面白おかしくってところがミソだよ。
ふつう読まないような生徒会新聞をうまく読ませる
先生叩きもそうだし、雑学コーナーとか、安い店の紹介とか普通に面白いんだよ
しかも話がめちゃくちゃうまいから話聞いてると中村がかっこよく正しく見えてくる
引き継いだのは仕事だけで、選管の要する権利までは引き継がなかったでも、これで選挙の開票を行うのは生徒総会になったつまり、中村が落選することはなくなったんだ
人の上に立つべき人間だ
その後、中村は交通安全委員とかよくわからん委員会を潰し始めた
余った予算を使って扇風機を買った
削れるムダは削るというのを建前に色んな委員会を潰して代わりに総会が仕事を請け負った
いいことは生徒会新聞に書くけど自分に都合の悪いことは絶対に書かない
こんなことしてても生徒はみんな支持してたんだよ
この頃になると俺も中村を怖く感じるようになり始めていた
でも逆らえば生徒会を辞めさせられる。
元ぼっちの俺は生徒会以外に居場所はなかった。
中村に逆らうなんてできなかった
他の2人も同じ気持ちみたいだった
中村にちょっとだが違和感を持ち始めていた
流石に俺たちも気づいてたんだ
中村の独裁になりはじめていることに
先生との対立も特になく、そんな感じで2年前期は終わった
2年後期
俺は落選した。
俺だけじゃない。仲間2人も落選してた
当選したのは一人だけ。
生徒会長、中村ただ1人だった
中村はたぶん俺たちが中村のことを怖がり始めたのに気づいたんだと思う
反乱分子になる前に切られたんだろうな
選管のやってた仕事、開票をするのは今や生徒会
票数操作なんてお手の物だった
選挙なんてただの飾り、結果は決まってる。
全部中村の印象アップのためのショーだったんだ
落選したけど俺ら3人のつながりは消えなかった。
生徒会が今どうなってるのか知りたいという思いがあった。
そこで中村に生徒会員としての権利である情報開示権を使って現状をみようとした
この時、俺は初めて校則というものを調べた
初めて改めて中村の恐ろしさをしったんだ
確かに悪いことは一つもやってなかったよ
でもその情報開示権はすでに中村に剥奪されて見ることは許されなかった
俺の高校では生徒は全員、生徒会員になる。
そして生徒会員として生徒の権利を得られる仕組みだった
生徒としての権利では無く生徒会員としての権利というのがミソ
生徒の権利は保障されてない。そして生徒会員の権利はすべて中村の思うがまま
もう手遅れだったことにその時気づいた
でも中村の恐ろしさを知ったところでどうすることもできない
生徒会新聞の情報しかしらない一般生徒はいまだに中村を支持しづけてる
しかも中村は明るくて面白いクラスの人気者
刃向うことなんかできるはずが無かった
辞めた後、あらためて生徒会新聞を見て気持ち悪さが目に付いた
パッと目についてなんとなく読ませるようにできてて本当にうまく作られてた。
そして先生叩きの記事の意味もこの時気づいた
先生に対する不信感を根っこの部分に刷り込むためだったんだ
生徒の総意として生徒全員味方に付けることで先生と戦えたんだと
そしてある日、遂に事件が起こった
生徒から一番嫌われる先生に対して中村が解職要求を出した
そのことについては中村が全校集会で演説した
理由は色々言っててよくわからないけど生徒の敵だと言ってることはわかった
そして生徒の意思を問いたいと言って投票させた。
その先生の目の前で
結果は解職賛成が多数
もうみんな完全に中村に無意識にコントロールされてた
先生は怒ったような泣きそうなような顔して体育館から出て行った
生徒はみんなヘラヘラ笑ってた
むしろ俺らが先生を泣かせたぜ!みたいな一種の高揚感みたいのものにつつまれてた