926 :子供12:2012/07/10(火) 02:09:43.97 ID:COnTfSmE0
訳は分からないが兎に角出る理由が出来て少しホッとした。
で、向きを変えて階段を降りかけた瞬間“ダン”ってすーごい重い音が直ぐ真上からした。
もうそっちを見るとかとんでもなくて、速攻駆け降りて必死で家から出た。
あれはほんっとうにビビった。
正直に言うと半泣き。
何かを気にするとか全部吹っ飛んだ。
あの音を思い出すだけで今でも鳥肌がヤバイ。
心臓バックンバックン鳴ってて、大きく深呼吸しようとした弾みに咽て余計苦しくなった。
Tがフー、フーって荒い息しながら、ライトでしきりに家の中の様子を伺ってた。
喉が痛くてツバを吐きながらRとKを探すと門のところに居た。
2人ともお互いに抱きつくようにピッタリくっついててKは震えながら泣いてるし、Rも半泣きで酷い有り様だった。
お互い何があったかとか尋ねる余裕も無くて、殆ど駆け足で車に戻った。
戻る時は俺が最後尾だったんだが、やたら後ろが気になって気になってしょうがなかった。
気のせいなんだろうが、直ぐ真後ろに誰かがピッタリくっついて来てるような感覚があって恐かった。
歩いているうちに段々と無性に腹が立ってきて、何か現れたら思いっきりぶっ飛ばしてやるって気合を入れまくった。
でも絶対に後ろは振り向けなかった。
927 :子供13:2012/07/10(火) 02:10:50.96 ID:COnTfSmE0
車を駐めてある広場の近くまで来て何で違和感があったのかやっと解った。やかましい位の虫の鳴き声。
家の周りでは静か過ぎる位に何の音もしてなかった。
車の側に来た時、TとUが急に興奮し出して、マジ恐かったとかヤベェヤベェと騒ぎ出した。
俺はその時になってようやく後ろを振り返る余裕が出来た程度で、はしゃぐ元気なんてとてもじゃないが無くて黙ってた。
しかも、RとKはまだショックを受けた感じのままで、特にKが凄く落ち込んでたから、帰りにみんなでファミレスに寄って落ち着くことにした。
車で山を下ってる最中、何故か急に塩っぽいのが食いたくなって堪らず、明太子のパスタとアイスコーヒーを頼んで食った。
パスタを食ってる最中、右肘から少し血が出てるのをUから指摘された。
傷自体は少し切った程度だったが、全く痛くなく、どこで何時切ったのか全然気付かなかった。
据付のナプキンで軽く血を拭き取って、少しの間抑えてたら血はしっかり止まった。
パスタを食い終わる位に、店内に入ってすぐトイレに篭ってたRとKが出て来た。
Rはカフェオレ、Kはイチゴパフェ(朝っぱらからかよ)を注文したりして2人共少しづつ元気が出てきたみたいで、あの家でお互いに何があったのか話し合った。
何でも俺たち男連中が家に入って暫くして、Kがもの凄い視線を感じて2階を見上げると、窓際に人が立って居てそいつと目が合ったらしい。
小学生位の子供で絶対に生きてる人じゃなかったと涙目で訴えてんのが妙に恐かった。
日頃お化けとか信じないTが茶化さずに黙って真剣に話しを聞いてたのも印象に残ってる。
Rも窓に何かが居たのは見たと言った。
それで中の俺達が危ないと判断してTに直ぐ出てくるように電話したという事だった。
928 :子供14:2012/07/10(火) 02:12:50.52 ID:COnTfSmE0
1番2階部分に近かったTが言うには、デカイ音の正体は2階の部屋のドアが凄い勢いで開く音で、中から真っ黒い何かが廊下に出て来たのがチラッとだけ見えたらしい。
しかしはっきりとは見ていないし、勘違いだったかもと曖昧だった。
Tが珍しく真面目な感じで話してるのを見て(ああ、こいつも相当ビビってたんだ)とようやく気付いた。
Uはダイニングで女の人の声を聞いた様な気がしたが、気のせいだったかも知れないと教えてくれた。
納得いかないままのライターの犯人については、わざとか誰も話題にしなくて、俺もその時はどうでも良いって気分だった。
再生したビデオカメラには特に変なモノが映っている事も無く、ただし階段で聞いた重い“ダン”って音だけはバッチリ入ってて再び鳥肌が立った。
ビデオで改めて見ると、驚かせようとして狙ってやったんじゃないかって感じの音のタイミングとか、本当は家に住み着いた浮浪者とかの仕業だったんじゃないかと少しだけ考えたが、
何にしてもあんなトコに1人で住む奴なんか明らかにまともじゃない。
やはりあの家には何かしらヤバイのが居たのは間違いないと結論付けた。
すっかり明るくなってからUの家に一旦戻って解散し、俺の車でRとKを家まで送る時にRが教えてくれた話しで、やっぱり幽霊だったんじゃないかって少しだけ思い直した。
R「(病院跡に)行く時さコンビニ寄ったでしょ?」
俺「うん」
R「駐車場で話してる時、タクシーのオジサン2人いたの知ってる?」
俺「あー、居たね。なんか1人こっちガン見してたわそういや」
R「そそ、そのオジサン、私達の真ん中をずっと見てたんよ」
俺「真ん中って?」
R「うん。ちょうど胸より下、子供の高さくらい・・・」
俺「(マジかよ)気のせいとかじゃ?」
K「アレ私もあのオジサンの視線変だと思った。絶対におかしかった」
俺「・・・・・・」