が特別だなんて思わねえな
考え方によっちゃあ両親が俺を苦しめる為に見える状態にしたのかもしれんなあ
そうだな質問に答えよう
先にも出てたが、両親が俺を殺めようとした理由は先輩の祈祷中に分かったんだわ
大したことじゃねえな
「邪魔」これに尽きるんだとよ
要するに生前から俺は大好きな父ちゃん母ちゃんにとっては邪魔だったんだ
本当の両親の前で土下座させたいのお
人様の子に向かって邪魔とはなんだとなあ
まぁ一つ言えるのは俺は血のつながりが無い両親に育てられた、これに関しては感謝してもしきれないな
お前さんたちと違って残りわすがの命ながらもそう思うぞ
真実の・・・って質問してくれた兄ちゃん
間違ってなんかねえぞ、俺たち坊主はな会ったこともないお釈迦様目指して命掛けて修行してんだ
結果的にそれが一般人の救済に繋がりゃそれでいいわけだ
真実求める以上は今まで同じ道を先に行った人間達を越えなきゃならねえな?
それもまた修行だな面白いもんだ
>>78
ありがとう
なんだか救われたわ・・・
俺も真実の追求に命を掛けてみる
いつも思うんだが、これから先迷うことはないって思っても、迷うもんだよなぁ
お前達は可能性の塊だ!なんて言葉をどこぞの企業のお偉いさんが良く言ってるがな、あんなチンケなもんに振り回されるなよ
あいつらが見てるのは上っ面の可能性だなあ
もっともっと人間の可能性を追い求めて欲しいなジジイはよ
色んなもんで恵まれたこの時代だからこそ全て捨てて感覚で勝負してみようじゃあねえか
お前達は可能性の塊だ
頑張って生きろ
83の兄ちゃん
逆に考えろ、お前さんのように察しの悪いのはある意味じゃ可能性の塊だな
お前さんにとっちゃ全てが可能性だ
ジジイが言いたいのは自分でわかってるモノだけが自分じゃないって事だ
便利さだったりな色んなもんが自分の力の妨げになってる場合があるんだよ
それが分かった時に信じられないような事が起こせるようになるかもな