ゲーム意外の事は名前くらいしか知らない相手とデートなんてのは生まれて初めてだ。無論デート自体初めてなのだが
緊張よりもワクワク感のが勝ってた。
すごい楽しみで楽しみで夜もぐっすり眠れた。次の日待ち合わせの駅に着いた。しばらくそこから移動して海に二人で到着ってプラン。
案外ゆいをあっさり見つけられた。
か細い腕足首にスラーっと伸びた黒髪。少し大きめの手提げカバンに可愛い服装。
あーゆいだ。と思って近づいて声をかけるとハッとした顔で振り向く。
俺「まった?」
ゆい「さっき来ました!」
テンプレのような会話を交わして駅の中に二人で入った。
相変わらず可愛いなと心の中で30回唱えたくらいで目的の駅に着いた。
駅を降りてしばらく歩くと海が見えた。
秋頃だったから割と寒くて彼女の細い体を心配して声をかけたりもしたけど
ずっとニコニコしててなんか寒さなんか馬鹿らしくなった。
海を歩きながら見て丘の上の塔に登った。
景色が良くてよかった。でもやっぱり横顔の方が可愛いなぁって心で唱えてた。
まぁそんな感じでデートの細部は僕と彼女だけの秘密♡なわけでここまでにしよう。
それから帰りに彼女がポロっと家の事情をこぼしたのが少し重かった。
ゆい「家にいるとあんまり楽しくないんですよ」
俺「あら。親と合わないとか?」
ゆい「そんなとこです。」
俺「俺は反抗期こじらした感じだしまぁ俺なんかクズだからさ。ちょっとねって思うとこはある。」
ゆい「曖昧w」
俺「ゆいさんもでしょ~」
ゆい「多分ていうかまぁ絶対重くなる。」
俺「ぜひ聞かせていただきたい」
ゆい「~」
会話を要約すると母親の再婚相手が家に来る日なんだと。再婚相手は出張やらなんやらが多くて家にはあまり居着かない人らしい。詳しいことは聞き出せなかったけど
それとなく酷いことをされたっぽかった。
ここで話すと長くなるからどのくらいか説明するとまぁ学校休むくらいだ。察しはついたろ?
それで家にいたくなかったから俺をデートに誘ったらしかった。
俺と来たかったわけじゃないのかって少し悔しかったけど何より可愛かったから俺はそれで満足だった。なんならおれんち泊まればって言いたかったけど親の目も気になって流石にそれはって思ってしまった。
ご飯は喉を通ったが夜は眠れなかった。
ネットのやりとりでもまた会いたいだの言われてウキウキしてた。
彼女の姿を想像すると今肩身の狭い思いしてるんだろなと思って少し俺も不安になってた。少し声聞きたいって言われて電話もしたけど声が震えてるみたいでなんかもうたまらなくなった。
たまにゆいの家にも招待された。親のいない日限定だったけど。何部屋かあるアパートでゆいと母親2人だけクラスのには少し大きく感じた。
家庭環境が劣悪で多少ぐれてたゆいだけど二年生になる頃には学校にも通いだし俺は割と嬉しかった。会う時間こそ減ったけど俺は学校復帰したことの方が嬉しかった。
スレタイと少し矛盾になっちゃうけど。
ゆいの口から聞くから状況がよくわからないし自分が悪いんですよの一点張りでアドバイスもできない。そんな状態が2ヶ月くらい続いてゆいは編入することになった。
通信の高校に転入するらしかった。
もともと勉強は得意だったゆいは塾に通いながら大学を目指すらしかった。
それからまたゆいに会う時間が増えた。
また体が痩せてて辛かったのが目に見えてわかった。
父親のことも学校のことも辛いんだろうなと思ってゆいがなんだか愛しくなった。
ゆいとは約束してあったりゲーセンに行ったりするようになった。まぁ前と同じ感じ。7月になっていきなりゆいとの連絡が途絶えるちょっとした事件が起きた。
当時の俺は俺何かしたか…?って起きてる間ずっと悩んでた。相当病んでた。
8月には高認の試験があって俺も勉強に力を入れなきゃいけない時期だったのにゆいのことが気がかりでもうそれどころじゃなかった。
でも連絡しても返ってこないから勉強するしかなくて気を紛らわせるために勉強ゴリゴリやった。
7月の頭あたりから連絡が途絶えて半ばあたりでゆいから連絡がきた。
ゆい「おれさん!!!!ごめんなさい!!入院してた!!!いっぱい連絡入れてもらったありがとです!」
俺は思わず電話した。