高校の行事の勉強合宿で夏の山奥へ➡︎そこで忘れられない出来事が・・・

【PR】Akogare


214:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:24:23.06ID:Tegzasq4.net
部屋に戻ると、武智と元気は漫画を読み、吉谷はベースをいじっていた。

吉谷「で、あの子は一体なんだったんだ」
俺「ああ、それを話そうと思ってさ」
俺は腰を降ろし、3人を集めた。

武智「でも、かなり楽しかったよな」
元気「それはいいけど、俺が一番意味不明なんだよw」

俺は笑って、3人にもう一度ヒロコとのこれまでの出来事を話した。

215:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:25:04.25ID:7CCyvkHX.net
ヒロコが健気で素敵だな

216:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:26:22.10ID:Tegzasq4.net
吉谷「お前、すげえもん拾ってきたなwww」
話し終えると、珍しく吉谷が大笑いして言うもんだから、意外だった。

俺「別に、拾ったわけじゃないけどな」

吉谷「ギター、あんまり上手くはなかったけど、一生懸命な気持ちはすごかったな」
吉谷「好きで仕方ないんだって気持ちが伝わってきたよ」
吉谷は笑顔混じりで話し続ける。

ヒロコの熱い想いみたいなものが、伝わったんだろうか。

217:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:27:05.88ID:Tegzasq4.net
武智「まあでも、中学生の女子じゃ学校でバンドは組めんよな~」
吉谷「そうだよな、それなら一緒に弾いてあげれて良かったと思うわ」

いきなりあんな女の子を連れてきたら、みんなもっと混乱するかと思ったけど、
ヒロコのことを認めてもらえて良かった、と思った。
俺のやったことが間違いじゃなかったし、コイツらをまたちょっと好きになった。

元気「でもさ、1はこれからどうすんだ?」
元気の質問の意味が、俺にはよく分からなかった。

218:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:27:46.80ID:Tegzasq4.net
俺「どうするって何がだ?」
元気「だってさ、聞いた話だとヒロコちゃんはその神社でまた待ってるんだろ?」
元気「お前、また行くの?」

そう言われて、すぐに言葉が出なかった。
あれ? 俺はどうしたいんだろう?

武智「そんなもん、別にまた行きゃいいじゃん」
武智「東京帰るまで時間もないし、暇な時に行ってちょっと話せばいいだろ」

219:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:28:47.34ID:Tegzasq4.net
武智の言葉に、吉谷が反論した。
吉谷「そうかな? どうせすぐに俺らはいなくなっちゃうんだぜ」
吉谷「あんまり仲良くなりすぎたら、向こうも1も辛いだろ」

武智は、「そんなことないと思うけどねぇ」と納得していない様子だった。

元気「それもあるけどさ」
元気「また、そのヤンキー連中に絡まれたりしない?」
元気「だって今日も危なかったんだろ?」

220:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:29:23.66ID:Tegzasq4.net
武智「それはヒロコちゃんの友達なんだろ?」
武智「事情を話したらどうってことないだろうよ」

吉谷がそれに笑って応戦する。
吉谷「それはないだろ。友達なら逃げたりしないと思うぜ?w」
吉谷「もしかしたら、複雑な事情を抱えてるかもしれん」

元気「俺もそんな感じはするね。あ、ヒロコちゃんは別に悪い子だとは思わないけどさ」

221:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:30:09.24ID:Tegzasq4.net
3人の討論を聞きながら、俺は考え込んだ。
これ以上ヒロコのことに顔を突っ込んだら、まずいだろうか?
でも、今日演奏した時に見せたヒロコのあの夏空のような笑顔。

あの笑顔を俺は忘れられずにいた。

吉谷「まあ、俺らがこんなに言っても仕方ないし」
吉谷「どうしたいかは、1が決めればいいんだけどな」
そう言って3人は、俺の方を見た。

俺がしたいように。

222:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 00:30:44.25ID:Tegzasq4.net
俺「俺、また行くわ。じゃないとなんかモヤモヤするっていうか」
俺「自分でも分かんないけど、そうしたい」

3人は笑って、「だと思ったww」と口を揃えて言った。

そして、「何かあったらすぐ報告してくれよな」と言ってくれた。
何か分からないけど、嬉しくて胸がじーんと熱くなった。
この3人が友達で良かったと、心の底から思った。

227:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/19(月) 11:26:43.41ID:5/5yQDc9.net
甘酸っぱい話で良い

237:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:46:02.59ID:Tegzasq4.net
翌日の3日目は、一日中課題確認テストだった。
ヒロコのことが気にかかるも、一日中勉強小屋から抜け出すことができなかった。
でも、昼間は雨模様の天気だったし、神社には明日行けばいいな、と思った。

テストの休憩時間、渚に少し話しかけられた。

渚「1君、もう知ってるかもしれないけど、今夜肝試しするの」
渚「参加するよね?」
俺「あ、行く行く!!」

即答だった。
昨日の武智の予告通り、今日は肝試しが行われるらしい。

238:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:46:31.33ID:Tegzasq4.net
ヒロコのことが気にかかっていたけど、
やっぱり俺は渚のことが好きだったと思う。
話したらドキドキするし、やっぱり目で追ってしまう。

だから、渚から肝試しに誘われたのは、本当に嬉しかった。

俺は舞い上がったし、チャンスがあれば渚と組んで肝試しに行きたいと思った。

239:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:47:03.07ID:Tegzasq4.net
夜、最後の勉強時間が終わって就寝までの自由時間、
ぞろぞろと宿舎の裏側に人が集合していた。
クラスの半分くらいだろうか?

昼間の雨のせいもあってか、空気はじっとりと湿っていた。
熱帯夜とは呼べない、涼しげな夜だった。
肝試しをするには、うってつけだと思った。

240:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:48:04.88ID:Tegzasq4.net
担任は、テスト監督として訪れたOBと部屋で酒盛りをしているとのことで、
監視の目はかなり緩んでいた。
(というより、この肝試しは半公認だったのかもしれない)

やっぱり、肝試しをするとなると浮つくし、
集合している人はみんなソワソワして落ち着かない様子だったw

中心グループの女子が、「もう班は分けてあるからー」と声をあげた。
そして、手際よく班ごとに人を捌いていく。

241:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:48:46.73ID:PEoXBCrZ.net
おー!!
肝試しキターー!


242:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:49:35.67ID:Tegzasq4.net
俺の班は、俺と武智と委員長だった。
委員長は、眼鏡をかけた女の子で、
真面目だけれどノリはよく、周りからは好かれていた。

元気は女子ばかりの班に男子一人になり、
吉谷は渚と一緒になったようだった。

班分けに若干恣意的なものを感じた俺は、少し拗ねていた。

243:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:50:07.43ID:Tegzasq4.net
俺「なあ、渚が吉谷と一緒になってるんだけど」
武智「たまたまじゃねえの?」

そう、俺の好きな人である渚は、
「吉谷のことが好きだ」という噂があり、それは結構有名だったのだ。

そして、クラスの女子がいらぬ気を利かせてこの班分けにしたんじゃないかと、
俺は邪推してむくれていた。

244:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:51:32.08ID:Tegzasq4.net
この噂は、ある程度俺にダメージを与えていて、
渚の好きな人が吉谷、と知ってから吉谷と思い切り仲良くできなかった。

もちろん吉谷が悪いわけではないし、
吉谷も、俺の好きな人が渚であることは知っていた。

だから、誰も憎むことはできないし、仕方のないことだった。
人の気持ちなんてどうしようもないし、難しいものだ。
だからこそ俺は渚に対して大きく踏み出せずにいた。

245:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:52:04.21ID:Tegzasq4.net
そんな事をぼやいているうちに肝試しは始まった。
先行隊がどんどん出発し、俺たちの班の番となった。

宿の敷地から伸びる農道を進んだ先に廃商店があり、
そこに「アイテム」があるので、拾ってくればいいというものだった。

農道は舗装されているもののガタガタで、雑草が生え放題だった。
その粗野な感じが、また不気味さを一段と強くする。

246:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:52:48.22ID:Tegzasq4.net
道の左側は山の斜面で、右側は林になっており、その先には川があった。
俺たちが自転車を落としてしまったり、遊び場にしている川だが、
夜になるとやっぱり雰囲気が変わり、薄気味悪い。

後続の方から、女子の「きゃー!!」という悲鳴が聞こえてくる。
武智「やってるやってるww」
武智はとても楽しそうに、ニヤつきながら進んでいった。

247:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:53:54.95ID:Tegzasq4.net
街灯の灯りはほぼなく、各々持たされた小さな懐中電灯だけが頼りだった。
灯りが少ないというのも、恐怖心を煽る原因だった。

委員長「ちょっと、速いよ……もうちょっとゆっくり行こ」
俺と武智の後ろを歩く委員長が、恐怖に顔を歪め、話してきた。

武智「なんだ委員長怖いのかww」
委員長「そりゃ怖いよ。なんか武智信用できないし」
それを聞いて俺は吹き出してしまった。

248:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:55:05.63ID:Tegzasq4.net
武智「なに言ってんだw 何か出たら俺がタックルして吹っ飛ばすよw」
委員長「タックルが通用する相手ならいいけど」

武智「幽霊か! そんなもんいねえよww」
委員長「え? さっきから武智の後ろにずっとなんかいるよ?」
武智「えええ! マジ!?」
この二人、面白すぎる。

二人のやり取りを聞いていると、恐怖心も和らいできたw

250:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/19(月) 23:59:39.91ID:U7wa+cfY.net
夫婦漫才かよwwww
かわいいなw

251:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:01:53.40ID:sYV6Bbni.net
委員長「ちょっと、1だけが頼りなんだからね」
それでも委員長は怖いのか、俺の後ろを恐る恐る歩いていた。

武智「そんなにこええならさ、歌でも歌おうぜ」
委員長「やめようよ、変なの寄ってきちゃうよ」
武智「そんなわけあるかwww」

そして、武智は委員長の制止を振り切って思い切り歌い始めた。

252:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:02:48.58ID:sYV6Bbni.net
武智「夢で逢えたらいいな~! 君の笑顔にときめいて~!」

俺「なんで銀杏ボーイズなんだよwwww」
武智の思わぬ選曲に俺と委員長は大笑いしてしまった。

結局やけにハイになってしまって、嫌がっていた委員長もろとも、
三人で銀杏BOYZの「夢で逢えたら」を熱唱しながら進んだw

肝試しのテンションは、本当に恐ろしい。

253:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:03:52.56ID:sYV6Bbni.net
しばらく進んでいると、ミッションを終えてUターンしてくる班ともすれ違い、
目的地である廃商店が見えてきた。

ハイになっていた俺は「アイテム取ってくるぜ!」と言って、
一人で駆け出してその廃屋の近くに寄っていった。

建物の表側にそれらしきものが見当たらなかったので、
裏へ回ってみると思いもよらぬものが目に入った。

255:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:06:18.02ID:sYV6Bbni.net
懐中電灯の微かな灯りの先に、吉谷と渚が抱き合ってキスをしていた。

俺「あ……」
俺は、思わず声を出してしまった。

すぐ引き返せばいいものを、固まってしまって動けない。

吉谷「1? 1か?」
吉谷に気づかれて、俺は一目散にその場から離れた。

256:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:07:36.63ID:sYV6Bbni.net
表側で武智と委員長が、「ここにあったよ~」と、
アクセサリーらしきものを手に取っていた。

俺「早く帰るぞ」
ぶしつけにそう言って、引き返そうとする。

武智「何かあったか?」
俺「いいから、早く来るんだよ!」
珍しく俺が声を荒げたので、武智も委員長も素直についてきた。

257:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:09:40.36ID:jR+Er/f2.net
これはきついね…
吉谷は隠してたのか?

258:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:16:16.85ID:sYV6Bbni.net
帰り道で、俺はがっくりうなだれていた。
うそだろ? そうだったのか? そんなアホな。
そんな考えがとりとめもなくグルグルと頭を回っていた。

武智「おい、お前変だぞ。何かあっただろ?」
委員長「そうだよ、1何かあったの?」

武智にだけ聞こえるように、「吉谷と渚が……」と話した。

259:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:16:56.08ID:sYV6Bbni.net
武智「えー!? うっそだろマジで!?」
武智は驚きを隠しきれないようだった。

揺るがない現実を突きつけられた俺は、
情けないことにポロポロと泣き出す始末だった。

委員長「泣くほど怖かったの?」
武智「馬鹿言えw」

260:1 ◆od.mCbJyhw @\(^o^)/: 2016/12/20(火) 00:17:36.40ID:sYV6Bbni.net
委員長「じゃあ、どうしたの? 普通に心配なんだけど……」
そう言われて、武智が俺の顔を見た。

武智「別に、委員長なら大丈夫だろ。言わないのも逆に悪いし」
俺はそれに、黙って頷いた。

武智「吉谷と渚が、あの商店の裏でキスしてたらしいんだ」
委員長「あ、そうなんだ」